製品基本Q&A

製品基本Q&A

ヘプタバックス®-Ⅱ(組換え沈降B型肝炎ワクチン(酵母由来))


製品情報

B型肝炎ワクチン(Hepatitis B vaccine)からHeptavax、また血漿由来B型肝炎ワクチン(第一世代)に対して遺伝子組換えB型肝炎ワクチンは第二世代にあたるため“Ⅱ”を付しHeptavax-Ⅱとしました。

<引用>
インタビューフォーム

本剤の添付文書には、以下のとおり記載されています。

4. 効能又は効果

○B型肝炎の予防
○B型肝炎ウイルス母子感染の予防(抗HBs人免疫グロブリンとの併用)
○HBs抗原陽性でかつHBe抗原陽性の血液による汚染事故後のB型肝炎発症予防(抗HBs人免疫グロブリンとの併用)

<引用>
添付文書

B型肝炎ウイルスは体内に侵入後、血流にのって肝臓に到達し、肝細胞の中で増殖します。しかし事前にB型肝炎ワクチンを接種し、体内でHBs抗体が産生されていると、B型肝炎ウイルスは肝臓に入りこむ前に血中で中和され、感染が防御されます。

<引用>
インタビューフォーム

使用方法

本剤の添付文書には、以下のとおり記載されています。

6.用法及び用量
<B型肝炎の予防>
通常、0.5mLずつを4週間隔で2回、更に、初回注射の20~24週後に1回0.5mLを皮下又は筋肉内に注射する。ただし、10歳未満の者には、0.25mLずつを同様の投与間隔で皮下に注射する。
ただし、能動的HBs抗体が獲得されていない場合には追加注射する。

<B型肝炎ウイルス母子感染の予防>
通常、0.25mLを1回、生後12時間以内を目安に皮下に注射する。更に、0.25mLずつを初回注射の1箇月後及び6箇月後の2回、同様の用法で注射する。
ただし、能動的HBs抗体が獲得されていない場合には追加注射する。

<HBs抗原陽性でかつHBe抗原陽性の血液による汚染事故後のB型肝炎発症予防>
通常、0.5mLを1回、事故発生後7日以内に皮下又は筋肉内に注射する。更に0.5mLずつを初回注射の1箇月後及び3~6箇月後の2回、同様の用法で注射する。なお、10歳未満の者には、0.25mLずつを同様の投与間隔で皮下に注射する。
ただし、能動的HBs抗体が獲得されていない場合には追加注射する。

7.用法及び用量に関連する注意
7.1 定期接種対象者と標準的接種年齢
生後1歳に至るまでの間にある者に対し、標準として生後2月に至った時から生後9月に至るまでの間に、27日以上の間隔をおいて2回、更に1回目の接種から139日以上の間隔をおいて1回皮下に接種する。

7.2 一般的注意
<効能共通>
7.2.1 本剤は年齢により異なる接種量が定められている。10歳未満に0.25mL、10歳以上には0.5mLを接種する。0.25mL及び0.5mLシリンジ製剤の2つの規格があるので、本剤の接種前に被接種者の年齢及びその接種量を確認の上、適切な製剤を使用すること。
7.2.2 B型肝炎ウイルスへの曝露による感染及び発症の可能性が高い者又はB型肝炎ウイルスに感染すると重症化するおそれがある者には、本剤の3回目接種1~2箇月後を目途に抗体検査を行い、HBs抗体が獲得されていない場合には追加接種を考慮すること。

<B型肝炎ウイルス母子感染の予防>
7.2.3 抗HBs人免疫グロブリンを併用すること。
7.2.4 初回注射の時期は、被接種者の状況に応じて生後12時間以降とすることもできますが、その場合であっても生後できるだけ早期に行うこと。

<HBs抗原陽性でかつHBe抗原陽性の血液による汚染事故後のB型肝炎発症予防>
7.2.5 抗HBs人免疫グロブリンを併用すること。

7.3 同時接種
医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができる。

本剤の添付文書には、以下のとおり記載されています。

9. 特定の背景を有する者に関する注意
9.8 高齢者
接種にあたっては、予診等を十分に行い、被接種者の健康状態を観察すること。一般に生理機能が低下している。 外国で行われたB型肝炎ワクチンの臨床研究では、高齢者で抗体産生反応が減弱する可能性が示されている。

