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製品基本Q&A(シルガード®9)

製品基本Q&A

シルガード®9(組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(酵母由来))


製品情報

扁平上皮内病変(Squamous Intraepithelial Lesion:SIL)から守る(Guard)ことに加え、本剤は9つのHPV型を含むことからシルガード®9と命名されました(1)。

<引用>
(1)インタビューフォーム Ⅱ. 名称に関する項目

本剤の電子添文には下記のとおり記載されています。

4. 効能又は効果
ヒトパピローマウイルス6、11、16、18、31、33、45、52及び58型の感染に起因する以下の疾患の予防
  ・子宮頸癌(扁平上皮癌及び腺癌)及びその前駆病変(子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)1、2及び3並びに上皮内腺癌(AIS))
  ・外陰上皮内腫瘍(VIN)1、2及び3並びに腟上皮内腫瘍(VaIN)1、2及び3
  ・尖圭コンジローマ

5. 効能又は効果に関連する注意
5.1 HPV6、11、16、18、31、33、45、52及び58型以外のHPV感染に起因する子宮頸癌又はその前駆病変等の予防効果は確認されていない。
5.2 接種時に感染が成立しているHPVの排除及び既に生じているHPV関連の病変の進行予防効果は期待できない。
5.3 本剤の接種は定期的な子宮頸癌検診の代わりとなるものではない。本剤接種に加え、子宮頸癌検診の受診やHPVへの曝露、性感染症に対し注意することが重要である。
5.4 本剤の予防効果の持続期間は確立していない。

<引用>
電子添文

本剤の電子添文には下記のとおり記載されています。

18. 薬効薬理
18.1 作用機序
本剤はヒトパピローマウイルスのL1たん白質からなるウイルス様粒子(VLP)を含有する。このVLPは野生型ウイルス粒子に類似したたん白質粒子であるが、ウイルス由来のDNAを含まないため、細胞への感染能及び増殖能はない。このたん白質粒子はHPVに関連した疾病の原因にはならない。HPVはヒトにのみ感染するが、ヒト以外の動物のパピローマウイルスを用いた試験から、VLPワクチンは液性免疫を惹起することにより、その効果を発揮すると考えられる。

<引用>
電子添文

23G~25Gの注射針が推奨されます。これより細い針は懸濁液が通らない可能性があるためおすすめできません。

<添付の有無>
注射針は添付されていません。あらかじめ注射針を用意してください。
被接種者の年齢や体型を考慮し、注射針は筋肉内に十分到達する長さのものを選んでください。

<推奨するメーカー>
推奨する注射針のメーカー等はありません。

<引用>
電子添文 シルガード® 9 水性懸濁筋注シリンジの使用方法

有効成分や抗原量、アジュバント量、適応、用法が異なります。

<有効成分>
ガーダシル®は、有効成分としてHPV6/11/16/18型のL1タンパクから形成されたウイルス様粒子(VLP)を含んでいます(1)。本剤は、さらに5つの高リスクのHPV型(31/33/45/52/58型)を追加しています(2)。

<抗原量>
本剤では、4つのHPV型(6/11/16/18)に対する免疫原性がガーダシル®と同程度となるようにHPV6/16/18型の抗原量を増量しています。



<アジュバント量>
アジュバントの種類は同じですが、含有量を増やしています。本剤では、4つのHPV型(6/11/16/18)に対する免疫原性がガーダシル®と同程度となるようにアジュバント量を設定しています。



<適応>
2020年12月25日、ガーダシル®は追加承認を受け、9歳以上の男性にも接種可能となりました。また、男女の肛門癌(扁平上皮癌)及びその前駆病変(肛門上皮内腫瘍(AIN)1、2及び3)、男性の尖圭コンジローマに対する適応を取得しました(1)。本剤はこれらの追加された疾患や男性への接種は適応外です。
2023年3月8日、本剤は追加承認を受け、9歳以上15歳未満の女性に対して、初回接種から6~12ヵ月の間隔を置いた合計2回の接種の用法及び用量が追加されました。ガーダシル®は2回の接種は適応外です。

