薬効薬理:薬剤耐性(耐性機序)

薬効薬理:薬剤耐性(耐性機序)

1. 継代培養時の耐性発現(in vitro1)

1)社内資料(継代培養時の耐性発現試験)

A. fumigatus
A. fumigatusをポサコナゾールとともに継代培養し、耐性株の出現を検討しました。
A. fumigatusの分生子3×108~8×108個/プレートを1μg/mLのポサコナゾールの存在下で培養したところ、ポサコナゾールに低感受性を示す耐性変異株は1×10-8~1×10-9の頻度で出現しました。

A. fumigatusをポサコナゾール存在下で継代培養した際の耐性発現

方法:A. fumigatusの分生子をcomplete supplement mixture(CSM)添加合成寒天培地11プレートにそれぞれ接種し、1μg/mLのポサコナゾールとともに培養した。コロニー形成が認められた5枚のプレートから釣菌し、同新鮮培地にて1μg/mL のポサコナゾールとともに7日間培養し、分生子をME 寒天斜面培地にて0.2 μg/mLのポサコナゾールとともに5日間培養し、MICをCLSIのM38-Pで測定した。
耐性変異の同定:分生子からDNAを単離し、cyp51A及びcyp51B領域をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法で増幅後、遺伝子配列を解析した。
耐性遺伝子の発現量の測定:培養18時間の分生子からRNAを単離し、リアルタイム逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)法により、cyp51Acyp51Bmdr1及びmdr2のmRNAの発現を定量した。

C. albicans
C. albicansをポサコナゾールとともに継代培養し、ポサコナゾール濃度を0.008μg/mLから2.56μg/mLまで増加させ耐性株の出現を検討したところ、ポサコナゾールのMIC値に変化は認められず、ポサコナゾールに対する耐性株は実験的に誘導されませんでした。

2. 抗真菌薬長期投与時のC. albicansの耐性株の出現(外国人データ)2)

2)社内資料(抗真菌薬長期投与時のC. albicansの耐性株)

口腔内カンジダ症患者1例にポサコナゾールを含む抗真菌薬を長期投与することにより、ポサコナゾールを含むアゾール系抗真菌薬に低感受性のC. albicansが分離されました。なお、分離された7株の相同性を検討した結果、同一の株であることが示唆されました。
薬剤排出ポンプの発現には明らかな増強はありませんでしたが、CYP51領域に耐性に関与すると考えられるアミノ酸変異が認められました。

抗真菌薬を長期投与した患者から分離されたC. albicansの感受性及びCYP51蛋白質のアミノ酸変異

※1:CYP51に変異のない対照株
※2:CYP51のP230Lの変異は染色体の1本にみられた。
注意:関連のある化合物の効能・効果等は、最新の添付文書を参照すること。

方法:口腔内カンジダ症を発症したAIDS患者1例にアムホテリシンBを2ヵ月、イトラコナゾールを5ヵ月間投与した後、C. albicansが分離された(C369株)。その後、ポサコナゾールの400mg/回を1日2回、約6ヵ月間投与し、経時的に3株のC. albicansが分離された(C378、C371及びC372)。ポサコナゾールの投与中止1ヵ月後に口腔内カンジダ症が再発したためボリコナゾールを投与したが、口腔内カンジダ症の症状が改善しないため、ポサコナゾール400mg/回を1日2回投与した。症状改善後も再発したためポサコナゾールの投与が中止された。この臨床試験の間に経時的に3株のC. albicansが分離された(C373、C376及びC375)。
耐性遺伝子の発現量の測定:細胞からRNAを単離し、ノーザンブロット又はリアルタイムRT-PCR法により、cdr1cdr2mdr1及びcyp51のmRNA 量を測定した。
耐性遺伝子の同定:細胞からDNAを単離し、CYP51領域をPCR法により増幅後、遺伝子配列を解析した。

3. 薬剤排出ポンプの関与(in vitro3)

3)社内資料(薬剤排出ポンプ)

真菌の抗真菌薬に対する耐性に関与することが知られている真菌の薬剤排出ポンプについて検討したところ、ポサコナゾールの排出には、ATP-binding cassette(ABC)型排出ポンプであるCDR1が関与しますが、同CDR2及びmajor facilitator(MF)型薬剤排出ポンプであるMDR1は関与しないと考えられました。

4. 効能又は効果

○造血幹細胞移植患者又は好中球減少が予測される血液悪性腫瘍患者における深在性真菌症の予防
○下記の真菌症の治療
侵襲性アスペルギルス症、フサリウム症、ムーコル症、コクシジオイデス症、クロモブラストミコーシス、菌腫

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