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薬物動態:血中濃度

薬物動態

1. 血中濃度

モルヌピラビルはN-ヒドロキシシチジン(NHC)のプロドラッグであり、全身循環へ到達する前に主要代謝物であるNHCへ加水分解され細胞内に取り込まれた後、活性型であるリボヌクレオシド三リン酸化体(NHC-TP)にリン酸化されます。

(1)単回投与(健康成人)1,2)

健康成人にモルヌピラビルカプセルを800mgの用量でを単回経口投与した際のNHCの血漿中濃度推移及び血漿中薬物動態パラメータは以下のとおりでした。モルヌピラビル200~1,600mgの範囲で、NHCのCmax及びAUCは概して用量に比例して増加しました。

図 健康成人にモルヌピラビル800mgを単回経口投与した際のNHCの血漿中濃度推移(平均値+標準偏差)

表1 健康成人にモルヌピラビル800mgを単回経口投与した際のNHCの血漿中薬物動態パラメータ

(2)反復投与(健康成人)1,2)

健康成人にモルヌピラビルカプセルを800mgの用量でを12時間ごとに反復経口投与した際のNHCの血漿中薬物動態パラメータは以下のとおりでした。1日2回の反復経口投与で得られたNHCのAUC0-12hrの累積係数(1.05)に基づく有効半減期は2.73時間でした。

表2 健康成人にモルヌピラビル800mgを12時間ごとに反復経口投与した際の定常状態におけるNHCの血漿中薬物動態パラメータ

(3)生物学的同等性試験(外国人データ)3)

クロスオーバー法により健康成人にモルヌピラビル錠又はモルヌピラビルカプセルを400mgの用量で単回経口投与した際、得られたNHCの血漿中Cmax及びAUC0-lastの幾何平均比とその90%信頼区間(モルヌピラビル錠/モルヌピラビルカプセル)は、それぞれ0.98(0.93-1.03)及び1.00(0.97-1.03)でした。幾何平均比の90%信頼区間は事前に規定した同等域[0.8~1.25]の範囲内であり、モルヌピラビル錠はモルヌピラビルカプセルと生物学的に同等でした。

1)承認時評価資料:単回及び反復投与国内第Ⅰ相試験(MK-4482-008試験)
2)Nakamura K et al. Clin Transl Sci. 2022; 15(11): 2697-2708.
3)承認時評価資料:健康成人を対象とした生物学的同等性試験(MK-4482-011試験)
Fiore JL et al. Antimicrob Agents Chemother. 2025; 69(3): e0143424.
本試験はMSDより資金提供を受けている。本論文の著者には同社の社員が含まれる。
本試験はMSDの資金提供を受けた。著者の一部はMSDの社員であり、著者にはMSDより助成金等を受領する者が含まれる

4. 効能又は効果
SARS-CoV-2による感染症
6. 用法及び用量
通常、18歳以上の患者には、モルヌピラビルとして1回800mgを1日2回、5日間経口投与する。