<引用>
(1)ガーダシル®電子添文
(2)シルガード®9電子添文

使用方法

本剤の電子添文には、下記のとおり記載されています。

6.用法及び用量
9歳以上の女性に、1回0.5 mLを合計3回、筋肉内に注射する。通常、2回目は初回接種の2ヵ月後、3回目は6ヵ月後に同様の用法で接種する。
9歳以上15歳未満の女性は、初回接種から6~12ヵ月の間隔を置いた合計2回の接種とすることができる。

7. 用法及び用量に関連する注意
7.1 接種間隔
7.1.1 9歳以上の女性に合計3回の接種をする場合、1年以内に3回の接種を終了することが望ましい。なお、本剤の2回目及び3回目の接種が初回接種の2ヵ月後及び6ヵ月後にできない場合、2回目接種は初回接種から少なくとも1ヵ月以上、3回目接種は2回目接種から少なくとも3ヵ月以上間隔を置いて実施すること。
7.1.2 9歳以上15歳未満の女性に合計2回の接種をする場合、13ヵ月後までに接種することが望ましい。なお、本剤の2回目の接種を初回接種から6ヵ月以上間隔を置いて実施できない場合、2回目の接種は初回接種から少なくとも5ヵ月以上間隔を置いて実施すること。
2回目の接種が初回接種から5ヵ月後未満であった場合、3回目の接種を実施すること。この場合、3回目の接種は2回目の接種から少なくとも3ヵ月以上間隔を置いて実施すること。

7.2 同時接種
医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができる。

<引用>
電子添文

本剤の電子添文には、下記のとおり記載されています。

<妊婦>
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種すること。[9.1.7参照]

17.3.3 妊娠に対する影響
妊娠中の女性を対象として対照群を設けて適切に実施された試験はない。しかし、国際共同試験及び外国の臨床試験において、妊娠の転帰が判明している女性(人工妊娠中絶を除く)のうち、自然流産、後期胎児死亡又は先天異常であった妊娠の割合は、本剤群では12.9%(174/1,353件)、ガーダシル群では14.4%(187/1,303件)であった。これらの割合は一般に認められる割合と同程度であった。
さらに、推定受胎日が本剤又はガーダシル接種の30日以内と30日を超えた場合に分けて妊娠を評価するため、サブ解析を実施した。推定受胎日が接種後30日以内の妊娠では、本剤及びガーダシル群において先天異常は認められなかった。一方、推定受胎日が接種より30日を超えた妊娠では、本剤群において30例、ガーダシル群で23例の先天異常が認められた。観察された先天異常の種類は、接種と妊娠の時間的関係にかかわらず、一般に認められるものと一致した。

<授乳婦>
9.6 授乳婦

予防接種上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤及び本剤に対する抗体がヒト乳汁中へ移行するかは不明である。

<引用>
電子添文

各回の接種間隔がのびた場合でも最初から接種をやり直す必要はなく、残りの回数を接種して下さい。

〔接種再開の際の対応〕
<初回接種後に中断されていた場合>
・3回接種法(9歳以上の女性)
2回目の接種をできるだけ早急に行い、3回目接種は2回目接種から少なくとも3ヵ月以上間隔を置いて実施してください
・2回接種法(9歳以上15歳未満の女性)
2回目の接種をできるだけ早急に行ってください。

<2回目接種後に中断されていた場合>
・3回接種法(9歳以上の女性)
3回目の接種をできるだけ早急に行ってください。

なお、海外臨床試験の結果では、2回目や3回目の接種が遅れた場合でも、抗体反応は良好で、通常のスケジュールに劣らなかったことが示されています(1)(2)(3)。

電子添文
6. 用法及び用量
9歳以上の女性に、1回0.5mLを合計3回、筋肉内に注射する。通常、2回目は初回接種の2ヵ月後、3回目は6ヵ月後に同様の用法で接種する。
9歳以上15歳未満の女性は、初回接種から6~12ヵ月の間隔を置いた合計2回の接種とすることができる。

