国際共同後期第Ⅱ相/第Ⅲ相試験(CLEVER試験)
健康な早産児・正期産児を対象とした試験
国際共同後期第Ⅱ相/第Ⅲ相試験(CLEVER試験)
承認時評価資料:国際共同後期第Ⅱ相/第Ⅲ相試験(004試験)
Zar HJ et al. N Engl J Med. 2025;393(13):1292-1303.
【利益相反】本研究はMSDからの支援により実施された。著者には同社の社員が含まれる。
- 試験概要
- 試験デザイン
- RSウイルスに関連する疾患の評価項目の定義(CLEVER試験)
- 被験者背景
- 投与後150日目までのエヌフロンシア®の有効性
- サブグループ解析:投与後150日目までのエヌフロンシア®の有効性(日本人集団)
- 投与後180日目までのエヌフロンシア®の有効性
- サブグループ解析:投与後180日目までのエヌフロンシア®の有効性(日本人集団)
- 安全性
- サブグループ解析:安全性(日本人集団)
試験概要
| 目的 | 健康な早産児及び正期産児を対象に、エヌフロンシア®の有効性及び安全性を検討する。 |
| 試験デザイン | 多施設共同、二重盲検、無作為化、プラセボ対照、後期第Ⅱ相/第Ⅲ相試験[22ヵ国(日本を含む)、192施設] |
| 対象 | 生後1歳までに初回のRSウイルス感染流行期を迎える健康な乳児3,614例*(日本人186例を含む) *無作為化後、治験薬を投与された在胎期間29週以上35週未満の早期及び中期早産児、並びに在胎期間35週以上の後期早産児及び正期産児 |
| 方法 | エヌフロンシア®群とプラセボ群に2:1の比で無作為に割り付け、エヌフロンシア® 105mg又はプラセボ(0.9%生理食塩水)を筋肉内投与した。 本試験では以下の2つの治験参加者コホ-トを設けた。 ・後期第Ⅱ相コホ-ト:治験の導入部分であり、300例の乳児(同意取得時に生後2週間超1年以内)を組み入れた。 ・第Ⅲ相コホ-ト:3,332例(同意取得時に生後1年以内)の乳児を組み入れた。 層別因子は、地域(北半球、南半球)、在胎期間[29週以上35週未満(早期及び中期早産児)、35週以上(後期早産児及び正期産児)]及び同意取得時の月齢(6ヵ月未満、6ヵ月以上)とした。 投与後1日目から365日目までを初回RSウイルス感染流行期、投与後365日目から515日目までを2回目のRSウイルス感染流行期とした。 |
| 評価項目 | 【有効性】 主要評価項目 ・投与後150日目までのRSウイルスに関連する医療介入が必要な下気道感染症(外来及び入院)の発現率(検証的解析項目) 副次評価項目 ・投与後150日目までのRSウイルスに関連する入院率(検証的解析項目) ・投与後180日目までのRSウイルスに関連する医療介入が必要な下気道感染症(外来及び入院)の発現率 探索的評価項目 ・投与後150日目及び180日目までのRSウイルスに関連する重度の医療介入が必要な下気道感染症(外来及び入院)の発現率 ・投与後180日目までのRSウイルスに関連する入院率 ・投与後150日目及び180日目までのRSウイルスに関連する下気道感染症による入院率 ・投与後150日目及び180日目までのRSウイルスに関連する急性呼吸器感染症の発現率 【安全性】 主要評価項目 ・投与後5日目までの事前に規定した注射部位の有害事象(注射部位紅斑、注射部位疼痛、注射部位腫脹) ・投与後5日目までの事前に規定した発熱(直腸温が39.0℃以上又は腋窩温が38.7℃以上)及び全身性の有害事象(食欲減退、易刺激性、傾眠) ・投与後42日目までの特に注目すべき有害事象(アナフィラキシー/過敏症及び発疹) ・投与後42日目までの非重篤な有害事象 ・初回RSウイルス感染流行期の治験参加期間中の重篤な有害事象 その他の評価項目 ・投与後365日目までの安全性 【免疫原性】 探索的評価項目 ・投与後150日目、240日目、365日目及び515日目のエヌフロンシア®に対する抗薬物抗体(ADA)の発現割合 |
