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有効性(臨床データ)

有効性(臨床データ)

「禁忌」等、その他の項目については、電子添文をご参照ください。

キュビシン®の菌血症及び感染性心内膜炎に対する臨床成績<成人>

本試験の対象には一部国内承認外の適応菌種が含まれるデータで評価され承認されたため、国内で承認されている効能又は効果と異なるデータも紹介しています。

■海外第Ⅲ相試験(成人:菌血症及び感染性心内膜炎、非劣性試験:海外データ)

◆治癒判定時の臨床効果[主要評価項目][サブグループ解析]

MITTにおける臨床効果の有効率は、キュビシン®群が44.2%(53/120例)、対照薬群が41.7%(48/115例)でした。キュビシン®群の対照薬群に対する非劣性が検証されました。サブグループ解析として、MRSA感染患者における臨床効果の有効率は、全体でキュビシン®群が44.4%(20/45例)、対照薬群が31.8%(14/44例)でした。

治癒判定時の臨床効果(MITT、MITT-MRSA、有効性評価委員会判定)

◆安全性

副作用は、キュビシン®群120例中42例(35.0%)、対照薬群116例中49例(42.2%)に認められました。主な副作用(発現率2%以上)は、キュビシン®群で血中クレアチンホスホキナーゼ(CK)増加(6例、5.0%)、軟便(4例、3.3%)、血中リン増加、消化不良、発疹(各3例、各2.5%)、対照薬群で下痢(11例、9.5%)、腎不全(7例、6.0%)、悪心(6例、5.2%)、血中クレアチニン増加、発疹、急性腎不全、発熱、味覚異常、低血圧(各3例、各2.6%)でした。重篤な副作用は、キュビシン®群で3例[血中CK増加、心房細動/心房粗動/腎不全、心停止各1例](2.5%)、対照薬群で6例[腎不全2例、腎尿細管壊死、急性腎不全、クロストリジウム性大腸炎、アナフィラキシー反応各1例](5.2%)に認められました。副作用による死亡例はキュビシン®群で心停止による1例でした。投与中止に至った副作用は、キュビシン®群で10例[血中CK増加3例、発疹2例、嘔吐、小水疱性皮疹、腎不全、血小板減少症、心停止各1例](8.3%)、対照薬群で13例[発熱2例、薬剤性皮膚炎、紅斑性皮疹、急性腎不全、レッドマン症候群、アナフィラキシー反応、発疹、間質性腎炎、水疱性皮膚炎、中毒性ネフロパシー、腎不全、過敏症各1例](11.2%)に認められました。

【目的】黄色ブドウ球菌による菌血症及び感染性心内膜炎患者に対するキュビシン®の治癒判定時の有効性評価委員会による臨床効果について、対照薬との非劣性を検証する。
【対象】18歳以上の黄色ブドウ球菌による菌血症又は感染性心内膜炎患者[安全性解析対象例数(ITT※1):236例(キュビシン®群120例、対照薬群116例)、有効性解析対象例数(MI TT※2):235例(キュビシン®群120例、対照薬群115例)]
【方法】多施設共同、非盲検、無作為化、実薬対照試験。対象患者を、キュビシン®群又は対照薬群に1:1の比で無作為割り付けし、キュビシン®群にはキュビシン®6mg/kgを24時間ごとに30分かけて点滴静注投与、対照薬群にはバンコマイシン1gを12時間ごと(もしくは適宜増減)又は半合成ペニシリン(nafcillin※3、オキサシリン及びフルクロキサシリン:国内販売中止)2gを4時間ごとに静注投与した。投与期間は診断に基づいて治験責任医師が決定し、10〜42日間投与した。なお、キュビシン®群の左心系感染性心内膜炎及び対照薬群では、ゲンタマイシン1mg/kg(もしくは腎機能に合わせた用量)を8時間ごとに最初の4日間静注できることとした。
【評価項目】    〈主要評価項目〉治癒判定時(投与終了後42日)の臨床効果(有効性評価委員会判定)
〈副次評価項目〉カプランマイヤー法により評価する菌血症治癒までの時間
〈安全性の評価項目〉有害事象、重篤な有害事象、併用薬使用状況、臨床検査、身体所見、心電図所見、バイタルサイン
【解析計画】有効性の解析は、MITT集団を主要な解析対象集団とした。有効性の主要評価項目における臨床効果では、有効率の群間差(キュビシン®群-対照薬群)の95%信頼区間を二項分布の正規近似に基づいて算出した。非劣性を示す基準として、群間差(キュビシン®群-対照薬群)の95%信頼区間の下限が-20%以上及び信頼区間が0を含むことと事前に規定した。事前に規定された解析計画により、複雑性菌血症又は非複雑性菌血症、右心系感染性心内膜炎又は左心系感染性心内膜炎、菌種別を層別因子として、キュビシン®群の菌血症に対する有効性についてサブグループ解析を行った。安全性の解析は、ITT集団を対象とした。