<引用>
添付文書

本剤の添付文書には、以下のとおり記載されています。

9. 特定の背景を有する者に関する注意
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、予防接種上の 有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種するこ と。

<引用>
添付文書

B型肝炎ワクチンの接種後にHBs抗体が陽転したにもかかわらず、その後HBs抗体が再び陰転した場合に、B型肝炎ワクチンを追加接種すべきかどうかという点に関しては一定の見解が得られていません。

日本環境感染学会の「医療関係者のためのワクチンガイドライン 第3版」では、「3回目の接種終了後から 1~2 ヵ月後に HBs 抗体検査を行い、10 mIU/mL 以上であれば免疫獲得と判定する。ワクチンのシリーズ接種後の抗体検査で免疫獲得と確認された場合は、その後の抗体検査や追加のワクチン接種は必要ではない」としています(1)。

追加接種が推奨されない理由として、ワクチンによる免疫記憶の獲得・維持が挙げられています(2)。

<引用>
(1)日本環境感染学会: 環境感染誌 2020;35(Suppl II):S1-S4.
(2) Schillie S et al. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2018;67(1):1-31.

B型肝炎ワクチンを3回接種してHBs抗体が獲得され、その後陰性化した場合、通常1回の接種により短期間でHBs抗体価の上昇が見られます(1)。

血漿由来B型肝炎ワクチンの3回接種後にHBs抗体陽性が確認されたものの、30年後にHBs抗体価が10mIU/mL未満となっていた例に遺伝子組換えB型肝炎ワクチンを1回接種し、フォローできた121例のうち108例(89%)でHBs抗体価が10mIU/mL以上に上昇していました(1)。

<引用>
(1)Bruce MG et al. J Infect Dis. 2016;214(1):16-22.

定期接種の用法・用量は予防接種実施規則で規定され、3回目の接種は1回目から139日以上の間隔をおいてとされ、添付文書には臨床試験成績が審査され承認された用法・用量が記載され、3回目の接種は1回目から20~24週経過した後とされているためです。

定期接種の用法用量は、厚生科学審議会による検討及びパブリックコメントによる意見募集を経て、最終的に厚生労働省による「予防接種法施行規則及び予防接種実施規則の一部を改正する省令」の公布により決定されます。組換え沈降B型肝炎ワクチンは、2016年6月22日の改正省令の公布により、「第1回目の注射から139日以上の間隔をおいて1回」と規定されました。

予防接種実施規則の記載内容(第21条第1項)(1)
接種方法:B型肝炎の定期の予防接種は、組換え沈降B型肝炎ワクチンを27日以上の間隔をおいて2回皮下に注射した後、第1回目の注射から139日以上の間隔をおいて1回皮下に注射するものとし、接種量は、毎回0.25ミリリットルとすること。

添付文書の用法・用量は、承認された効能効果に対して、治験時に用いられた投与量・投与方法のうち、有効性と安全性が証明され、厚生労働省が承認した用法・用量が記載されます。添付文書の用法・用量の変更は、承認事項の一部変更承認申請を行い、医薬品医療機器総合機構(PMDA)及び厚生労働省の審査を経て、承認された場合にのみ可能となります。

<引用>
(1)予防接種法実施規則

[ヘプタバックス®-Ⅱ添付文書の記載]
[接種不適当者:明らかな発熱を呈している者、重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者]

麻しんに関しては治癒後4週間程度、その他(風しん、水痘及びおたふくかぜ等)の疾病については治癒後2~4週間程度の間隔をおいて接種します。

予防接種ガイドラインの疾病罹患後の間隔の記載を示します(1)。
麻しん、風しん、水痘およびおたふくかぜ等に罹患した場合には、全身状態の改善を待って接種する。
医学的には、個体の免疫状態の回復を考え、麻しんに関しては治癒後4週間程度、その他(風しん、水痘及びおたふくかぜ等)の疾病については治癒後2~4週間程度の間隔をおいて接種する。
その他のウイルス性疾患(突発性発疹、手足口病、伝染性紅斑等)に関しては、治癒後1~2週間の間隔をおいて接種する。
いずれの場合も一般状態を主治医が判断し、対象疾病に対する予防接種のその時点での重要性を考慮し決定する。また、これらの疾患の患者と接触し、潜伏期間内にあることが明らかな場合には、患児の状況を考慮して接種を決定する。

<引用>
(1)予防接種ガイドライン 2021年度版. 発行:公益財団法人予防接種リサーチセンター, 2021:37.

