薬物動態:特定の背景を有する患者
薬物動態
特定の背景を有する患者
1. 腎機能障害者(母集団薬物動態解析、外国人データ)1,2,3)
モルヌピラピル及びNHCの主要な消失経路は腎排泄でありません。腎機能正常者543例及び腎機能障害患者(軽度580例、中等度84例)を対象に、腎機能障害がNHCの眠露呈に及ぼす影轡を母集団薬物動態解析により検討したところ、腎機能正常者と比較したAUCの幾何平均比 (90%信頼区間)は、軽度腎機能障害患者で1.01 (0.975, 1.05)、中等度腎機能障害患者で1.18 (1.09, 1.28)でした。また、臨床薬物動態試験において、重度腎機能障害者(eGFR<30mL/min/1.73m2)にモルヌピラビルを単回経口投与した際、NHCのAUC0-inf(90%信頼区間)は健康成人の1.24倍(0.94, 1.64)であり、意味のある差はみられませんでした。透析を必要とする患者におけるモルヌピラビル及びNHCの薬物動態の評価は実施していません。
図 腎機能正常者及び腎機能障害患者におけるNHCの薬物動態(外国人データ)
箱内の実線は中央値、箱の上下は75%タイル値及び25%タイル値を示す。
ひげは四分位範囲の1.5倍の範囲内にある最も外のデータまで伸びている。
軽度腎機能障害:eGFR<90~≧60mL/min/1.73m2
中等度腎機能障害:eGFR<60~≧30mL/min/1.73m2
重度腎機能障害:eGFR<30mL/min/1.73m2
1)社内資料:母集団解析
2)Bihorel S et al. CPT: Pharmacometrics Syst. Pharmacol. 2023; 12(12): 1859-1871.
3)Duncan KE et al. Clin Transl Sci. 2024; 17: e70073.
2. 肝機能障害者(外国人データ)1)
非臨床試験の結果、NHCの主要な消失経路は肝代謝ではないと考えられました。臨床薬物動態試験において、中等度肝機能障害者(Child-Pugh分類B)にモルヌピラビルを単回経口投与した際、NHCのAUC0-inf(90%信頼区間)は健康成人の1.22倍(0.92, 1.64)であり、意味のある差はみられませんでした。また、モルヌピラビルは主に消化管及び肝臓でNHCへ代謝される一方、モルヌピラビルの加水分解に必要な代謝酵素は広範な組織に分布しているため、肝機能障害がモルヌピラビル及びNHCの曝露量に影響を及ぼす可能性は低いです。
1)Duncan KE et al. Clin Transl Sci. 2024; 17: e70073.
3. 高齢者(母集団薬物動態解析、外国人データ)1,2)
年齢がNHCの曝露量に及ぼす影響を母集団薬物動態解析により検討したところ、年齢は統計的に有意な共変量として見出されず、高齢者におけるNHCの薬物動態は若年者と同様でした。
1)社内資料:母集団解析
2)Bihorel S et al. CPT: Pharmacometrics Syst. Pharmacol. 2023; 12(12): 1859-1871.