※1 ITT:無作為割り付け後に治験薬を少なくとも1回以上投与された患者集団
※2 MITT:ITTのうち、左心系感染性心内膜炎が疑われた患者1例を除いた患者集団
※3 国内未承認

承認時評価資料:成人を対象とした海外第Ⅲ相試験(DAP-IE-01-02試験)
Fowler VG Jr, et al., N Engl J Med. 2006; 355(7): 653-665. より作図
[利益相反:キュビスト社(現MSD社)が本試験を支援。Fowler、Boucher、Corey、Abrutyn、Karchmer、Rupp、Levine、Chambers、Cabell、Link、Price、Cosgroveはキュビスト社(現MSD社)のコンサルタント。Fowler、Boucher、Karchmer、Rupp、Levine、Link、Zervos、Bernstein、Rehm、Ticeは講演料をキュビスト社(現MSD社)から受領。Fowler、Corey、Karchmer、Levine、Chambers、Zervos、Bernstein、Price、Rehm、Tice、Cosgroveはキュビスト社(現MSD社)から研究助成を受けた。Tally、Viglianiはキュビスト社(現MSD社)の社員。]

キュビシン®の4. 効能又は効果
〈適応菌種〉ダプトマイシンに感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
〈適応症〉敗血症、感染性心内膜炎、深在性皮膚感染症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染

※感染性心内膜炎は、小児では適応外

キュビシン®の5. 効能又は効果に関連する注意(抜粋)
〈感染性心内膜炎〉
5.3 成人の右心系感染性心内膜炎にのみ使用すること。左心系感染性心内膜炎に対して、国内での使用経験はなく、海外でも有効性は認められていない。また、小児の感染性心内膜炎に対する有効性及び安全性は確認されていない。

キュビシン®の皮膚・軟部組織感染症に対する臨床成績<成人>

本試験の対象には一部国内承認外の適応菌種が含まれるデータで評価され承認されたため、国内で承認されている効能又は効果と異なるデータも紹介しています。

■国内第Ⅲ相試験<成人>

◆治癒判定時の臨床効果及び細菌学的効果[主要評価項目]

MITT-MRSAにおける臨床効果の有効率は、キュビシン®群が81.8%(45/55例)、バンコマイシン群が84.2%(16/19例)であり、細菌学的効果の有効率は、キュビシン®群が56.4%(31/55例)、バンコマイシン群が47.4%(9/19例)でした。

◆安全性

皮膚・軟部組織感染症患者における臨床症状の副作用は、キュビシン®群88例中9例(10.2%)、バンコマイシン群22例中4例(18.2%)に認められ、主な副作用(発現率2%以上)は、キュビシン®群で発熱(2例、2.3%)、バンコマイシン群でそう痒症、レッドマン症候群、発熱、熱感、耳不快感(各1例、各4.5%)でした。臨床症状の重篤な副作用は、キュビシン®群でアナフィラキシーショックが1例(1.1%)に認められ、臨床症状の副作用による死亡例は、いずれの群においても認められませんでした。投与中止に至った臨床症状の副作用は、キュビシン®群でアナフィラキシーショックが1例(1.1%)に認められました。
皮膚・軟部組織感染症患者における臨床検査値の副作用は、キュビシン®群88例中13例(14.8%)、バンコマイシン群22例中4例(18.2%)に認められ、主な副作用(発現率2%以上)は、キュビシン®群でアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加、アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加(各6例、各6.8%)、血中アルカリホスファターゼ増加、血中クレアチンホスホキナーゼ増加(各2例、各2.3%)、バンコマイシン群でアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加、アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加(各2例、各9.1%)、血小板数減少、血中クレアチニン増加、白血球数減少(各1例、各4.5%)でした。臨床検査値の重篤な副作用及び副作用による死亡例は、いずれの群においても認められませんでした。投与中止に至った臨床検査値の副作用は、キュビシン®群で2例[アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加及びアラニン・アミノトランスフェラーゼ増加が各2件](2.3%)、バンコマイシン群で2例[白血球数減少及び血小板数減少、血中クレアチニン増加が各1件](9.1%)に認められました。

