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BPA(バルーン肺動脈形成術)

BPA(バルーン肺動脈形成術)


BPAとは

BPAは、バルーンカテーテルを用いて肺動脈の狭窄や閉塞を物理的に解除する治療です。
2001年のFeinsteinらによる最初の報告では血行動態などの改善が示されましたが1)、合併症の頻度が高く、治療選択肢として確立されませんでした2)
一方、日本では末梢型CTEPHの頻度が高く、外科的治療の適応とならない症例が多くBPAをCTEPHの治療選択肢として確立することが試みられてきました。


BPAの適応

「肺高血圧症治療ガイドライン(2017年改訂版)」の治療アルゴリズムで示されたように、手術適応がある場合はまずは外科手術を検討し、手術適応がない場合または手術後に肺高血圧症が残存している場合にBPAを検討します3)
なお、病変や併存疾患のためにPEA適応外と判断された場合のBPA適応について、肺高血圧症治療ガイドライン(2017年改訂版)3)ではLevel C、ClassⅠ、ESC/ERSガイドライン(2022年)4)では、Level B、ClassⅠで推奨されています。

表 BPAの適応基準

下記①~④すべての条件を満たすCTEPH患者はBPAの対象となる
① PEAの施行困難例、すなわち主要な病変が外科的に到達困難な末梢側に存在するか、高齢や合併症のためにPEAの適応がないと判断された症例、またはPEA術後の遺残肺高血圧症例。

② 内科的治療を行ってもNYHA/WHO機能分類Ⅲ度以上の自覚症状を有する。

③ 病状およびリスク・ベネフィットを十分に説明したうえで本人(および家族)がBPAを希望している。

④ 重度の多臓器不全を有さない

日本循環器学会.:肺高血圧症治療ガイドライン(2017年改訂版)より作表


BPAの治療成績

2001年、Feinsteinらは18例のPEA適応外のCTEPH患者さんにBPAを実施し、6分間歩行距離や血行動態の改善が見られたものの、1例の周術期死亡と11例の再灌流性肺水腫を認めたと報告しました1)

2012年に日本から3つの観察研究が報告されました。これによると半年~2.2年の観察期間における短期予後が97%~100%と良好であったと報告されています2,5~7)

2022年、手術不適応のCTEPH患者さんにおけるBPAとリオシグアト(肺血管拡張薬)の有用性を比較検討したRACE試験(海外データ)8)およびMR BPA試験9)の結果が報告されました。

RACE試験の詳細はこちら >

MR BPA試験の詳細はこちら >

References

1)Feinstein JA, et al. Circulation. 103, 10(2001)
2)大郷剛. Current Therapy. 37, 48(2019)
3)日本循環器学会. 肺高血圧症治療ガイドライン(2017年改訂版)
4)Humbert M, et al. Eur Heart J. 43, 3618(2022)
5)Mizoguchi H, et al. Circ Cardiovasc Interv. 5, 748(2012)
6)Sugimura K, et al. Circ J. 76, 485(2012)
7)Kataoka M, et al. Circ Cardiovasc Interv. 5, 756(2012)
8)Jaïs X, et al. Lancet Respir Med. 10, 961(2022)
9)Kawakami T, et al. Lancet Respir Med. 10, 949(2022)


CTEPHの治療