| 解析計画 | ・有効性の解析はFAS※1、安全性の解析はAPaT集団※2、免疫原性の解析はPP集団※3を対象に実施した。 ・ 検証的解析項目である主要及び副次有効性仮説において、多重性を調整し第一種の過誤を制御するため、ゲートキーピング法を用いた。主要有効性仮説を片側有意水準2.5%で検定し、この検定結果が有意であった場合に、副次有効性仮説(RSウイルスに関連する入院)を片側有意水準2.5%で検定することとした。 ・ 主要評価項目である投与後150日目までのRSウイルスに関連する医療介入が必要な下気道感染症(外来及び入院)の発現率(検証的解析項目)は、治療群、地域、在胎期間、無作為化時の月齢を共変量としたロバスト分散を用いた修正ポアソン回帰モデルにより、有効率及び95%CIを推定し、主要仮説(有効率25%超)に対する片側p値を、正確法を用いて算出した。統計学的成功基準は有効率の95%CIの下限が25%を超えることとした。 ・ 副次評価項目である投与後150日目までのRSウイルスに関連する入院率(検証的解析項目)、投与後180日目までのRSウイルスに関連する医療介入が必要な下気道感染症(外来及び入院)の発現率についても、主要評価項目と同様に有効率の推定値と95%CIを算出した。投与後150日目までのRSウイルスに関連する入院率(検証的解析項目)について、統計学的成功基準は有効率の95%CIの下限が0%を超えることとした。 ・ 探索的評価項目は修正ポアソン回帰モデルを用い、共変量による調整は行わず、治療群割付のみをモデルに組み入れ、有効率の推定値と95%CIを算出した。 ・ 事前規定に基づき、日本人集団の解析を実施した。 |
※1 FAS(Full Analysis Set):無作為化後、治験薬を投与され、かつ特定の治験実施計画書の逸脱により有効性解析対象から除外されなかった全ての治験参加者
※2 APaT(All Participants as Treated)集団:無作為化後に治験薬が1回以上投与された全ての治験参加者
※3 PP(Per-Protocol)集団:無作為化され、治験薬が1回以上投与され、かつ免疫原性評価項目の結果に重大な影響を与えうる治験実施計画書からの逸脱がない全ての治験参加者
4. 効能又は効果
1. 生後初回のRSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)感染流行期の重篤なRSウイルス感染症のリスクを有する新生児及び乳児における、RSウイルス感染による下気道疾患の発症抑制
2. 生後初回のRSウイルス感染流行期の1.以外のすべての新生児及び乳児におけるRSウイルス感染による下気道疾患の予防
試験デザイン
RSウイルスに関連する疾患の評価項目の定義(CLEVER試験)
被験者背景
投与後150日目までのエヌフロンシア®の有効性(FAS)
- 投与後150日目までのRSウイルスに関連する医療介入が必要な下気道感染症(外来及び入院)の発現率におけるプラセボ群に対するエヌフロンシア®群の有効率は60.4%であり、プラセボ群に対するエヌフロンシア®群の優越性が検証されました(95%CI:44.1, 71.9、p<0.001、正確法)[主要評価項目](検証的解析結果)。
- 投与後150日目までのRSウイルスに関連する入院率におけるプラセボ群に対するエヌフロンシア®群の有効率は84.2%であり、プラセボ群に対するエヌフロンシア®群の優越性が検証されました(95%CI:66.6, 92.6、p<0.001、正確法)[副次評価項目](検証的解析結果)。
- 投与後150日目までの各評価項目の結果は、以下の通りでした。
投与後150日目までのエヌフロンシア®の有効性(FAS)
サブグループ解析:投与後150日目までのエヌフロンシア®の有効性(日本人集団)
事前規定に基づき実施された各項目における日本人集団の有効性の結果は以下の通りでした。
投与後150日目までのエヌフロンシア®の有効性(日本人集団)
投与後180日目までのエヌフロンシア®の有効性(FAS)
- 投与後180日目までのRSウイルスに関連する医療介入が必要な下気道感染症(外来及び入院)の発現率におけるプラセボ群に対するエヌフロンシア®群の有効率は59.5%でした(95%CI:43.3, 71.1)[副次評価項目]。
- 投与後180日目までのRSウイルスに関連する入院率におけるプラセボ群に対するエヌフロンシア®群の有効率は81.3%でした(95%CI:62.5, 90.7)[探索的評価項目]。
