開発の経緯
開発の経緯
キイジェクト®配合皮下注395mg及び790mg(以下、本剤)は、ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)(以下、ペムブロリズマブ)とAlteogen Inc.により開発・製造されたベラヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)(以下、ベラヒアルロニダーゼ アルファ)を配合した皮下注製剤であり、ペムブロリズマブの代替投与経路の提供と利便性の向上を目的に開発されました。
ペムブロリズマブは、PD-1(programmed cell death-1)とそのリガンドであるPD-L1及びPD-L2との結合を直接阻害し、腫瘍微小環境中の腫瘍特異的細胞傷害性Tリンパ球を活性化させることで抗腫瘍効果を示すヒト化IgG4モノクローナル抗体です。ベラヒアルロニダーゼ アルファは、遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼPH-20(rHuPH20)の類縁体であり、皮下組織のヒアルロン酸を一時的かつ局所的に分解するエンドグリコシダーゼです。その活性により皮下の分散性及び浸透性が増し、皮下に同時投与されるペムブロリズマブの送達が促進されます。
既承認のペムブロリズマブ点滴静注製剤は、投与に30分を要し、治療が長期に及ぶため、皮下注製剤の導入により、患者及び医療従事者の投与に要する時間の削減や負担の軽減が期待できます。
本剤の臨床試験として、進行固形がん患者を対象とした国際共同第Ⅰ相試験(MK-3475A-C18試験、以下C18試験)を実施し、本剤の薬物動態、安全性を評価しました。その後、化学療法歴のない切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者を対象とした化学療法との併用療法におけるペムブロリズマブ静脈内投与に対する本剤皮下投与の非劣性を検証する国際共同第Ⅲ相試験(MK-3475A-D77試験、以下D77試験)を実施しました。さらに、複数の固形がん患者を対象にペムブロリズマブ点滴静注製剤に対する本剤の患者選好性を評価する国際共同第Ⅱ相試験(MK-3475A-F11試験、以下F11試験)を実施しました。これらの試験の成績に基づき、米国及び欧州で承認申請を行い、米国では2025年9月、EUでは2025年11月に承認を取得しました。
国内における臨床開発では、C18試験において日本人非小細胞肺癌患者における本剤の忍容性が確認されたことを受けD77試験へ参加しました。また、ペムブロリズマブ点滴静注製剤に対する本剤の患者選好性を評価するためF11試験に参加しました。D77試験で、日本固有の主要評価項目である客観的奏効率(ORR)においてペムブロリズマブ静脈内投与に対する本剤の非劣性が検証され、薬物動態及び安全性プロファイルの一貫性を検討し、本邦ではC18試験、D77試験、F11試験を評価資料として承認申請を行い、2026年9月、製造販売承認を取得しました。
皮下注製剤に関する開発アプローチは、有効性の臨床エビデンスに関するFDAガイダンス※に基づき検討しました。様々ながんの種類及び治療レジメンにおいて広範に蓄積されたペムブロリズマブ点滴静注製剤の臨床データから、薬物動態・免疫原性の一貫性、がん種を超えた有効性、曝露-応答関係の一定性が示されています。本剤の臨床成績及びペムブロリズマブの十分確立された曝露-応答関係に基づき、ペムブロリズマブ点滴静注製剤のすべての効能又は効果並びに用法及び用量に対して、ペムブロリズマブ静脈内投与で得られた有効性及び安全性データを本剤(790mg Q6W及び395mg Q3Wの両投与レジメン)に適用できると考えられました。
※ FDA. Providing Clinical Evidence of Effectiveness for Human Drug and Biological Products, 1998
ペムブロリズマブ点滴静注製剤