KEYNOTE-042試験

非小細胞肺癌:国際共同臨床試験成績:化学療法未治療患者を対象とした単剤試験:国際共同第Ⅲ相試験<KEYNOTE-042試験>

承認時評価資料:国際共同第Ⅲ相試験(KEYNOTE-042試験)
Mok TSK et al. Lancet 2019; 393: 1819-1830
Mok TSK et al. Lancet 2019; 393: 1819-1830 Supplementary Data(Appendix)

本試験はMSD社の資金提供により行われた。Tony S K MokはMSD社から顧問料などを受領している。また、著者のうち、Gregory M Lubiniecki、Jin Zhang、Debra Kushは同社の社員である。その他の著者にMSD社より講演料、顧問料などを受領している者が含まれる。

試験概要

【目的】化学療法未治療の、EGFR遺伝子変異陰性、ALK融合遺伝子陰性かつPD-L1発現陽性(TPS≧1%*1)の進行・再発の非小細胞肺癌患者におけるキイトルーダ®とプラチナ製剤を含む化学療法(以下、化学療法)の有効性及び安全性を比較検討する。

【デザイン】国際共同無作為化非盲検第Ⅲ相試験[優越性試験][第2回中間解析結果(データカットオフ日: 2018年2月26日)]

【対象】化学療法未治療の、EGFR遺伝子変異陰性、ALK融合遺伝子陰性かつPD-L1発現陽性(TPS≧1%*1)の進行・再発の非小細胞肺癌患者1,274例(日本人93例を含む)

【方法】キイトルーダ®群(キイトルーダ®200mgを3週間間隔で点滴静注)又は化学療法群に1 : 1の割合で無作為割り付けした。最初の45週間は9週間ごとに、45週以降は12週間ごとに画像診断により腫瘍縮小効果を判定し、病勢進行(PD)、許容できない有害事象の発現等による投与中止、又は投与完了(キイトルーダ®は35回、化学療法は4~6サイクル)まで継続した。

#化学療法群では治験医師が無作為割り付け前に選択した以下の治療法のいずれかが施行された

  • カルボプラチン(AUC 5又は6相当量)及びパクリタキセル(200mg/m2)を3週間間隔で4〜6サイクル、その後ペメトレキセド維持療法(維持療法は非扁平上皮癌患者のみ、任意)
  • カルボプラチン(AUC 5又は6相当量)及びペメトレキセド(500mg/m2)を3週間間隔で4〜6サイクル、その後ペメトレキセド維持療法(維持療法は非扁平上皮癌患者のみ、任意)

※AUC(area under the concentration-time curve):濃度-時間曲線下面積

試験概要

【評価項目】主要評価項目:TPS≧50%*2、TPS≧20%*3、TPS≧1%*1の患者における全生存期間(overall survival;OS)※1
副次評価項目:TPS≧50%*2、 TPS≧ 20%*3、TPS≧1%*1の患者における無増悪生存期間(progression-free survival;PFS)※1及び奏効率(overall response rate;ORR)※2、安全性
探索的評価項目:奏効期間(duration of response;DOR)

※1 第1回、第2回中間解析、最終解析の検証的解析項目 ※2 第1回中間解析の検証的解析項目

【判定基準】PFS、ORR、DORは、盲検下独立判定委員会(BICR)がRECISTガイドライン1.1版に基づき評価した。

【解析計画】解析対象集団:有効性の解析はITT集団*4、安全性の解析はASaT集団*5 を対象として実施した。
有効性評価の統計手法:OS、PFSの生存曲線はKaplan-Meier法を用いて推定し、群間比較には、層別ログランク検定を用いた。投与群のみを共変量とした層別Cox比例ハザードモデルにより、ハザード比(HR)及び95%信頼区間(95%CI)を算出した。 ORRの群間比較には、層別Miettinen and Nurminen法を用いた。DORはKaplan-Meier法による中央値と四分位点を用いて記述的に要約した。OSとPFSのサブグループ解析を、層別因子である地域、ECOG PS、PD-L1発現状況、非小細胞肺癌組織型別などの部分集団を対象とし、層別Cox比例ハザードモデルを用いて実施した。
主要評価項目及び副次評価項目は、①OS TPS≧50% → ②OS TPS≧20% → ③OS TPS≧1% → ④PFS TPS≧50% → ⑤PFS TPS≧20% → ⑥PFS TPS≧1% → ⑦ORR TPS≧50% → ⑧ORR TPS≧20% → ⑨ORR TPS≧1%の順に階層法を用いて検証的解析を計画した。
多重性の調整:本試験は、2回の中間解析を事前に計画し、試験全体の有意水準を片側2.5%とした。第1回、第2回中間解析、最終解析でOS、PFSを、第1回中間解析でORRを検討することとした。OS、PFS及びORRの多重性は、階層法及び群逐次検定の方法により調整した。