添付文書の用法及び用量に従って3回の接種をお願いします。
3回目が遅れてしまった場合は、速やかに3回目を接種します(1)。
3回目の接種はブースターとして働き、高い抗体価を獲得し、長期にわたる予防効果を得るために重要です(2)。2回目と3回目の接種間隔が通常の間隔よりも長くなるとより高い抗体価が得られると報告されていますが(1)(2)(3)、接種完了までに感染する可能性があります。

<引用>
(1)岡部 信彦 編. 予防接種に関するQ&A集. 発行:日本ワクチン産業協会, 2021:120. (Q8)
(2)Jilg W et al. J Infect Dis. 1989;160(5):766-9.
(3)Hadler SC et al. Vaccine. 1989;7(2):106-10.

ヘプタバックス®-Ⅱの用法及び用量に従い、能動的HBs抗体が獲得されていない場合には追加接種を行ってください。

日本環境感染学会から出されている医療関係者のためのワクチンガイドラインでは、1回のシリーズで抗体陽性とならなかった医療関係者に対しては、もう1シリーズ(3回)のワクチン接種を考慮する、とされています(1)。
2シリーズ(6回)接種してもHBs抗体が陽転しない場合には、それ以上ワクチンは接種せず、B型肝炎ウイルス曝露時に、抗HBs人免疫グロブリン(HBIG)で対応することになります(1)。

第1シリーズに反応しなかった人が第2シリーズに反応する可能性は、30~50%とされています。なお、第1シリーズと第2シリーズとの間隔(3回目と4回目接種の間隔)は、明記されていません。また、3シリーズ以上の(合計6回を超えた)接種は推奨されていません(1)。

米国予防接種諮問委員会(Advisory Committee on Immunization Practices:ACIP)の推奨(2)では、1シリーズ3回の接種記録がありHBs抗体が10mIU/mL未満の医療関係者には、1回追加接種し、1-2カ月後にHBs抗体を測定する、とされています。
HBs抗体価が10mIU/mL未満の場合は、さらに2回(合計6回)の追加接種を行い、最終接種の1-2カ月後にHBs抗体を測定します。
その他の対応方法として、最近ワクチンを接種しHBs抗体が10mIU/mL未満であった医療関係者に対しては、3回の追加接種を行い、最終接種の1-2カ月後にHBs抗体を測定するのも実用的、とされています。

<引用>
(1)(1)日本環境感染学会 医療関係者のためのワクチンガイドライン 第3版
(2)Schillie S et al. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2018;67(1):1-31

本剤の添付文書には、以下のとおり記載されています。

7.用法及び用量に関連する注意
7.3 同時接種
医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができる。

<引用>
添付文書

接種スケジュールどおりに接種できなくてもやり直さず、3回の接種を行います。
2回目の接種が遅れてしまった場合は、2回目を速やかに接種します。その後、3回目を接種すれば基礎免疫が得られると考えられます(1)。
1回目と2回目の接種の間隔が4週より短くなることについて、接種間隔の許容範囲を示すデータはありません。

米国予防接種諮問委員会(Advisory Committee on Immunization Practices:ACIP)の推奨では、初回接種と2回目の接種の間隔は最少でも4週空ける、最少の間隔より短い期間が4日以内であればその接種は有効と考えるとしています(2)。
予防接種法に基づく定期接種の対象者は、初回接種から27日以上の間隔をおいて2回目の接種を行うことと規定されています。

2回目と3回目の間隔については、世界保健機関(WHO)は少なくとも4週以上(1)、ACIPは8週以上空けること(2)を推奨し、また、ACIPは1回目と3回目の間隔は16週以上空けることを推奨していますので、2回目接種が大きくずれた場合もご参考にお願いします。

<引用>
(1)WHO Wkly Epidemiol Rec. 2017;92(27):369-92(p.378).
(2)Schillie S et al. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2018;67(1):1-31(p24).

