Q3. なぜ、ロタテック®は3回接種なの?
A. ロタウイルスに繰り返し感染することにより免疫が高まることを模倣し、3回接種することで、重症~軽症までのロタウイルス胃腸炎を予防することを目的として開発されました。ロタテック®は、3回接種で、5つの遺伝子型(血清型)を含むワクチンです。
ロタウイルスに繰り返し感染することで免疫が高まります。
多くの乳幼児が、ロタウイルスに複数回感染します。ロタウイルス感染を繰り返すことにより、軽症を含むすべての重症度の下痢症の発症リスクが低下しました。3回感染後は、不顕性感染も抑制されました。
■ 生後2歳までのロタウイルス感染率【海外データ】

Velázquez FR et al. N Engl J Med 1996; 335(14): 1022-1028.
Copyright (c) 1996 Massachusetts Medical Society. All rights reserved. Translated with permission.
ロタテック®は、中度~重度だけでなく、軽度のロタウイルス胃腸炎まで予防することを目的に3回接種にしました。
ロタウイルスは感染を繰り返すことで高い免疫が得られ症状が軽減すること、3回感染すると、その後はロタウイルスによる軽度の下痢症に対して99%、軽度も含めたすべての下痢症に対して92%の予防効果が得られることが確認されています。ロタテック®は、中度~重度だけでなく、軽度のロタウイルス胃腸炎まで予防することを目的に、3回接種のワクチンとして設計されました。
■ 自然感染でのロタウイルスの繰り返し感染と免疫【海外データ】

*1回もロタウイルスに感染していない新生児の発症リスクと比較したリスク減少率
Velázquez FR et al. N Engl J Med 1996; 335(14): 1022-1028.より作図
試験:メキシコにおけるコホート研究
対象:1987年~1988年に生まれた新生児200例
方法:出生時から2歳まで、毎週の家庭訪問と糞便採取を実施し、酵素免疫学的検査によりロタウイルス感染を特定
Limitation(研究の限界):毎週のモニタリング結果において、ウイルスの検出限界以下や低濃度で、抗体反応は感染部位での免疫反応を反映することが相対的に困難である。特に、一次感染の被験者においてはその傾向が高い。
ロタテック®の予防効果【海外データ】
ロタテック®は主要評価項目として重症度を問わないロタウイルス胃腸炎を74.0%抑制しました。また、副次評価項目として、外来受診例は86.0%、保護者の労働損失日数は86.6%減少しました。

安全性コホート(69,274例)における、接種後42日間の腸重積症は、ロタテック®群が6例、プラセボ群5例であった。接種後42日間のロタテック®群の重篤な有害事象の発現は803例、死亡例は14例でした。(内訳:乳児突然死症候群6例、頭部損傷・交通事故、死亡、心房中隔欠損症・肺炎・脂肪肝、急性腎盂腎炎、窒息、悪性新生物、突然死、細菌性髄膜炎・肺炎 各1例ずつ)接種後42日間での中止例は2,838例で、その理由は有害事象214例、治験実施計画書逸脱960例、同意撤回182例、追跡不能68例、転居203例、その他1,211例でした。詳細な安全性コホートにおける接種後42日間に発現した有害事象は、ロタテック®群で4,068/4,795※(84.8%)に認められました。主な有害事象は、発熱1,963例(41%)、上気道感染1,219例(25%)、下痢945例(20%)、易刺激性878例(18%)でした。プラセボ群では、4,113/4,781※(86.0%)に有害事象が認められました。主な有害事象は、発熱2,058例(43%)、上気道感染1,269例(27%)、下痢915例(19%)、易刺激性860例(18%)でした。(MedDRA version 7.1)
※追跡を行った被験者数
【試験】
国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験
【対象】
初回接種時の年齢が生後6~12週目の健康乳児69,274例ならびに有効性コホート5,686例:ロタテック®群2,841例、プラセボ群2,845例
【方法】ロタテック®群またはプラセボ群に無作為に割り付け、計3回、各接種は4~10週(28~70日)の間隔で経口接種した。
当該集団において、ロタテック®/プラセボ3回接種後14日以降にロタウイルス胃腸炎を発症した症例を調査した。
【主要評価項目】
腸重積症のリスク、遺伝子型G1~G4に起因したロタウイルス胃腸炎に対する予防効果を検討した。
【副次評価項目】
3回接種後14日目以降に発症したG1、G2、G3およびG4遺伝子型に起因した重度のロタウイルス胃腸炎に対する予防効果。3回目接種後の2回目のロタウイルスシーズンを通じた予防効果。(重度ロタウイルス胃腸炎、入院、救急外来受診、入院および救急外来受診、外来受診、保護者の労働損失日数)
【解析計画】
95%信頼区間の下限値が>35%の場合、有効性に関する統計学的基準を満たすとし、正確な二項検定を使用した。
海外第Ⅲ相臨床試験(006試験)(承認時評価資料)、Vesikari T et al. N Engl J Med 2006 ; 354(1):23-33より作図
【利益相反】
Vesikari T、Marshall GSはMSD社からのコンサルタント謝礼、講師謝金、研究助成費の授受がある。Matson DOら3名はMSD社からのコンサルタント謝礼もしくは講師謝金と研究助成費の授受がある。Dennehy Pら8名はMSD社からの研究助成費の授受がある。
Shinefield HRら2名はMSD社からの研究助成費の授受があり、MSD株を保有している。
Clark HF、Offit PAはRotaTeqの特許を共同で取得している。Dallas MJら10名はMSD社の社員、Campens Dは仏SPMSDの社員である。
ロタウイルスワクチンの接種スケジュール
ロタテック®の初回は生後14週6日までに接種することが推奨され、接種間隔は4週以上です。
ロタウイルスワクチンは2種類あります。2種類のロタウイルスワクチンは、それぞれ接種回数が異なりますが、他のワクチンと同時接種の場合は、予防接種のための通院回数は変わりません。
■ 予防接種(定期接種)プラン例

NPO法人「VPDを知って、子どもを守ろうの会」予防接種スケジュールを参考にMSDにて一部改変