*1 腫瘍細胞のうちPD-L1発現陽性細胞の割合が1%以上(TPS:tumor proportion score≧1%)
*2 腫瘍細胞のうちPD-L1発現陽性細胞の割合が50%以上(TPS:tumor proportion score≧50%)
*3 腫瘍細胞のうちPD-L1発現陽性細胞の割合が20%以上(TPS:tumor proportion score≧20%)
PD-L1の発現は、コンパニオン診断薬として製造販売承認されているPD-L1 IHC 22C3 pharmDx「ダコ」を用いて検査された
*4 ITT(intention to treat)集団:無作為化したすべての患者
*5 ASaT(all subjects as treated)集団:無作為化され、治験薬が1回以上投与されたすべての患者

4. 効能又は効果(抜粋)
切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌

5. 効能又は効果に関連する注意(抜粋)
〈切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉
5.2 本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.3 本剤を単独で投与する場合には、PD-L1の発現が確認された患者に投与すること。PD-L1を発現した腫瘍細胞が占める割合(TPS)について、「17. 臨床成績」の項の内容を熟知すること。十分な経験を有する病理医又は検査施設において、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いること。なお、承認された体外診断用医薬品又は医療機器に関する情報については、以下のウェブサイトから入手可能である:https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/cd/0001.html[17.1.7-17.1.9参照]
5.4 臨床試験に組み入れられた患者のEGFR遺伝子変異又はALK融合遺伝子の有無等について、「17. 臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。[17.1.5、17.1.7-17.1.9参照]

8. 重要な基本的注意
8.1 本剤のT細胞活性化作用による、過度の免疫反応に起因すると考えられる様々な疾患、8.2 間質性肺疾患、8.3 甲状腺機能障害、下垂体機能障害及び副腎機能障害、8.4 劇症肝炎、肝不全、肝機能障害、肝炎、硬化性胆管炎、8.5 1型糖尿病、8.6 腎障害、8.7 筋炎、横紋筋融解症、8.8 重症筋無力症、8.9 心筋炎、8.10 ぶどう膜炎(虹彩炎及び虹彩毛様体炎を含む)等の重篤な眼障害があらわれることがあるので注意が必要です。詳細は「製品情報:基本情報>「警告・禁忌」等その他の注意」をご参照ください。

カルボプラチンの用法及び用量は以下のとおりです。

6. 用法及び用量(抜粋)〈非小細胞肺癌〉
通常、成人にはカルボプラチンとして、1日1回300~400mg/m2(体表面積)を投与し、少なくとも4週間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。なお、投与量は、年齢、疾患、症状により適宜増減する。

パクリタキセルの用法及び用量は以下のとおりです。

用法及び用量(抜粋)
A法:通常、成人にはパクリタキセルとして、1日1回210mg/m2(体表面積)を3時間かけて点滴静注し、少なくとも3週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。

患者背景(ITT集団)

患者背景(ITT集団)

主要評価項目(優越性試験) 全生存期間:OS

主要評価項目(優越性試験) 全生存期間:OS

*1 打ち切りデータはproduct-limit(Kaplan-Meier)法に基づく
*2 投与群を共変量とし、治験実施医療機関の地域(東アジア、東アジア以外)、ECOG PS(0,1)、非小細胞肺癌組織型(扁平上皮癌、非扁平上皮癌)を層別因子(無作為化に用いた層別因子)とした層別Cox比例ハザードモデルに基づく
*3 投与群を共変量とし、治験実施医療機関の地域(東アジア、東アジア以外)、ECOG PS(0,1)、PD-L1発現(≧50%、1-49%)、非小細胞肺癌組織型(扁平上皮癌、非扁平上皮癌)を層別因子(無作為化に用いた層別因子)とした層別Cox比例ハザードモデルに基づく
*4 層別ログランク検定[片側](層別因子は無作為化に用いた層別因子)、有意水準α=0.0122
*5 層別ログランク検定[片側](層別因子は無作為化に用いた層別因子)、有意水準α=0.01238
(追跡期間中央値:12.8ヵ月)

  • 化学療法群に対するキイトルーダ®群のハザード比はTPS≧50%及びTPS≧1%の患者で0.69(95%CI:0.56,0.85)及び0.81(95%CI:0.71,0.93)で、いずれも有意にOSを改善しました(p=0.0003及びp=0.0018、層別ログランク検定[片側]、有意水準α=0.0122及びα=0.01238;検証的解析結果)。

副次評価項目(優越性試験) 無増悪生存期間: PFS

副次評価項目(優越性試験) 無増悪生存期間: PFS

*1 打ち切りデータはproduct-limit(Kaplan-Meier)法に基づく
*2 投与群を共変量とし、治験実施医療機関の地域(東アジア、東アジア以外)、ECOG PS(0,1)、非小細胞肺癌組織型(扁平上皮癌、非扁平上皮癌)を層別因子(無作為化に用いた層別因子)とした層別Cox比例ハザードモデルに基づく
*3 投与群を共変量とし、治験実施医療機関の地域(東アジア、東アジア以外)、ECOG PS(0,1)、PD-L1発現(≧50%、1-49%)、非小細胞肺癌組織型(扁平上皮癌、非扁平上皮癌)を層別因子とした層別Cox比例ハザードモデルに基づく
*4 層別ログランク検定[片側](層別因子は無作為化に用いた層別因子)、有意水準α=0.01455
(追跡期間中央値:12.8ヵ月)

