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植物の睡眠と体内時計

人や動物以外にも睡眠がある?

人や動物には、長さや頻度、タイミングは異なるものの、睡眠は必要不可欠ですが、実は植物も眠ることがわかっています。
植物の活動として光合成などはよく知られていますが、今回は植物の睡眠についてご紹介します。

植物の睡眠と体内時計

マメ科の植物の中には、日中は葉を開き、夜になると葉を閉じて「眠る」という特徴をもつものがあり、これを「就眠運動」といいます。紀元前のアレキサンダー大王の時代からこの就眠運動の存在は知られていましたが、18世紀に光の当たらない洞窟に植物を持ち込んでも植物の就眠運動が数日間残っていることが発見されたことで、植物固有の体内のリズムがあることが知られることとなりました1)

また植物には「眠る」以外にも人や動物と同じように体内時計に基づく変化がみられます。
例えば、アサガオは朝に開花し、昼過ぎや午後にはしぼんでしまいます。また、植物の中には1日のうちの決まった時間に蜜、花粉、香りを強く放つことがあり、これは時間を区切って蜜を利用できるようにすることで、昆虫による他家受粉の確率を上げています2)
花は自ら昆虫のもとに行くことはできませんが、その代わりに受粉を手助けしてくれる昆虫を呼び寄せるための工夫を行っているようです。

イラスト

お出かけの際には季節の植物の葉や香りに加え、体内時計の変化についても意識して楽しんでみてはいかがでしょうか。

  1. Manabe Y et al. Trends Glycosci Glycotechnol 2010; 22(123): 16-25.
  2. ラッセル・G・フォスターほか. 体内時計のミステリー, 大修館書店, 2020.