HPV関連疾患とワクチン接種年齢
HPV関連疾患とワクチン接種年齢
「HPVワクチンを接種したいのですが、私の年齢でも接種ができますか?」 あなたはどう応える?
45歳女性の患者さんから、「HPVワクチンを接種したいのですが、私の年齢でも接種ができますか?」と相談されました。あなたはどう応えますか?
定期接種であれば、「小学校6年生~高校1年生相当の女子」とご存じの方も多いと思いますが、45歳女性では、はたして接種できるのでしょうか?
今回は、HPVワクチンの接種可能な年齢について、ご紹介します。

●HPVってなに?
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、男女ともに感染する可能性のあるウイルスで、200種類を超える「型」(タイプ)があります1)。そのうち、16型、18型は、子宮頸がんの約65%2)、20~30歳代で発見される子宮頸がんの80〜90%3)で検出されたとの報告があります。また、6型、11型は尖圭コンジローマと呼ばれる性器や肛門のまわりにできるイボの約95%の原因とされています4)。


HPVは性交渉を介して男女に感染します。外陰部や肛門など、コンドームの使用では防ぎきれないところや、手にもHPVは存在します5)。
感染予防にはHPVワクチン接種が大切です。
●誰でも感染する可能性のあるHPV
性交渉の機会が増えれば、HPVへの感染機会が増えますが6)、経験が少なければ感染しないというわけではありません。
一度でも性交渉の経験があれば、誰でもHPV感染の可能性があります。
●HPVワクチンの接種可能年齢
公費助成の対象年齢を過ぎていても、任意接種としてHPVワクチンを接種することは可能です。






●まとめ
- 公費助成の対象年齢を過ぎていても、任意接種としてHPVワクチンを接種することは可能です。
- 9~45歳までの女性を対象としたガーダシル®とシルガード®9の臨床試験が実施されています。
- 「産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2023」では、「ワクチン接種を希望する27~45歳の女性に接種する。推奨レベル:B(勧められる)」とされています。


参考文献
1) International Human Papillomavirus Reference Center. HPV reference clones
https://www.hpvcenter.se/human_reference_clones/ (Accessed Dec. 5, 2024)
2) Sakamoto J et al. Papillomavirus Res. 2018; 6: 46-51.
3) Onuki M et al. Cancer Sci. 2020; 111(7): 2546-2557.
4) 厚生労働科学研究費補助金研究「尖圭コンジローマにおけるHPV-DNA検出による実態把握」小野寺昭一2011
5) Winer RL et al. Am J Epidemiol. 2003; 157: 218-226.
6) Cohen PA et al. Lancet. 2019; 393: 169-182.

患者さん向けの説明パンフレットは、こちらからご確認いただけます。
https://www.msdconnect.jp/reference/gardasil-001/
ガーダシル®電子添文(抜粋)
5.効能又は効果に関連する注意(一部抜粋)
5.3接種時に感染が成立しているHPVの排除及び既に生じているHPV関連の病変の進行予防効果は期待できない。
9.特定の背景を有する者に関する注意(一部抜粋)
9.8高齢者
45歳を超える成人を対象とした臨床試験は実施していない。
シルガード®9電子添文(抜粋)
5.効能又は効果に関連する注意(一部抜粋)
5.2接種時に感染が成立しているHPVの排除及び既に生じているHPV関連の病変の進行予防効果は期待できない。
9.特定の背景を有する者に関する注意(一部抜粋)
9.8高齢者
45歳を超える成人を対象とした臨床試験は実施していない。