7. 用法及び用量に関連する注意
7.1 接種間隔
7.1.1 9歳以上の女性に合計3回の接種をする場合、1年以内に3回の接種を終了することが望ましい。なお、本剤の2回目及び3回目の接種が初回接種の2ヵ月後及び6ヵ月後にできない場合、2回目接種は初回接種から少なくとも1ヵ月以上、3回目接種は2回目接種から少なくとも3ヵ月以上間隔を置いて実施すること。
7.1.2 9歳以上15歳未満の女性に合計2回の接種をする場合、13ヵ月後までに接種することが望ましい。なお、本剤の2回目の接種を初回接種から6ヵ月以上間隔を置いて実施できない場合、2回目の接種は初回接種から少なくとも5ヵ月以上間隔を置いて実施すること。
2回目の接種が初回接種から5ヵ月後未満であった場合、3回目の接種を実施すること。この場合、3回目の接種は2回目の接種から少なくとも3ヵ月以上間隔を置いて実施すること。

<引用>
(1)Zimmerman RK et al. J Womens Health. 2010;19(8):1441-7.
(2)LaMontagne DS et al. J Infect Dis. 2013;208(8):1325-34.
(3)Russell K et al. Vaccine. 2015;33(16):1953-8.

免疫学的には、接種間隔が短い場合は持続的な反応が劣る可能性が指摘されていますが、接種間隔が長期になった場合には良好な反応が得られるとされているためです(1)。

<引用>
(1)Siegrist CA, Eberhardt CS. Chapter 2 – Vaccine Immunology. In: Plotkin’s Vaccines. 8th ed. Elsevier; 17-36.e7.

世界保健機関(World Health Organization:WHO)のPosition paperでは、データは継続評価中であるが、接種スケジュール完了から数年後に追加接種が必要であることを示唆するエビデンスはないとされています(1)。

HPVワクチンの安全性、有効性は継続してモニタリングされています。米国予防接種諮問委員会(Advisory Committee on Immunization Practices:ACIP)はその有効性が経時的に減衰するというデータはないとしています(2)。

電子添文
5.効能又は効果に関連する注意
5.4 本剤の予防効果の持続期間は確立していない。

<引用>
(1)Human papillomavirus vaccines:WHO Position paper, December 2022 (Duration of protectionの項)
(2)CDC Human Papillomavirus (HPV) Vaccination: What Everyone Should Know ”How Well Do These Vaccines Work?”

本剤の予防効果は26歳までの女性を対象とした国際共同臨床試験の結果より評価されており(1)、それ以上の年齢層に対する有効性を評価した臨床試験は行われておりませんが、既承認のガーダシル®の適応を外挿し、適応年齢に上限を設けていません。
27~45歳女性における免疫原性は評価されており、ガーダシル®同様に16~26歳女性より多少低かったものの、非劣性が示されています(2)。

なお、ガーダシル®は45歳までの女性を対象とした海外臨床試験の結果(3)が評価されたことと、承認時にPMDAから「年齢が高まるにつれHPV既感染者の増加が予想され、ガーダシル®の有用性がより低年齢の集団とは異なる可能性があることに留意する必要はあるものの、ガーダシル®の対象年齢として26歳以下に限定する必要はない」と判断され、適応年齢に上限を設けていません。

<引用>
(1)Huh WK et al. Lancet. 2017;390(10108):2143-2159.
(2)Joura EA et al. Vaccine. 2021;39(20):2800-2809. 
(3)Castellsague X et al. Br J Cancer. 2011;105(1):28-37.

