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KEYNOTE-045試験

尿路上皮癌:国際共同臨床試験成績:国際共同第Ⅲ相試験 <KEYNOTE-045試験>

承認時評価資料:国際共同第Ⅲ相試験(KEYNOTE-045試験)
Bellmunt J et al. N Engl J Med 2017; 376: 1015-1026#1
Vaughn DJ et al. J Clin Oncol 2018; 36: 1579-1587#2

#1 本試験はMSD社の資金提供により行われた。Joaquim BellmuntはMSD社から顧問料等を受領している。その他の著者に同社から顧問料などを受領している者が含まれる。著者のうち、Yabing Mai、Rodolfo F. Perini、Christian H. PoehleinはMSD社の社員である。
#2 本試験はMSD社の資金提供により行われた。David J. VaughnはMSD社から顧問料等を受領している。その他の著者に同社から顧問料などを受領している者が含まれる。著者のうち、Yabing Mai、Haojie Li、Rodolfo F. PeriniはMSD社の社員である。

試験概要

【目的】プラチナ製剤併用化学療法後に再発又は進行した局所進行性又は転移性の尿路上皮癌患者の2次治療におけるキイトルーダ®と化学療法の有効性及び安全性を比較検討する。

【デザイン】国際共同無作為化非盲検第Ⅲ相試験[優越性試験]
主要評価項目及び副次評価項目 第2回中間解析結果[データカットオフ日: 2016年9月7日(追跡期間中央値: 14.1ヵ月)]
探索的評価項目 データカットオフ日:2017年1月18日(追跡期間中央値: 18.5ヵ月)

【対象】1次治療のプラチナ製剤併用化学療法後に再発又は進行した、あるいはプラチナ製剤併用化学療法による術前若しくは術後補助化学療法の治療終了後12ヵ月以内に再発又は進行した局所進行性又は転移性の尿路上皮癌患者542例(日本人患者52例を含む)

試験概要

【方法】キイトルーダ®群(200mgを3週間間隔(Q3W)で点滴静注)又は化学療法群に1:1の割合で無作為に割り付けた。無作為割り付け後9週時点とその後6週間毎に患者の疾患状態を画像診断により評価した。投与開始後1年以降は12週間毎に患者の疾患状態を評価した。疾患進行、許容できない有害事象の発現、又は投与完了(キイトルーダ®投与は24ヵ月間)まで継続した。

試験概要

※1、2 パクリタキセル、ドセタキセルは尿路上皮癌に対して国内適応外
※3 vinflunineは国内未承認のため、日本では選択されなかった

【評価項目】主要評価項目:ITT集団*2及びPD-L1高発現(CPS*3≧10)、PD-L1陽性(CPS≧1)患者における全生存期間(OS*4及び無増悪生存期間(PFS*5
副次評価項目:奏効率(ORR*6#、奏効期間(DOR*7)、安全性
探索的評価項目:健康関連QoLに関するPRO*8(EORTC QLQ-C30、EQ-5D)

#検証的解析項目

【判定基準】PFS、ORR、DORは、BICR*9がRECISTガイドライン1.1版に基づき評価した。
[第2回目中間解析及び最終解析はPD-L1陽性(CPS≧1)を除く]

【解析計画】解析対象集団:有効性はITT集団、安全性はASaT集団*10を解析対象とした。QoLの解析対象はFAS集団*11とした。
有効性評価の統計手法:OS、PFSの生存曲線はKaplan-Meier法を用いて推定し、OS、PFSの群間比較には層別ログランク検定を用いた。OS、PFSのハザード比(HR)及び95%信頼区間(95%CI)を投与群のみを共変量とした層別Cox比例ハザードモデルを用いて算出した。層別因子は、無作為化に用いた層別因子[ECOG PS(0/1、2)、肝転移(あり、なし)、ヘモグロビン値(<10g/dL、≧10g/dL)及び前回の化学療法の最終投与からの期間(<3ヵ月間、≧3ヵ月間)]とした。また、サブグループ解析として、同じ層別因子に基づく層別Cox比例ハザードモデルを用いてOS、 PFSの部分集団解析を実施した。ORRは層別Miettinen & Nurminen法にて評価した。DORはKaplan-Meier法を用いて要約した。
PD-L1低発現(CPS<10)患者についての解析は治験実施計画書に記載されていないが、OS、PFSについて算出し、評価資料として承認時に評価された。また、日本人集団について、治療実施計画書に記載されていないが、OS、PFS、ORRについて算出し、評価資料として承認時に評価された。日本人集団の有効性は例数が限られているため、層別因子を用いず投与群のみを共変量としたCox比例ハザードモデルを用いて解析した。また、日本人集団の予後因子がOSの結果に与える影響を検討するために、全体集団の予後因子を加えた多変量Cox比例ハザードモデルを用いてハザード比を算出した。
多重性の調整:本試験は、PFS、OSは2回の中間解析及び最終解析を事前に計画した。1回目の中間解析後に、最初に配分する有意水準を変更した。PFS及びOSならびにORR間で、試験全体の有意水準を片側2.5%となるよう厳密に制御した。PFS及びOSの多重性の調整には、Maurer & Bretzのグラフィカルアプローチを用いて、有意水準の配分にはHwang-Shih-Decani(γ=-4)のalpha消費関数を用いた。検定手順は、“PD-L1高発現患者のPFS”→“全体集団のPFS”の順に優越性が示された場合に次の検定に進むこととした。同様に、”PD-L1高発現患者のOS”→”全体集団のOS”→“全体集団のORR”の順に優越性が示された場合に次の検定に進むこととした。なお、“全体集団のOS“は“全体集団のPFS”の優越性が示された場合に、“全体集団のPFS”は“全体集団のORR”の優越性が示された場合にも検定することとした。
患者報告アウトカム(PRO)評価:FAS集団を対象とし、ベースライン時、3、6、9週間後、その後は6週間毎に最長1年間、または投与中止日及び安全性評価の30日目の来院時に、EORTC QLQ-C30*12及びEQ-5D*13の質問票を用いて、PROを評価した。