安全性

本剤の添付文書には、以下のとおり記載されています。

8. 重要な基本的注意は?
8.1 本剤は、「予防接種実施規則」及び「定期接種実施要領」に準拠して使用すること。
8.2 被接種者について、接種前に必ず問診、検温及び診察(視診、 聴診等)によって健康状態を調べること。
8.3 被接種者又はその保護者に、接種当日は過激な運動は避け、 接種部位を清潔に保ち、また、接種後の健康監視に留意し、 局所の異常反応や体調の変化、さらに高熱、けいれん等の異常な症状を呈した場合には、速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせること。

<引用>
添付文書

副反応発現率は、ワクチン日誌を用いていない治験時12.7%(延べ968例/7,603例)、ワクチン日誌を用いた治験時の皮下接種で、注射部位73.8%(411例/557例)、全身性12.4%(69例/557例)、筋肉内接種で注射部位63.8%(60例/94例)、全身性10.6%(10例/94例)、及び再審査終了時2.1%(延べ247例/11,891例)、チメロサール除去製剤を使用した使用成績調査時1.6%(6例/384調査症例)であり、その主なものは注射部位疼痛、紅斑、腫脹、頭痛、倦怠感、発熱などです。

重大な副反応としてショック、アナフィラキシー、多発性硬化症、急性散在性脳脊髄炎、脊髄炎、視神経炎、ギラン・バレー症候群、末梢神経障害が報告されています。

<引用>
インタビューフォーム

基本的に特別な治療はなく、通常の対症療法を行います。

予防接種ガイドラインでは、通常みられる副反応に対する対策として、以下の記載があります(1)。

・局所発赤・腫脹・硬結について
一般に、発赤・腫脹は3~4日で消失するが、熱感、発赤の強いときには局所の冷湿布を行う。硬結は次第に小さくなるが1か月後でもなお残る場合もある。これについては放置してよい。
・発熱
発熱の対策は一般的処置として冷却、必要に応じてアセトアミノフェン等の解熱剤を投与する。他の原因による発熱も考えられるので観察が重要である。

<引用>
(1)予防接種ガイドライン 2021年度版. 発行:公益財団法人予防接種リサーチセンター, 2021:56-57.

<抗体陽転率>
国内第Ⅲ相試験(1)において、1363例を対象に本剤を初回、1ヵ月後、6ヵ月後に3回接種し、各接種1ヵ月後(接種1ヵ月後、2ヵ月後、7ヵ月後)における抗体陽転率は、筋肉内投与:接種1ヵ月後:7.9%(42/530例)、2ヵ月後:44.2%(92/208例)、7ヵ月後:93.3%(463/496例) 皮下投与:接種1ヵ月後:8.8%(57/650例)、2カ月後:34.3%(86/251例)、7ヵ月後:89.2%(521/584例)でした。

若年健康成人を対象にした国内第Ⅲ相臨床試験(2)において、本剤を初回、1ヵ月後、6ヵ月後に3回接種し、3回接種1ヵ月後のHBs抗体価が10mIU/mL 以上の被験者の割合は、皮下投与:87.2%(423/485 例)、筋肉内投与:98.7%(78/79 例)でした。この試験で接種回数別には抗体価を検討していません。

<抗体価>
国内第Ⅲ相試験(1)では接種1ヵ月後、6ヵ月後、7ヵ月後に、RIA(ラジオイムノアッセイ)法にて抗体価を測定した結果、筋肉内投与:1.12mIU/mL(1ヵ月後)、6.31mIU/mL(6ヵ月後)、105mIU/mL(7ヵ月後)、皮下投与:1.14mIU/mL(1ヵ月後)、5.44mIU/mL(6ヵ月後)、66.6mIU/mL(7ヵ月後) でした。

<副反応>
国内第Ⅲ相試験(1)におけるすべての副反応は、筋注群で10.3%(180/1748例)、皮下注群で14.3%(310/2173例)に認められました。
また、接種局所の副反応(注射部疼痛、熱感、発赤等)に関しては筋注群で4.8%(84/1748例)、皮下注群で8.4%(182/2173例)の発現でした。いずれにおいても副反応は初回、2回目、3回目と順を追って減少し、いずれの回も皮下注群で筋注群より高率でした。