定期接種実施要領では、原則は同じ種類のワクチンで実施するとしながら、市町村長がやむを得ない事情があると認める場合には、2価または4価HPVワクチンで規定の回数の一部を完了し、9価HPVワクチンで残りの回数の接種を行う交互接種も差支えないとする考え方が示されています(1)。

なお、予防接種基本方針部会では、2価または4価HPVワクチン接種後に9価HPVワクチンを接種してスケジュールを完了する場合、初回接種時に15歳未満であっても計3回の接種が必要であるとしています(2)。

<2価・4価HPVワクチンと9価HPVワクチンとの交互接種について(3)>
「HPVワクチンに関する情報提供資材・医療従事者の方へ」には以下の様に記載されています。
・HPVワクチンの接種は、原則、同じ種類のワクチンで実施します。しかしながら、2価または4価HPVワクチンで規定の回数の一部を完了し、9価HPVワクチンで残りの回数の接種を行う交互接種についても、実施して差し支えないこととしています。
・世界保健機関(WHO)や諸外国の保健機関においても、基本的には同じ種類のワクチンでの接種が推奨されています。しかしながら、やむを得ない場合には、交互接種も許容されています。また、現時点において、交互接種における免疫原性や安全性に関する懸念は報告されていません。
・接種にあたっては、被接種者と保護者に対し、十分な説明を行った上で実施してください。
・なお、2価または4価HPVワクチンで接種を開始し、定期接種として9価HPVワクチンで接種を完了する場合は、9価HPVワクチンの接種方法に合わせ、1回目と2回目の間隔を1か月以上、2回目と3回目の間隔を3か月以上空けて接種します。また、キャッチアップ接種の対象者についても、交互接種を実施して差し支えありません。

電子添文
8. 重要な基本的注意
8.1 本剤は「予防接種実施規則」及び「定期接種実施要領」に準拠して使用すること。
8.6 本剤と他のHPVワクチンの互換性に関する安全性、免疫原性、有効性のデータはない。

<引用>
(1)定期接種実施要領 厚生労働省
(2)厚生労働省 第45回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会(資料2 組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(9価HPVワクチン)について) (令和5年3月7日開催) 
(3)HPVワクチンに関する情報提供資材・医療従事者の方へ 厚生労働省

すでに病変がある人(尖圭コンジローマを含む)、検診で異常があった人にも接種を行うことは可能です。ただし、存在している病変を改善する効果はありません(1)(2)。

HPVワクチンに含まれる全ての型に感染している可能性は低いとされるため、感染していないHPV型による疾患予防にワクチン接種は十分意義があります(1)(2)。

産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2023では、
「既往感染者や子宮頸部細胞診陽性者に対してもワクチンが有害となることはないので、海外ガイドラインでは接種に際して子宮頸部細胞診やHPV検査を義務づけていない。これらの女性に対してもまだ感染していない方の将来の感染を予防することが期待できる点で接種する価値があるので、希望があれば接種してもよい。既往を含む細胞診異常の女性、ハイリスクHPV検査陽性の女性、尖圭コンジローマや子宮頸部軽度異形成の女性などをワクチンの対象から除外する必要はない。しかし、感染を治癒する効果はないため、子宮頸がん検診の重要性を接種時には改めて伝える配慮が必要である」としています(1)。

なお、接種によって病変が悪化したり、がん化を促進したりすることはありません。
副反応が増強することもありません。

電子添文
5.効能又は効果に関連する注意
5.2 接種時に感染が成立しているHPVの排除及び既に生じているHPV関連の病変の進行予防効果は期待できない。

<引用>
(1)日本産婦人科学会、日本産婦人科医会 編集・監修. 産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編.2023:52-53.
(2)Markowitz LE et al. MMWR Recomm Rep. 2014;63(RR-05):1-30.