承認時評価資料:成人を対象とした国内第Ⅲ相試験(002試験)

【目的】MRSAによる皮膚・軟部組織感染症患者、又は敗血症及び右心系感染性心内膜炎患者に対するキュビシン®の有効性及び安全性を検討する。
【対象】20歳以上のMRSAによる皮膚・軟部組織感染症、又は敗血症及び右心系感染性心内膜炎患者
〈皮膚・軟部組織感染症〉安全性解析対象例数:キュビシン®群88例、バンコマイシン群22例、有効性解析対象例数(MITT-MRSA※1):キュビシン®群55例、バンコマイシン群19例
〈敗血症及び右心系感染性心内膜炎〉安全性解析対象例数:キュビシン®群11例、有効性解析対象例数(MITT-MRSA):キュビシン®群4例※2
【方法】多施設共同、非盲検、無作為化、実薬対照試験。
〈皮膚・軟部組織感染症〉対象患者を、キュビシン®4mg/kgを1日1回30分かけて点滴静注投与する群(キュビシン®群)又はバンコマイシン1gを1日2回(もしくは適宜調整)60分以上かけて点滴静注投与する群(バンコマイシン群)に4:1の比で無作為割り付けし、7〜14日間投与した。
〈敗血症及び右心系感染性心内膜炎〉キュビシン®6mg/kgを1日1回30分かけて14~42日間点滴静注投与した。
【評価項目】    〈主要評価項目〉治癒判定時※3の臨床効果(有効性評価委員会判定)、治癒判定時の細菌学的効果(治験依頼者判定、有効性評価委員会確認)
〈副次評価項目〉投与終了時調査時※4の臨床効果(有効性評価委員会判定)、投与終了時調査時の細菌学的効果(治験依頼者判定、有効性評価委員会確認)、治癒判定時及び投与終了時調査時の臨床効果(治験責任医師判定)
〈探索的評価項目〉効果発現までの時間(解熱までの時間、治験薬の投与期間)、C反応性蛋白及び白血球数の推移、治癒判定時及び投与終了時調査時の起炎菌に対する細菌学的効果、薬物動態/薬力学的パラメータと有効性の関係
〈安全性の評価項目〉有害事象、臨床検査値、バイタルサイン(体温、血圧、脈拍数、呼吸数)
【解析計画】有効性の解析は、MITT-MRSAを主要な解析対象集団とした。主要及び副次評価項目の有効率及び95%信頼区間を投与群ごとに算出した。この95%信頼区間は、Clopper-Pearson法による正確な信頼区間を算出した。

※1 MITT-MRSA:MITT(Modified Intention to Treat)のうち、スクリーニング時にMRSAが検出された患者集団
※2 4例とも敗血症患者(右心系感染性心内膜炎患者が1例組み入れられたが、スクリーニング時の血液培養検査で起炎菌が検出されず、全ての有効性解析対象集団から除外された)
※3 治癒判定時の評価は皮膚・軟部組織感染症では最終投与後7~14日目、敗血症及び右心系感染性心内膜炎では最終投与後38~46日目に実施した(ただし、治験責任医師判定による臨床効果が「治癒せず」となる場合は、最終投与後38日未満でも評価できることとした)。
※4 投与終了時調査は最終投与後3日以内に実施した。

承認時評価資料:成人を対象とした国内第Ⅲ相試験(002試験)

キュビシン®の4. 効能又は効果
〈適応菌種〉ダプトマイシンに感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
〈適応症〉敗血症、感染性心内膜炎、深在性皮膚感染症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染

※感染性心内膜炎は、小児では適応外

キュビシン®の5. 効能又は効果に関連する注意(抜粋)
〈感染性心内膜炎〉
5.3 成人の右心系感染性心内膜炎にのみ使用すること。左心系感染性心内膜炎に対して、国内での使用経験はなく、海外でも有効性は認められていない。また、小児の感染性心内膜炎に対する有効性及び安全性は確認されていない。

バンコマイシン塩酸塩点滴静注用の効能・効果(抜粋)(詳細は電子添文をご参照ください。)
1.〈適応菌種〉バンコマイシンに感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
〈適応症〉敗血症、感染性心内膜炎、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、骨髄炎、関節炎、肺炎、肺膿瘍、膿胸、腹膜炎、化膿性髄膜炎

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