本剤を脱カプセルや懸濁、簡易懸濁して投与することは、十分に検討したデータがないため、やむを得ない場合を除き、おすすめしていません(1)。
これまでの臨床試験における使用経験は以下のとおりです。
<使用経験:懸濁液の経口投与※(1)(2)>
第Ⅰ相臨床薬理試験において外国人健康成人にボトル入りの粉末モルヌピラビル(有効成分)(*1) 50~800 mg※を水に用時溶解し単回経口投与しました。
その結果、懸濁液を単回投与した被験者の血漿中NHC(*2)の曝露量(AUC)は、カプセルで同じ用量のモルヌピラビルを単回投与した他の被験者の血漿中NHCの曝露量と類似していました。
なお、評価したすべての用量のモルヌピラビルの忍容性は概して良好で、重篤な有害事象は認められませんでした。
<使用経験:脱カプセル後に懸濁し、経鼻胃管/経口胃管で投与※(1)>
外国人入院患者を対象とした臨床試験(001試験)(*3)では、カプセルを嚥下できなくなった患者には、本剤の懸濁液(*4)を経鼻胃管又は経口胃管にて投与することが許容されていました。
懸濁液を経管投与された5症例のNHCの血中濃度は、カプセル製剤を経口投与された患者の血中濃度の範囲内であり投与方法による差は示唆されませんでした。
なお、脱カプセルした粉末を直接経口投与した経験はありません。
簡易懸濁法(カプセル剤そのままを微温湯に入れる)での投与経験もありません。
また、懸濁後の安定性データはなく、「何度まで安定か」など安定な温度に関する情報もありません。
胃瘻、腸瘻での使用経験もありません。
※承認外の用法・用量を含みます。
本剤のご使用にあたっては最新の製品添付文書をご確認ください。
本剤の承認された用法・用量は「通常、18歳以上の患者には、モルヌピラビルとして1回800 mgを1日2回、5日間経口投与する。」です。
(*1)使用したボトル入粉末は有効成分のみを含有し、不溶性の添加剤は含まれておらず、現在市販されている製剤のカプセルの内容物とは異なります。なお、添加剤はモルヌピラビルの溶出性に影響を及ぼしません。
(*2)NHC: モルヌピラビルの主要代謝物。N-ヒドロキシシチジンの略。
(*3)001試験: SARS-CoV-2による感染症患者(入院患者)を対象とした国際共同第Ⅱ/Ⅲ相試験 (MOVe-IN試験)
(*4)懸濁液の調製、投与:
個人防護具(*5)を着用の上、4カプセルを脱カプセルし、水40mLを調製用ボトルに加え調製。
懸濁液の投与は調製後できるだけ早く、遅くとも調製後1時間以内に行うこと。
なお、懸濁後の安定性データはありません。
(*5)個人防護具:ゴーグル、マスク、手袋、長袖ガウン、帽子など(妊婦、妊娠の可能性がある女性への曝露を避けるため)
<引用>
(1)インタビューフォーム ⅩⅢ. 備考
(2)申請資料概要 2.7.6 4482-P004