開発の経緯
開発の経緯
ピフェルトロ®錠100mg(一般名:ドラビリン)は、Merck & Co., Inc., Rahway, N.J., U.S.A. で創製されたヒト免疫不全ウイルス 1型(HIV-1)の逆転写酵素に対する新規の非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(Non-nucleoside reverse transcriptase inhibitor:NNRTI)です。
現在のHIV感染症の治療は、HIV RNA量を検出限界以下に抑え続けることを目標に、抗レトロウイルス療法 (Antiretroviral therapy:ART)を一生涯服用する必要があります。この目標を達成するには、 ARTに対する良好な服薬アドヒアランスの維持が大切です。また、HIV感染症以外の合併症や併用療法など個々の患者の状態や環境に応じ、最適な治療選択肢を提供することが重要となっています。 ピフェルトロ®は、野生型ウイルス及び主なNNRTI耐性ウイルスに対し阻害活性を示す新規NNRTIとして開発されました。
海外第Ⅲ相臨床試験では、治療未経験の外国人HIV-1感染症患者を対象に、他の抗HIV 薬と併用して、ピフェルトロ®をダルナビル及びリトナビル(DRV/r)を対照薬として投与した際の有効性及び安全性を検討する試験(018試験:DRIVE-FORWARD試験)、同じく治療未経験の外国人HIV-1感染症患者を対象に、ドラビリン/ラミブジン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(DOR/3TC/TDF)※1をエファビレンツ/エムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩※2を対照薬として投与した際の有効性及び安全性を検討する試験(021試験:DRIVE-AHEAD試験)、及び既存のベースライン治療によりウイルス学的抑制が得られている外国人HIV-1感染患者を対象に、DOR/3TC/TDFに切り替えた際の有効性及び安全性を検討する試験(024試験: DRIVE-SHIFT試験)を実施しました。その結果、いずれの試験においても、ピフェルトロ®(ドラビリン)を含むレジメンの有効性が検討されました。また、ベースラインのウイルス量にかかわらず抗ウイルス効果を示し、食事の有無にかかわらず1日1回-投与が可能であることも確認されています。
これらの結果を踏まえ、HIV-1感染症を適応症として、他の抗HIV薬と併用して、ドラビリン1日1回-100 mg投与の用法及び用量で製造販売承認申請を行い、米国では2018年8月に、EUでは2018年11月に承認されました。
国内では、ピフェルトロ®錠100mgについて「HIV感染症治療薬の製造又は輸入承認申請の取扱いについて(平成10年11月12日付医薬審第1015号)」に基づき、海外における承認申請資料を用いて-製造販売承認を申請し、2020年1月に承認を取得しました。
※1:DOR/3TC/TDFは、ドラビリン100mg/ラミブジン300mg/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩300mgを含有する製剤で、国内未承認です。
各成分の国内承認用法及び用量(各製品電子添文より):
・ドラビリン:通常、成人にはドラビリンとして100mgを1日1回経口投与する。本剤は、食事の有無にかかわらず投与できる。投与に際しては、必ず他の抗HIV薬と併用すること。
・ラミブジン:通常、成人には他の抗HIV薬と併用して、ラミブジンとして1日量300mgを1日1回又は2回(150mg×2)に分けて経口投与する。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩:通常、成人にはテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩として1回300mg(テノホビル ジソプロキシルとして245mg)を1日1回経口投与する。なお、投与に際しては必ず他の抗HIV薬と併用すること。
※2:EFV/FTC/TDFは、エファビレンツ600mg/エムトリシタビン200mg/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩300mgを含有する製剤で、国内未承認です。
各成分の国内承認用法及び用量(各製品電子添文より):
・エファビレンツ:通常、成人にはエファビレンツとして600mgを1日1回経口投与する。本剤は、食事の有無にかかわらず投与できる。なお、投与に際しては必ず他の抗HIV薬と併用すること。
・エムトリシタビン:通常、成人にはエムトリシタビンとして1回200mgを1日1回経口投与する。なお、投与に際しては必ず他の抗HIV薬と併用すること。
・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩:通常、成人にはテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩として1回300mg(テノホビル ジソプロキシルとして245mg)を1日1回経口投与する。なお、投与に際しては必ず他の抗HIV薬と併用すること。