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開発の経緯

開発の経緯

カンサイダス®点滴静注用50mg/同70mg(以下、本剤)は有効成分としてカスポファンギンを含有する点滴静脈内注射用抗真菌剤です。カスポファンギンは、Merck Sharp & Dohme Corp., a subsidiary of Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A.により開発され、世界で初めて承認されたキャンディン系抗真菌剤で、真菌グラレア・ロゾエンシス(Glarea lozoyensis)由来のリポペプチド発酵産物ニューモカンジンB0(pneumocandin B0 )の半合成誘導体です。

本剤は、ヒトの細胞では産生されない真菌細胞壁の構成成分であるβ-(1,3)-D-グルカンの合成を阻害する作用機序により、深在性真菌症の主要起炎菌であるカンジダ属又はアスペルギルス属に対して抗真菌活性を示します。また、その特有の作用機序から、アムホテリシンB、フルコナゾール、フルシトシン等に対して耐性を示すカンジダ属の臨床分離株、播種性カンジダ症及び播種性アスペルギルス症並びに口腔咽頭及び消化器カンジダ症の動物モデルにおいても抗真菌作用が示されました。

海外では、非臨床試験から得られたデータに基づいて各種適応症に対する臨床試験を実施しました。その結果、他の治療法(アムホテリシンB、アムホテリシンBリポソーム製剤又はイトラコナゾール)が無効又は不耐の患者における侵襲性アスペルギルス症に対する適応症が2000年にメキシコで、2001年に米国及びEUで承認されました。その後、食道又は口腔咽頭カンジダ症、侵襲性カンジダ症(カンジダ血症及び腹腔内膿瘍、腹膜炎、胸膜腔内感染)、真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症に対する適応症が順次承認され、世界93ヵ国(2014年8月現在)で使用されています。

国内では、カンジダ属又はアスペルギルス属による深在性真菌症患者を対象とした第Ⅲ相試験を実施し、カンジダ症又はアスペルギルス症に対する有効性及び安全性が検討されました。この第Ⅲ相試験を含む国内臨床試験成績及び海外臨床試験成績に基づいて本剤の製造販売承認申請を行い、真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症及びカンジダ属又はアスペルギルス属による真菌感染症[食道カンジダ症、侵襲性カンジダ症、アスペルギルス症(侵襲性アスペルギルス症、慢性壊死性肺アスペルギルス症、肺アスペルギローマ)]を適応症とする承認を2012年1月に取得しました。

なお、本剤の小児に対する適応は、2014年8月現在、76ヵ国で承認されています。
国内では、カンジダ症又はアスペルギルス症の日本人小児患者を対象に第Ⅱ相試験(074試験)を実施し、日本人小児患者における、安全性、有効性、薬物動態のデータが検討されました。この国内第Ⅱ相試験及び海外第Ⅱ相試験成績に基づいて追加申請を行い、小児患者への適応の承認を2014年12月に取得しました。

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