薬効薬理:作用機序
薬効薬理:作用機序
カスポファンギンは、アスペルギルス属、カンジダ属等の細胞膜に存在するβ-(1,3)-D-グルカン合成酵素を阻害し、細胞壁の主要構成成分であるβ-(1,3)-D-グルカンの生合成を阻害することにより、抗真菌作用を示すと考えられる。なお、哺乳類の細胞には細胞壁が存在しないため、この作用は真菌特異的である1)。
■ カスポファンギンの作用機序(推定)

β-(1,3)-D-グルカン合成阻害作用(in vitro)2)
A. fumigatus MF4839及びC. albicans MY1208の膜標品を用いて、カスポファンギンのβ-(1,3)-D-グルカン合成に対する阻害作用を、UDP-グルコースのβ-(1,3)-D-グルカンへの取り込みに対するカスポファンギンの50%阻害濃度(IC50値)を算出して検討した。カスポファンギンはUDP-グルコースからβ-(1,3)-D-グルカンへのグルコースの酵素的転移を阻害し、その時のIC50値は、A. fumigatus MF4839で9.6nM、C. albicans MY1208では0.6nMであった。
1)Kartsonis NA, et al., Drug Resistance Update, 2003;6:197-218.
(利益相反:著者は全て米国MSD社研究所員。)
2)社内資料(カスポファンギン作用機序)