若年健康成人を対象にした国内第Ⅲ相臨床試験(2)において、ワクチン日誌も用いて収集した安全性情報より、皮下接種で、注射部位73.8%(411例/557例)、全身性12.4%(69例/557例)、筋肉内接種で注射部位63.8%(60例/94例)、全身性10.6%(10例/94例)に副反応がみられました。この試験では接種回数別に副作用発現率を検討していません。また、ここに示した皮下投与と筋肉内投与で副作用発現率の比較は行っていません。

<引用>
(1)飯野 四郎 他; 薬理と治療 1987;15(6):2403-2415.
(2)社内資料

1回目の接種で副反応が発現しても、接種不適当者に該当しない限り、残りの接種を継続することは可能です。

予防接種で接種後2日以内に発熱の見られた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことのあるものは接種要注意者です。 ヘプタバックス®-Ⅱに限らずワクチンに共通ですが、健康状態及び体質を勘案し、診察及び接種適否の判定を慎重に行い、予防接種の必要性、副反応、有用性について十分な説明を行い、同意を確実に得た上で、注意して接種してください。

なお、米国予防接種諮問委員会(Advisory Committee on Immunization Practices:ACIP)の推奨(1)では、状態により接種可能だが接種禁忌と誤解され易い状態として、前回の接種での軽度から中等度の局所反応又は発熱、ワクチン以外でのアレルギー等を挙げています。

<引用>
(1)Best Practices Guidance of the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP). (p.60, Table 4-2)

ヘプタバックス®-Ⅱの用法・用量に従い、能動的HBs抗体が獲得されていない場合には追加接種を行います。

被接種者がB型肝炎ウイルスキャリア(HBs抗原陽性者)の場合、B型肝炎ワクチンを接種しても、効果は期待できません。

B型肝炎ワクチンは、有効成分を液相に浮遊させたものであることから、使用にあたっては、 必ず十分に振って、沈澱している有効成分をあらかじめ浮遊させることが大切です。B型肝炎ワクチンを接種しても有効でなかった(HBs抗体獲得が得られなかった)ケースを調べると、使用前に十分に振らなかったために、上清のみを接種している場合がよくみられることから注意が必要です(1)。使用にあたってはよく振り混ぜてください。

被接種者の既往歴、合併症、現治療の影響による免疫状態によっては抗体が上昇しにくい場合があります。

<引用>
(1)B型肝炎について(一般的なQ&A) 平成26年7月1日 公益財団法人ウイルス肝炎研究財団 (Q26)

その他

本剤の添付文書には、以下のとおり記載されています。

14. 適用上の注意
14.1 薬剤接種時の注意
14.1.1 接種時
(1) 接種用器具は、ガンマ線等により滅菌されたディスポー ザブル品を用いること。
(2) 冷蔵庫から取り出し室温になってから使用すること。特に本剤は沈降しやすいので、使用直前によく振り混ぜること。
(3) 本剤を他のワクチンと混合して接種しないこと。
(4) 針を時計回りにシリンジにねじ込み、しっかり固定して、 用法・用量に従い全量を投与すること。
(5) 注射針の先端が血管内に入っていないことを確かめること。
(6) 本剤は1人1回限りの使用とすること。

14.1.2 接種部位
(1) 通常、上腕伸側とし、アルコールで消毒する。なお、同 一接種部位に反復して接種しないこと。
(2) 筋肉内注射にあたっては、組織・神経等への影響を避けるため、下記の点に注意すること。
・神経走行部位を避けること。
・注射針を刺入したとき、激痛の訴えや血液の逆流をみた 場合は直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。

本剤の添付文書には、以下のとおり記載されています。

貯法: 2~8℃、凍結を避けること

20. 取扱い上の注意
外箱開封後は遮光して保存すること。

<引用>
添付文書

抗体が獲得できない原因としては、1)被接種者に由来する原因、2)接種方法に由来する原因、3)抗体価測定に由来する原因等が考えられます。
3回接種しても抗体が獲得できない場合には、このような原因を考慮の上、追加接種をご検討下さい。

被接種者では、B型肝炎ワクチン接種に対する無反応のリスクファクターとして、年齢、喫煙、肥満、遺伝子多様性などが挙げられています(1)(2)。
女性は男性よりやや反応が良好といわれています(3)。 

<引用>
(1)Averhoff F et al. Am J Prev Med. 1998;15(1):1-8.
(2)Alper CA et al. N Eng J Med. 1989;321(11):708-12.
(3)Schillie S et al. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2018;67(1):1-31.

