共有する

臨床における筋弛緩モニタリングと指標

TOFウォッチ®マスターマニュアル

監修:日本大学医学部麻酔科学系麻酔科学分野 主任教授 鈴木 孝浩 先生

臨床における筋弛緩モニタリングと指標

筋弛緩薬の投与後、作用発現がみられてTOF刺激に対する反応が消失し、気管挿管に適した強い筋弛緩状態となる。その後、TOFカウントがみられない深い筋弛緩状態下ではPTCにて確認を行う。なお、TOFカウント1~2(T1、T2)以下が、開腹手術に適した筋弛緩状態である。また、確実に体動やバッキングを回避するにはPTCを指標として筋弛緩の維持を行うことが望ましい。
また、手術終了後のリバースに関して、従来の拮抗薬であるアセチルコリンエステラーゼ阻害薬は天井効果があり、ある程度筋弛緩状態が回復した時点で投与する必要があった。これに対してブリディオン®は、いかなる筋弛緩状態からのリバースも可能である。ブリディオン®の投与量は、エスラックス®投与3分後のような緊急時からのリバースには16mg/kg、1-2PTC出現時のような深い筋弛緩状態には4mg/kg、T2再出現時には2mg/kgとされている。なお、ブリディオン®はロクロニウム分子と1対1で包接体を形成して筋弛緩状態からリバースさせるため、過少投与が行われた場合、再クラーレが起こることがある。適切なリバースを得るには、筋弛緩の状態に合わせたブリディオン®を投与することが必要である。

筋弛緩の深度とブリディオン®の用法・用量

筋弛緩の深度とブリディオン®の用法・用量