若年でのHPVワクチン接種および2回接種スケジュールについて
若年でのHPVワクチン接種および2回接種スケジュールについて
HPVワクチンの定期接種対象は小学校6年生から高校1年生相当の女子で、特に11〜15歳未満でシルガード®9の1回目の接種を受ける場合は、合計2回の接種で完了できます。
「産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編 2023」では、HPVワクチンは「まだHPVに感染していない初交前に接種することが重要である」とされているため、若年でのHPVワクチン接種が推奨されます。
日常診療の中で、定期接種の対象者および保護者へ疾患啓発および適切な接種タイミングのご提案にお役立ててください。
● 子どもの定期接種ワクチンとその実施率
日本における子どもの定期接種ワクチンの実施率は高い水準となっており、乳児期では90%を超えています。一方で、HPVワクチンの実施率は、2023年度時点で2価・4価HPVワクチンの3回実施率が9.7%、9価HPVワクチンの2回目実施率が34.1%、3回接種率が13.1%となっています(図1)。
HPVワクチンは2013年4月に定期接種に導入されましたが、ワクチン接種後にあらわれた「多様な症状」の副反応疑い報告を受け、厚生労働省が積極的接種勧奨の一時差し控えを発表しました。その後、厚生労働省は、様々な調査を行い、副反応検討部会において継続的な検討を行った結果、HPVワクチンの安全性について特段の懸念が認められないことが確認され、接種による有効性が副反応のリスクを明らかに上回ると認められました1)。HPVワクチンの安全性は、現在も継続してモニタリングされています。
HPVワクチンは定期接種でありながら、2017年度の実施率は0.3%とほぼ接種されていない時期もありました。2022年4月に積極的な個別勧奨が再開され、実施率は増加傾向ではありますが、未だ他の定期接種ワクチンと比較して低い水準となっています2)。
※2026年度より定期接種対象となるHPVワクチンは9価のみとなりました。
図1:子どもの定期接種ワクチンとその実施率(2023年度)

特定非営利活動法人 VPDを知って、子どもを守ろうの会 2025年4月版予防接種スケジュール
https://www.know-vpd.jp/dl/schedule_age7.pdf(Accessed Dec. 12, 2025)
厚生労働省 定期の予防接種実施者数 より作成
https://www.mhlw.go.jp/topics/bcg/other/5.html(Accessed Dec. 12, 2025)
● 各国のHPV定期接種の状況
世界で見てみると、多くの国では、定期接種コホートが低年齢(14歳以下)であり、一部の国では初回接種率が70%を上回っています(図2)。
図2:各国のHPVワクチン接種プログラム(2025年11月時点)

各国の公的機関情報並びにWHO HPV Dashboard(https://www.who.int/teams/immunization-vaccines-and-biologicals/diseases/human-papillomavirus-vaccines-(HPV)/hpv-clearing-house/hpv-dashboard)(Accessed Dec. 12, 2025)より作成。
†:WHO Human papillomavirus(HPV)vaccination coverage
https://immunizationdata.who.int/global/wiise-detail-page/human-papillomavirus-(hpv)-vaccination-coverage(Accessed Dec. 12, 2025)2024年のデータを示した。
日本における9価HPVワクチンの用法及び用量は、9歳以上の者に、1回0.5mLを合計3回、筋肉内に注射する。通常、2回目は初回接種の2ヵ月後、3回目は6ヵ月後に同様の用法で接種する。9歳以上15歳未満の者は、初回接種から6~12ヵ月の間隔を置いた合計2回の接種とすることができる。
● HPVワクチンをより若い年齢で接種する意義
①ガイドラインにおけるHPVワクチン接種の推奨年齢は10〜14歳
「産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編 2023」では、HPVワクチンは「まだHPVに感染していない初交前に接種することが重要である」とされています。さらに、思春期ではワクチンに対する免疫反応が特によいことから、10〜14歳のより若い年齢の女性における接種が最も優先的に推奨されています(図3、4)。
図3:HPVワクチン接種の対象(解説)

日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会 編集・監修 産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編 2023. 52-54.
解説より一部抜粋
図4:HPVワクチン接種の対象(表)

日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会 編集・監修 産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編 2023: 52-54.
※2026年度より定期接種対象となるHPVワクチンは9価のみとなりました。
②セクシュアルデビューする前に
HPVワクチンはHPVに感染する可能性の低い初交前に接種することが重要です。
2023年8月~2024年3月にかけて実施された第9回調査の結果、年齢が上がるにつれ性行動経験率が上昇しています(図5)。
図5:日本における性行動経験率(2023年度)

日本性教育協会 編「若者の性」白書 第9回 青少年の性行動全国調査報告 より作成
③接種回数を減らすことが可能
9価HPVワクチン(シルガード®︎9)は9歳以上15歳未満の女性であれば合計2回の接種で完了することも可能です(図6)。15歳になるまでにHPVワクチンを接種することで、通院回数や侵襲機会を減らすなど被接種者の負担を軽減することができます。日本小児科学会もシルガード®︎9に関しては2回の接種で問題ないとの見解を示しています3)。
図6:シルガード®9の接種回数

シルガード®9の用法及び用量
6. 用法及び用量
9歳以上の者に、1回0.5mLを合計3回、筋肉内に注射する。通常、2回目は初回接種の2ヵ月後、3回目は6ヵ月後に同様の用法で接種する。
9歳以上15歳未満の者は、初回接種から6~12ヵ月の間隔を置いた合計2回の接種とすることができる。
● 疾患啓発のタイミング
定期接種の初回接種は3~4月の春休みシーズンと、7~9月の夏休みシーズンに増加していました(図7)。定期接種の対象者一人でも子宮頸がんから守るよう、春休み・夏休み期間などを活用し疾患啓発をお願いいたします(図8)。
図7:定期接種対象者のHPVワクチン初回接種実施者数(2024年4月~2025年3月)

厚生労働省 定期のヒトパピローマウイルス感染症の予防接種実施者数(令和6年度)(速報値)より作図
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001512927.xlsx(Accessed Dec. 12, 2025)
図8:疾患啓発のタイミング例

参考文献
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厚生労働省 2021年11月26日 健発1126第1号 ヒトパピローマウイルス感染症に係る定期接種の今後の対応について(健康局長通知)
https://www.mhlw.go.jp/content/000875155.pdf(Accessed Dec. 12, 2025) -
厚生労働省 定期の予防接種実施者数
https://www.mhlw.go.jp/topics/bcg/other/5.html(Accessed Dec. 12, 2025) -
日本小児科学会 予防接種・感染症情報「HPVワクチン定期接種促進と正しい接種に向けたご案内」
https://www.jpeds.or.jp/modules/news/index.php?content_id=1220(Accessed Dec. 12, 2025)