B型肝炎ワクチンの接種後にHBs抗体価が10mIU(国際単位)/mL以上であれば、防御に有効であると考えられています(1)(2)(3)。

B型肝炎ワクチンの3回の接種後にHBs抗体価が10mIU/mL以上であった免疫能正常者は、その後HBs抗体価が10mIU/mL未満に低下しても予防効果は継続し、急性疾患、慢性感染のいずれも予防されます(1)(2)。

<引用>
(1)Van Damme P et al. 25-Hepatitis B Vaccines in Plotkin’s Vaccines 7th edition. Elsevier, 2018:342-374 (p.362-365).
(2)Schillie S et al. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2018;67(1):1-31.
(3)日本環境感染学会 医療関係者のためのワクチンガイドライン 第3版

乳幼児期にB型肝炎ワクチンを接種後、予防効果は長期間持続すると考えられています。

乳幼児期にB型肝炎ワクチンを接種した海外の報告では、20歳頃には半数程度でHBs抗体価が10mIU/mL未満となりますが、HBs抗体価が低下した人にB型肝炎ワクチンを1回接種すると多くでHBs抗体価が10mIU/mL以上に上昇し、免疫記憶があり予防効果は持続しているとされています(1)(2)。

国内で乳幼児期にB型肝炎ワクチンを接種した、長期予防効果ならびに抗体価の持続のデータはありません。

<引用>
(1)Klinger G et al. Vaccine. 2018;36(17):2288-2292.
(2)Bini C et al. Hum Vaccin Immunother. 2018;14(2):450-455.

<抗体検査の実施時期について>
添付文書では「本剤の3回目接種1-2箇月後を目途に抗体検査を行い、HBs抗体が獲得されていない被接種者には追加接種を考慮すること」としています。

日本小児科学会の指針(1)では、「生後9-12カ月を目安にHBs抗原とHBs抗体検査を実施」としています。

<検査後の対応について>
HBs抗原及びHBs抗体の有無により以下のように記載されています(1)。
HBs抗原陰性かつ HBs抗体10mIU/mL以上の場合は予防成功と判断し、予防処置は終了します。
HBs抗原陰性かつ HBs抗体10mIU/mL未満の場合はB型肝炎ワクチンの追加接種を行います。
HBs抗原陽性 の場合はB型肝炎ウイルス感染を精査するために専門医療機関へ紹介します。

<追加接種について>
B型肝炎ワクチン0.25ml皮下注射を3回接種します。
接種時期の例としては、HBs抗原陰性かつHBs抗体10mIU/mL以下であることを説明した際、さらに1カ月後、6カ月後が示されています(1)。

<追加接種した後の検査後の対応について>
追加接種終了の1~2カ月後に再度、HBs抗原とHBs抗体検査を実施します(1)。
検査後の対応は、HBs抗原及びHBs抗体の有無により以下のように記載されています。
HBs抗原陰性かつ HBs抗体10mIU/mL以上の場合は予防成功と判断し、追加接種は終了します。
HBs抗原陰性かつ HBs抗体10mIU/mL未満の場合は無反応例と判断し、専門医療機関へ紹介します。
HBs抗原陽性 の場合は専門医療機関へ紹介します。

<引用>
(1)日本小児科学会 「B型肝炎ウイルス母子感染予防のための新しい指針」

ジェノタイプ(もしくはゲノタイプ)(遺伝子型)はB型肝炎ウイルスの全ゲノムの塩基配列を比較した分類です。配列が8%違っていれば異なるジェノタイプと判定されます。 現在AからJまでが確認されています。ジェノタイプによって臨床経過に違いがあります。また、地域ごとに分布しているジェノタイプが異なります (1)(2)(3)。

B型肝炎ウイルスはジェノタイプのほか、セロタイプ(血清型)でも分類されます。
両者は全く違う方法で分類されるため、必ずしも関連しません。

<引用>
(1)Ito K et al. J Gastroenterol. 2018;53(1):18 26,
(2)肝炎治療ガイドライン(第3.4版)2021年5月 日本肝臓学会
(3)B型肝炎ワクチン作業チーム報告書 ファクトシート追加編 p.3