- 投与後180日目までのRSウイルスに関連する下気道感染症による入院率におけるプラセボ群に対するエヌフロンシア®群の有効率は91.2%でした(95%CI:77.2,96.6)[探索的評価項目]。
- 投与後180日目までの各評価項目の結果は、以下の通りでした。
投与後180日目までのエヌフロンシア®の有効性(FAS)
サブグループ解析:投与後180日目までのエヌフロンシア®の有効性(日本人集団)
事前規定に基づき実施された各項目における日本人集団の有効性の結果は以下の通りでした。
投与後180日目までのエヌフロンシア®の有効性(日本人集団)
安全性(APaT集団)[主要評価項目・その他の評価項目]
- 投与後365日目までの副作用の発現割合はエヌフロンシア®群28.9%(696/2,409例)及びプラセボ群28.6%(344/1,202例)でした(その他の評価項目)。
- 投与後365日目までの有害事象は、エヌフロンシア®群77.3%(1,861/2,409例)及びプラセボ群77.5%(932/1,202例)でした(その他の評価項目)。主な有害事象(発現割合10%超)は、エヌフロンシア®群で易刺激性24.2%(582/2,409例)、上気道感染14.8%(357/2,409例)、傾眠14.4%(347/2,409例)、プラセボ群で易刺激性25.2%(303/1,202例)、傾眠16.6%(199/1,202例)、上気道感染15.7%(189/1,202例)、でした。
- 投与後365日目までの重篤な有害事象(主要評価項目)はエヌフロンシア®群11.5%(278/2,409例)及びプラセボ群12.4%(149/1,202例)に認められ、主な重篤な有害事象(発現割合0.5%超)は、エヌフロンシア®群で肺炎1.7%(42/2,409例)、細気管支炎1.3%(31/2,409例)、胃腸炎0.8%(20/2,409例)、気管支炎0.7%(16/2,409例)、プラセボ群で肺炎2.4%(29/1,202例)、細気管支炎1.6%(19/1,202例)、RSウイルス細気管支炎1.1%(13/1,202例)、RSウイルス肺炎0.7%(8/1,202例)、胃腸炎、気管支炎、COVID-19各0.6%(7/1,202例)でした。
- 単回投与試験のため、両群ともに有害事象による投与中止例はありませんでした。
- 投与後365日目までの死亡に至った有害事象はエヌフロンシア®群0.3%(7例)及びプラセボ群0.2%(3例)に認められました。その内訳は、エヌフロンシア®群で死亡(3例)、乳児突然死症候群(1例)、ブドウ球菌性敗血症(1例)、誤嚥(1例)、肺臓炎(1例)、プラセボ群で死亡(1例)、熱傷(1例)、並びに凝血異常、僧帽弁疾患、COVID-19、COVID-19肺炎、急性腎障害及び急性呼吸不全(1例)でした。いずれの死亡も治験担当医師により治験薬との関連なしと判定されました。
サブグループ解析:安全性(APaT集団・日本人集団)
- 日本人集団で投与後365日目までに認められた副作用の発現割合(注射部位及び全身性の有害事象を含む)は、エヌフロンシア®群11.6%(15/129例)及びプラセボ群17.5%(10/57例)でした。
- 日本人集団で投与後365日目までに認められた有害事象の発現割合(注射部位及び全身性の有害事象を含む)は、エヌフロンシア®群62.8%(81/129例)及びプラセボ群57.9%(33/57例)でした。主な有害事象(発現割合5%超)は、エヌフロンシア®群で注射部位紅斑8.5%(11/129例)、鼻漏、上気道の炎症各7.0%(9/129例)、易刺激性5.4%(7/129例)、プラセボ群で傾眠15.8%(9/57例)、易刺激性12.3%(7/57例)、体温上昇、上咽頭炎各8.8%(5/57例)、注射部位紅斑、上気道の炎症、上気道感染、乳児湿疹各7.0%(4/57例)、鼻漏、注射部位腫脹、汗疹、食欲減退各5.3%(3/57例)でした。
- 本試験は単回投与試験であり、有害事象による治験薬の投与中止はありませんでした。
- 日本人集団で投与後365日目までに死亡に至った有害事象は認められませんでした。
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