*1 ECOG(Eastern Cooperative Oncology Group):米国東海岸がん臨床試験グループ、PS(performance status):全身状態の指標
*2 ITT集団(intention to treat):無作為化されたすべての患者
*3 CPS(combined positive score):PD-L1陽性細胞数(腫瘍細胞、リンパ球及びマクロファージ)を総腫瘍細胞数で除し、100を乗じた数値
*4 OS(overall survival):全生存期間
*5 PFS(progression free survival):無増悪生存期間
*6 ORR(overall response rate):奏効率
*7 DOR(duration of response):奏効期間
*8 PRO(patient reported outcome):患者報告アウトカム
*9 BICR(blinded independent central review):盲検下独立判定委員会
*10 ASaT(all subjects as treated)集団:治験薬が1回以上投与されたすべての患者
*11 FAS(full analysis set)集団:無作為化され、治験薬が1回以上投与されたすべての患者のうち、少なくとも1回以上質問票に回答した患者
*12 疾患特異的QoL調査を目的
*13 一般健康関連QoL調査を目的

※1 パクリタキセルの効能又は効果は以下のとおりです。

効能又は効果
卵巣癌、非小細胞肺癌、乳癌、胃癌、子宮体癌、再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌、再発又は遠隔転移を有する食道癌、血管肉腫、進行又は再発の子宮頸癌、再発又は難治性の胚細胞腫瘍(精巣腫瘍、卵巣腫瘍、性腺外腫瘍)

※2 ドセタキセルの効能又は効果は以下のとおりです。

効能又は効果
乳癌、非小細胞肺癌、胃癌、頭頸部癌、卵巣癌、食道癌、子宮体癌、前立腺癌

8. 重要な基本的注意
8.1 本剤のT細胞活性化作用による、過度の免疫反応に起因すると考えられる様々な疾患、8.2 間質性肺疾患、8.3 甲状腺機能障害、下垂体機能障害及び副腎機能障害、8.4 劇症肝炎、肝不全、肝機能障害、肝炎、硬化性胆管炎、8.5 1型糖尿病、8.6 腎障害、8.7 筋炎、横紋筋融解症、8.8 重症筋無力症、8.9心筋炎、8.10 ぶどう膜炎(虹彩炎及び虹彩毛様体炎を含む)等の重篤な眼障害があらわれることがあるので注意が必要です。詳細は「製品情報:基本情報>「警告・禁忌」等その他の注意」をご参照ください。

患者背景(ITT集団)(各項目の「不明」は省略)

患者背景(ITT集団)

*1 国内適応外
*2 国内未承認
*3 CPS(combined positive score): PD-L1陽性細胞数(腫瘍細胞、リンパ球及びマクロファージ)を総腫瘍細胞数で除し、100を乗じた数値
*4 ECOG PS(>0)、ヘモグロビン値(<10g/dL)、前回の化学療法の最終投与からの期間(<3ヵ月間)及び肝転移(あり)の4つの因子の該当数

主要評価項目 全生存期間:OS

全生存期間(OS)のKaplan-Meier 曲線(ITT集団)

全生存期間(OS)のKaplan-Meier 曲線(ITT集団)

*1 打ち切りデータはproduct-limit(Kaplan-Meier)法に基づく
*2 投与群を共変量とし、無作為化に用いた層別因子[ECOG PS(0/1、2)、肝転移(あり、なし)、ヘモグロビン値(<10g/dL、≧10g/dL)及び前回の化学療法の最終投与からの期間(<3ヵ月間、≧3ヵ月間)]を層別因子とした層別Cox比例ハザードモデルに基づく
*3 無作為化に用いた層別因子[ECOG PS(0/1、2)、肝転移(あり、なし)、ヘモグロビン値(<10g/dL、≧10g/dL)及び前回の化学療法の最終投与からの期間(<3ヵ月間、≧3ヵ月間)]を層別因子とした層別ログランク検定[片側]、有意水準α=0.0123
(追跡期間中央値:14.1ヵ月)

化学療法群は治験担当医師がパクリタキセル#1、ドセタキセル#1、vinflunine#2から選択(#1:国内適応外、#2:国内未承認)