  • 化学療法群に対するキイトルーダ®群のハザード比はTPS≧50%の患者で0.82(95%CI:0.68,0.99)と優越性は検証されず(検証的解析結果)、TPS≧1%の患者で1.07でした。

安全性

キイトルーダ®群で副作用は399/636例(62.7%)に認められました。主な副作用(発現率10%以上)は、甲状腺機能低下症69例(10.8%)でした。重篤な副作用は87例(13.7%)に認められ、2例以上にみられた重篤な副作用は、肺臓炎25例(3.9%)、胸水6例(0.9%)、自己免疫性肝炎、大腸炎、間質性肺疾患、心嚢液貯留各4例(0.6%)、下痢3例(0.5%)、副腎機能不全、急性心不全、呼吸困難、肝機能異常、下垂体炎、注入に伴う反応、肺塞栓症、発熱各2例(0.3%)でした。副作用による中止は57例(9.0%)で、2例以上にみられた中止に至った副作用は肺臓炎19例(3.0%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加6例(0.9%)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加3例(0.5%)、自己免疫性肝炎、間質性肺疾患各2例(0.3%)でした。副作用による死亡は13例(2.0%)で、その内訳は呼吸不全、脳症、悪性新生物進行、急性心不全、死亡、喀血、腸閉塞、肺臓炎、肺塞栓症、クレブシエラ感染症、敗血症、突然死、循環血液量減少性ショック各1例(0.2%)でした。

化学療法群で副作用は553/615例(89.9%)に認められました。主な副作用(発現率10%以上)は、貧血229例(37.2%)、悪心184例(29.9%)、脱毛症136例(22.1%)、食欲減退109例(17.7%)、疲労102例(16.6%)、嘔吐97例(15.8%)、好中球減少症88例(14.3%)、好中球数減少86例(14.0%)、白血球数減少71例(11.5%)、便秘68例(11.1%)、血小板数減少64例(10.4%)でした。重篤な副作用は90例(14.6%)に認められ、2例以上にみられた重篤な副作用は、貧血15例(2.4%)、肺炎、発熱性好中球減少症各13例(2.1%)、好中球減少症6例(1.0%)、肺塞栓症、血小板減少症、好中球数減少各4例(0.7%)、食欲減退、無力症、汎血球減少症各3例(0.5%)、下痢、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加、アナフィラキシー反応、敗血症、白血球減少症、悪心、好中球減少性敗血症、血小板数減少各2例(0.3%)でした。副作用による中止は58例(9.4%)で、2例以上にみられた中止に至った副作用は末梢性ニューロパチー5例(0.8%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加、肺炎各4例(0.7%)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加、貧血各3例(0.5%)、間質性肺疾患、疲労、アナフィラキシー反応、血中クレアチニン増加、発熱性好中球減少症、好中球減少症、血小板減少症各2例(0.3%)でした。副作用による死亡は14例(2.3%)で、その内訳は肺炎4例(0.7%)、敗血症性ショック、呼吸困難、肺敗血症、汎血球減少症、好中球減少性敗血症、呼吸窮迫、感染症、ケトアシドーシス、心不全、肺塞栓症各1例(0.2%)でした。

副作用(いずれかの投与群で発現率5%以上)(ASaT集団)

副作用(いずれかの投与群で発現率5%以上)(ASaT集団)

MedDRA/J version 20.1、GradeはCTCAE version 4.03

免疫関連など特に注目すべき有害事象

キイトルーダ®群で免疫関連など特に注目すべき有害事象(以下、注目すべき有害事象)は177/636例(27.8%)に認められました。主な注目すべき有害事象(発現率3%以上)は、甲状腺機能低下症77例(12.1%)、肺臓炎53例(8.3%)、甲状腺機能亢進症39例(6.1%)でした。重篤な注目すべき有害事象は53例(8.3%)、起因する中止例は32例(5.0%)、死亡例は肺臓炎による1例(0.2%)でした。
化学療法群で注目すべき有害事象は44/615例(7.2%)に認められました。重篤な注目すべき有害事象は5例(0.8%)、起因する中止例は7例(1.1%)、死亡例は認められませんでした。

免疫関連など特に注目すべき有害事象一覧(ASaT集団)

免疫関連など特に注目すべき有害事象一覧(ASaT集団)

MedDRA/J version 20.1、GradeはCTCAE version 4.03

承認時評価資料:国際共同第Ⅲ相試験(KEYNOTE-042試験)

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