セロタイプ(血清型)はB型肝炎ウイルスのHBs抗原蛋白の抗原性による分類です。4つのサブタイプ(adw、adr、ayw、ayr)があります。 抗原決定基「a」はすべてのセロタイプに共通します。 抗a抗体はどのセロタイプのHBs抗原にも結合できるとされています (1)(2)。

B型肝炎ウイルスはセロタイプのほか、ジェノタイプ(もしくはゲノタイプ)(遺伝子型)でも分類されます。
両者は全く違う方法で分類されるため、必ずしも関連しません。

<引用>
(1)B型肝炎ワクチンに関するファクトシート(平成22年7月7日版) p.6
(2)Kato M et al. J Gastroenterol. 2017;52(9):1051 1063.

被汚染者は、汚染されたのが皮膚であれば石鹸と水で洗い、粘膜であれば流水で流します。 必要に応じ、被汚染者と汚染源の血液検査、乾燥抗HBs人免疫グロブリン(HBIG)、B型肝炎ワクチンの投与を行います。

米国予防接種諮問委員会(Advisory Committee on Immunization Practices:ACIP)の推奨における対応を以下に示します(1)。

医療従事者で、B型肝炎ワクチン接種の記録があり、接種後にHBs抗体価が10mIU/mL以上であった記録がある場合は、対応は不要です。

医療従事者で、B型肝炎ワクチン接種の記録があり、接種後にHBs抗体価の検査をしていない場合は、被汚染者のHBs抗体と、汚染源のHBs抗原を検査します。被汚染者のHBs抗体価10mIU/mL未満、汚染源のHBs抗原陽性または不明の場合、HBIGを1回とB型肝炎ワクチンを投与します。被汚染者のHBs抗体価10mIU/mL未満、汚染者のHBs抗原陰性の場合、B型肝炎ワクチンを投与します。HBs抗体価が10mIU/mL以上の場合、対応は不要です。

医療従事者で、2回のシリーズのB型肝炎ワクチン接種後にHBs抗体価が10mIu/mL未満の場合は、汚染源のHBs抗原を検査します。汚染源のHBs抗原が陽性または不明の場合、HBIGを2回投与します。汚染源がHBs抗原陰性の場合、対応は不要です。

医療従事者でワクチン未接種では、汚染源のHBs抗原を検査します。汚染源のHBs抗原が陽性または不明の場合、HBIGを1回とB型肝炎ワクチンを投与します。汚染源のHBs抗原が陰性の場合、B型肝炎ワクチンを投与します。

業務外での汚染事故で、汚染源のHBs抗原が陽性の場合で、被汚染者にB型肝炎ワクチン接種の記録がある場合、B型肝炎ワクチンを1回投与します。被汚染者のワクチンの接種回数が不足している場合、HBIGを1回とB型肝炎ワクチンの残りの回数を投与します。被汚染者がワクチン未接種の場合、HBIGとB型肝炎ワクチンを投与します。
汚染源のHBs抗原が不明の場合で、被汚染者にB型肝炎ワクチン接種の記録がある場合、対応は不要です。被汚染者のワクチンの接種回数が不足している場合、B型肝炎ワクチンの残りの回数を投与します。被汚染者がワクチン未接種の場合、B型肝炎ワクチンを速やか(24時間以内が望ましい)に投与を開始します。

<引用>
(1)Schillie S et al. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2018;67(1):1-31.

接種スケジュール途中でのワクチンの種類の変更に関する情報は添付文書に記載されていません。

<医療関係者への接種>
日本環境感染学会の医療関係者のためのワクチンガイドライン第3版(1)では、下記の様に記載されています。

1 回のシリーズは基本的に同一製品で行うことが望ましいが、我が国で販売されている2種類の製品では異なる製品を組み合わせて接種した場合の互換性は確認されており、同一製品が入手できない場合は接種スケジュールの途中でワクチンを変更することも可能である。

<定期接種>
厚生労働省のB型肝炎ワクチンに関するQ&A(2)では、定期接種について下記の様に記載されています。

基本的には、3回の接種を同一の製剤で行うことが望ましいと考えられますが、切り替えて使用する場合であっても、定期の予防接種としての実施は可能です。なお、切り替えて使用した場合の有効性及び安全性については厚生科学審議会の中で厚生労働科学研究の研究結果として報告されており、有用性が確認されています。