安全性

本剤の電子添文には、下記のとおり記載されています。

8.重要な基本的注意
8.1 本剤は「予防接種実施規則」及び「定期接種実施要領」に準拠して使用すること。
8.2 被接種者について、接種前に必ず問診、検温及び診察(視診、聴診等)によって健康状態を調べること。
8.3 被接種者又はその保護者に、接種当日は過激な運動は避け、 接種部位を清潔に保つよう指導すること。また、局所の異常反応や体調の変化、さらに高熱、痙攣等の異常な症状を呈した場合は、速やかに医師へ連絡するよう指導すること。
8.4 ワクチン接種直後又は接種後に注射による心因性反応を含む血管迷走神経反射として失神があらわれることがある。失神による転倒を避けるため、接種後30分程度は座らせるなどした上で被接種者の状態を観察することが望ましい。
8.5 発生機序は不明であるが、ワクチン接種後に、注射部位に限局しない激しい疼痛(筋肉痛、関節痛、皮膚の痛み等)、しびれ、脱力等があらわれ、長期間症状が持続する例が報告されているため、異常が認められた場合には、神経学的・免疫学的な鑑別診断を含めた適切な診療が可能な医療機関を受診させるなどの対応を行うこと。
8.6 本剤と他のHPVワクチンの互換性に関する安全性、免疫原性、有効性のデータはない。

<引用>
電子添文

国際共同試験、国内臨床試験より、主な副反応は、注射部位では疼痛、腫脹、紅斑、そう痒感、内出血、腫瘤が、全身性の副反応としては頭痛、浮動性めまい、口腔咽頭痛、悪心、下痢、発熱、疲労が報告されています。

<引用>
電子添文

日本小児科学会予防接種感染対策委員会の声明「予防接種後の失神に対する注意点ついて」には、 「下肢を軽く挙上し安静臥床させる。必要に応じて輸液や酸素投与を行う。」とあります(1)。

<引用>
(1)日本小児科学会 予防接種感染対策委員会声明:予防接種後の失神に対する注意点ついて.

日本人に特有の副反応があったという報告はありません。
国内臨床試験と海外臨床試験において、安全性プロファイルは同様であったとされています。

いわゆる「多様な症状」のうちいくつかの症状はシルガード®9の国内外の複数の臨床試験においても有害事象として報告されていますが、これらの臨床試験については世界中の規制当局によって安全性・忍容性及び有効性に関する評価がなされ、その結果、本剤の承認に至っています。
なお、海外および国内で市販後においても安全性が継続的に評価されており、本剤のベネフィット・リスクバランスは許容可能であるとされています(1)。

■「多様な症状」とは
厚生労働省において「多様な症状」は機能性身体症状であると考えられており、この症状は人によって様々です。また、この機能性身体症状は臨床現場では専門とする分野の違い、病態のとらえ方の違い、あるいは主な症状の違い等により、さまざまな傷病名(*)で診療が行われています。

(*):具体的には、以下の病名が挙げられます(2)。
・身体症状症
・変換症 / 転換性障害(機能性神経症状症)
・線維筋痛症
・慢性疲労症候群
・起立性調節障害[起立頻脈症候群(Postural orthostatic tachycardia syndrome:POTS)はサブタイプの一つ]
・複合性局所疼痛症候群(Complex regional pain syndrome:CRPS)

<具体的な症状>
①知覚に関する症状(頭や腰、関節等の痛み、感覚が鈍い、しびれる、光に対する過敏など)、②運動に関する症状(脱力、歩行困難、不随意運動など)、③自律神経等に関する症状(倦怠感、めまい、嘔気、睡眠障害、月経異常など)、④認知機能に関する症状(記憶障害、学習意欲の低下、計算障害、集中力の低下など)など多岐にわたります(2)。

■シルガード®9の開発臨床試験における、機能性身体症状の報告例
評価時の資料の7試験における観察期間中に、本剤接種後、POTS2例、CRPS1例が報告されています。
POTSについては、1例は本剤接種後3年以上経過後に発現していることから因果関係がある可能性は低いこと、別の1例は再発性や持続性がないことから、診断基準よりPOTSにあてはまらない可能性があると考えられています。CRPSについては、治験責任医師による因果関係は否定されています。
なお、臨床試験に参加した日本人において、POTS、CRPSの報告はありませんでした(3)。

「多様な症状」については、本剤の被接種者や医療機関に対して適切な安全対策を行うため、市販後、使用成績調査や全例登録による強化安全監視活動を行っており、中間報告書(データカットオフ日:2022年9月30日)が厚生労働省副反応検討部会にて資料として公開されています(4)。

