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薬物動態:吸収、分布、代謝、排泄

薬物動態

1. 吸収

(1)食事の影響(健康成人)1,2,3)

健康成人にモルヌピラビルカプセルを800mgの用量でを単回経口投与した際、高脂肪食摂取後投与では空腹時投与に比べてNHCのCmaxは24%減少し、AUCは両条件下で同程度でした。健康成人にモルヌピラビル錠を400mgの用量で単回経口投与した際、NHCのCmax及びAUCは、高脂肪食摂取後投与と空腹時投与で同程度でした(外国人データ)。本剤は、食事とは関係なく投与可能です。

(2)モルヌピラビル及びNHCの透過性(in vitro4)

In vitro試験において、モルヌピラビル及びNHCのCaco-2細胞単層透過性はそれぞれ0.29×10−6cm/s及び1.1×10−6cm/sでした。また、LLC-PK1細胞透過性はそれぞれ2.7×10−6cm/s及び2.9×10−6cm/sでした。

2. 分布

(1)分布容積(母集団薬物動態解析、外国人データ)5)

母集団薬物動態解析により推定されたNHCの見かけのクリアランスは70.6L/h、見かけの分布容積は131.9Lでした。

(2)血漿蛋白結合率(in vitro6)

NHCのヒト血漿蛋白に対する結合率は0%でした。

(3)組織移行性(参考:ラット)7)

SDラットにモルヌピラビル320mg/kgを単回経口投与し、肺、脾臓、腎臓、肝臓、心臓及び脳組織中のモルヌピラビル、NHC及びNHC-TPの濃度を測定しました。モルヌピラビルは腎臓及び脳では検出されず、その他の組織では検出限界に近い低濃度で検出されました。NHC-TPはすべての組織で検出され、曝露量(AUC)は肺と脾臓で最も高く、最も低かったのは肝臓でした。
雄性SDラットにモルヌピラビル50、150及び500mg/kgを単回経口投与し、投与3時間後及び24時間後に骨髄組織中のモルヌピラビル、NHC及びNHC-TPの濃度を測定しました。モルヌピラビルはすべて定量下限値以下でした。投与3時間後における骨髄組織中のNHC及びNHC-TPの濃度は、ほぼ用量に比例していました。投与24時間後では、NHC濃度は減少し(100倍以上)、500mg群で検出可能でした。投与24時間後のNHC-TP濃度も全投与群で投与3時間後より20~30倍減少し、用量依存的でした。

3. 代謝(in vitro、ラット、イヌ)8)

モルヌピラビルはNHCのプロドラッグであり、全身循環へ到達する前に主要代謝物であるNHCへ加水分解されます。NHCは内因性ピリミジンの代謝と同じ経路でウリジン及びシチジンへ代謝され、消失します。

4. 排泄(健康成人、外国人データ)9)

健康成人にモルヌピラビルカプセルを800mgの用量でを1日2回5.5日間反復経口投与した際、NHCの尿中排泄率は3%でした。

注)本剤の承認された用法及び用量は、1回800mgを1日2回5日間経口投与である。

1)承認時評価資料:単回及び反復投与国内第Ⅰ相試験(MK-4482-008試験)
2)Nakamura K et al. Clin Transl Sci. 2022; 15(11): 2697-2708.
本試験はMSDの資金提供を受けた。著者の一部はMSDの社員であり、著者にはMSDより助成金等を受領する者が含まれる
3)承認時評価資料:健康成人を対象とした生物学的同等性試験(MK-4482-011試験)
Fiore JL et al. Antimicrob Agents Chemother. 2025; 69(3): e0143424.
本試験はMSDより資金提供を受けている。本論文の著者には同社の社員が含まれる。
4)社内資料:モルヌピラビル及びNHCの透過性(in vitro
5)社内資料:母集団解析
6)社内資料:血漿蛋白結合率(in vitro
7)社内資料:ラットにおける組織分布
8)社内資料:代謝
9)承認時評価資料:単回及び反復投与海外第Ⅰ相試験(MK-4482-004試験)