<引用>
(1)日本環境感染学会 医療関係者のためのワクチンガイドライン 第3版
(2)B型肝炎ワクチンに関するQ&A, 厚生労働省

3回目接種の1~2カ月後の抗体価測定が推奨されています(1)(2)。

添付文書、米国予防接種諮問委員会(Advisory Committee on Immunization Practices:ACIP)の推奨(1)、及び日本環境感染学会の医療関係者のためのワクチンガイドライン第3版(2)では、3回目接種の1~2カ月後を目途に抗体価を測定し、その時点での抗体価が10mIU/mL以上を陽転とみなすことになっています。

3回目接種後1カ月後に比べ、3カ月後、6カ月後には抗体価は徐々に下がっていきます(3)。
抗体価の上昇が大きくない場合には数カ月の遅れで陽転したとみなされない可能性があります。その場合は無反応者として扱われることとなり、追加接種が必要となります。

<引用>
(1)Schillie S et al. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2018;67(1):1-31
(2)日本環境感染学会 医療関係者のためのワクチンガイドライン 第3版
(3)Jilg W et al. J Hepatol. 1988;6(2):201-7.

室温放置された製品の使用はおすすめできません。

本剤の添付文書には、以下のとおり記載されています。

貯法:2~8℃、凍結を避けること

20. 取扱い上の注意
外箱開封後は遮光して保存すること。

ワクチン類の貯蔵は各々の生物学的製剤基準の定めるところにより、必ず所定の温度が保たれていることを、温度計によって確認できる冷蔵庫を使用することが定められています(1)(2)。

<引用>
(1)「定期接種実施要領」6.接種液
(2) 岡部 信彦 他 編. 予防接種に関するQ&A集. 発行:日本ワクチン産業協会, 2021:81.(Q9)

1回のシリーズの接種後、HBs抗体価は1年目は急速にその後ゆっくり低下します(1)。
ワクチン3回接種後の抗体価が高いほど長期にわたる抗体価の持続が認められていますが、時間の経過と共に減衰します(2)。

3回接種のシリーズに反応しHBs抗体価が10mIU/mL以上となった小児では、5~15年後に15~50%で低値または検出限界以下となり、成人では、5年後に7~50%、9~11年後に30~60%がHBs抗体価が10mIU/mL未満となります(1)。

曝露前の接種で抗HBs抗体が10mIU/mL以上となった免疫能正常の人では、たとえHBs抗体価が10mIU/mL未満に低下しても、ワクチンによる免疫記憶により、長期間HBV感染に対する対抗性が維持されるとされています(3)。

医療関係者のためのワクチンガイドライン 第3版でも、「抗体を獲得した場合、以後HBV陽性血に曝露されても顕性の急性B型肝炎の発症はないことが報告されている。免疫獲得者では30年以上にわたって急性肝炎や慢性B 型肝炎の発症予防効果が認められている。経年による抗体価低下にかかわらずこの効果は持続するため、米国や欧州からは追加のワクチン接種は不要であるとの勧告が出されている。」と記載されています(4)。

<引用>
(1) Van Damme P et al. 25-Hepatitis B Vaccines in Plotkin’s Vaccines 7th edition. Elsevier, 2018:342-374 (p.362-364).
(2) Jilg W et al. J Hepatol. 1988;6(2):201-7.
(3)Schillie S et al. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2018;67(1):1-31(p10,12).
(4) 医療関係者のためのワクチンガイドライン 第3版 日本環境感染学会

本剤の添付文書には、以下のとおり記載されています。

7. 用法及び用量に関連する注意
7.2 一般的注意
<効能共通>
7.2.2 B型肝炎ウイルスへの曝露による感染及び発症の可能性が高い者又はB型肝炎ウイルスに感染すると重症化するおそれがある者には、本剤の 3回目接種1~2箇月後を目途に抗体検査を行い、HBs抗体が獲得されていない場合には追加接種を考慮すること。

定期接種として接種した場合には通常、抗体価測定は必要ありません。そのため、もし定期接種後に抗体価を測定する場合、健康保険の適用とならず測定にかかる費用は自己負担となります(1)。

<引用>
(1)岡部 信彦 他 編. 予防接種に関するQ&A集. 発行:一般社団法人日本ワクチン産業協会, 2021:117.(Q2)

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