<引用>
(1)審査報告書 (2回接種法)(承認年月日:2023年03月08日) 7.R.3.3 製造販売後の安全性情報について
(2)HPVワクチンに関する情報提供資材・医療従事者の方へ 厚生労働省
(3)審査報告書 (3回接種法)(承認年月日:2020年07月21日) 7.R.4.1.3 注目すべき有害事象・副反応
(4)厚生労働省 第90回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会 資料2‐10-2

その他

本剤の電子添文には、下記のとおり記載されています。

14.1 薬剤接種時の注意
14.1 接種時
(1) 誤って凍結させたものは品質が変化しているおそれがあるので、使用してはならない。
(2)冷蔵庫から取り出して室温に戻し、使用前には十分に振り混ぜ均等にし、できるだけ速やかに使用すること。
(3)使用前には異常な混濁、着色、異物の混入その他の異常がないかを確認し、異常を認めたものは使用しないこと。
(4)本剤を他のワクチンと混合して接種しないこと。
(5)注射針は被接種者毎に取り換えること。
(6)注射針の先端が血管内に刺入していないことを確認すること。
(7)「シルガード®9水性懸濁筋注シリンジ使用方法」に従い接種準備を行うこと。

14.2 接種部位
(1)本剤は筋肉内注射のみに使用し、皮下注射又は静脈内注射はしないこと。
(2)接種部位は、通常、上腕の三角筋部とし、当該部位への接種が困難な場合は、大腿前外側部への接種を考慮すること。臀部には接種しないこと。
(3)接種部位はアルコールで消毒し、同一部位に反復して接種することは避けること。
(4)筋肉内注射に当たっては、組織・神経等への影響を避けるため下記の点に注意すること。
・針長は筋肉内接種に足る長さで、組織、血管、骨等の筋肉下組織に到達しないよう、各被接種者に対して適切な針長を決定すること。
・神経走行部位を避けること。
・注射針を刺入したとき、激痛の訴えや血液の逆流がみられた場合は直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。

<引用>
電子添文

貯法
2~8°C、凍結を避けること

20. 取扱い上の注意
外箱開封後は遮光して保存すること。

<引用>
電子添文

2価HPVワクチン、4価HPVワクチンのガーダシル🄬に加え、2023年4月1日より定期接種のワクチンとして使用可能です(1)。

<引用>
(1)予防接種実施規則 厚生労働省

2023年2月現在、シルガード®9は世界80以上の国又は地域で承認されています。
米国、カナダ、オーストラリアなど50以上の国と地域で接種プログラムに導入され、接種が推奨されています。

<免疫原性>
■3回接種法
9~15歳の女性を対象にした臨床試験(002-20試験)では10年間、16~26歳の女性を対象にした臨床試験(001試験)では少なくとも5年の抗体反応の持続性が確認されています(1)。
■2回接種法
9~14歳の女性を対象にした臨床試験(010試験)では3年の抗体反応の持続性が確認されています(1)。
※010試験は予定通り3年間で終了しており、試験延長の予定はありません。なお、審査報告書では、「2回接種(6及び12ヵ月間隔)の免疫原性は、3回接種と同等の持続性が期待できる」と評価されています(2)。

<予防効果>
■3回接種法
2つの臨床試験を延長しており、9~15歳女性(002-20試験)では11.0年(中央値10.0年)(1)、16~26歳女性(021試験:デンマーク、スウェーデン、ノルウェー)で最長9.5年(中央値6.3年)(3)までの予防効果が確認されています。

021試験は、2024年まで追跡される予定です(2007年開始の001試験と併せて、2024年まで計17年間追跡予定)(4)。

<引用>
(1)電子添文
(2)審査報告書 (2回接種法)(承認年月日:2023年03月08日)
(3)Kjaer SK et al. Hum Vaccin Immunother. 2021;17(4):943-949.
(4)ClinicalTrials.gov Identifier:NCT02653118

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