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ガーダシル®(男性)

男性を対象とした臨床試験成績

HPV疾患予防効果および安全性(HPV6/11/16/18型に関連した性器周辺部病変

一部承認外の成績が含まれるデータを含めて承認されたため、紹介するデータには承認外の効能又は効果が含まれます。

●海外第Ⅲ相臨床試験(020試験)の概要

承認時評価資料

【目    的】男性におけるガーダシル®の有効性、免疫原性および忍容性をプラセボと比較して検討する。
【試験デザイン】無作為化、プラセボ対照、多施設共同、二重盲検試験(検証的)
【対    象】      16〜26歳の男性4,065例
【方    法】ガーダシル®またはプラセボを0、2、6ヵ月の3回筋肉内接種し、検討した。
【評 価 項 目】主要評価項目:●有効性:HPV6/11/16/18型に関連した性器周辺部病変※1の発生率(検証項目)
       ●安全性:有害事象
副次評価項目:●HPV6/11/16/18型に関連した持続感染※2の発生率(検証項目)
MSM※3サブスタディの評価項目:
       ●HPV6/11/16/18型に関連した肛門疾患の発生率
【解 析 計 画】●有効性の主要な解析はPer-Protocol Efficacy(PPE)解析対象集団で実施した。PPE解析対象集団は、3回の治験薬接種を1年以内にすべて受け、有効性の評価に影響を与えるような治験実施計画書からの逸脱がなく、3回目の接種(初回接種から6ヵ月時)の接種後14~72日以内に採取されたスワブ検体での7ヵ月時のPCR結果があり、該当する各HPV型に対して、1日目に血清抗体反応陰性かつ1日目から7ヵ月までPCR陰性を示した被験者で構成された。
●予防効果=(1-(ガーダシル®群のイベント発生数/ガーダシル®群の追跡期間)/(プラセボ群のイベント発生数/プラセボ群の追跡期間))×100(%)
●ワクチンの予防効果が20%以下であるという帰無仮説に対する片側検定(α = 2.5%)を用いて、主要および副次評価項目の仮説を検証した。副次仮説は主要仮説が成立した場合のみ検証した。主要仮説の検証では予防効果(VE)の点推定値および95%信頼区間を計算し、副次仮説の検証では、VEの点推定値および多重性を調整した信頼区間またはP値を計算した。
●MSMサブスタディの有効性解析は、肛門疾患のイベント数が17件以上となった時点で実施した。MSMサブスタディではVEが0%以下であるという帰無仮説に対する片側検定(α = 2.45%)を用いて、MSMの評価項目の仮説を検証した。MSMサブスタディでは、VEの点推定値および95.1%信頼区間を検討した。
●層別解析として、性器周辺部病変に対する予防効果を病変別に、持続感染に対する予防効果をHPV型別に、肛門疾患に対する予防効果をグレード別に解析した。
●安全性は1回以上の治験薬接種を受け、接種後のデータが存在する被験者を安全性解析集団とした。接種後1~5日目の1%以上の割合で発現した注射部位の有害事象、接種後1~15日目の1%以上の割合で発現した注射部位以外の有害事象を要約した。各評価項目における群間差の点推定値および95%信頼区間を計算し、特定の注射部位の有害事象(疼痛、紅斑および腫脹)の発現割合の群間差の有意差検定を行った。また全治験期間中の死亡、重篤な副作用および新たな医学的事象を要約した。

※1:性器周辺病変は、1つの生検検体または切除した組織において次の両方の条件に該当する場合にイベントと定義した。1)病理審査委員会の合意により、尖圭コンジローマ、PINまたは陰茎、肛門周囲もしくは会陰のがんと診断された。および2)同じ組織片の隣接切片において、HPV6/11/16/18型の少なくとも1つが検出された。
※2:規定した来院間隔は6ヵ月であるが、各来院の許容範囲を±1ヵ月設けた。そのため検体採取の間隔は少なくとも4ヵ月以上となるが、6ヵ月以上の持続感染として取り扱った。
※3:men who have sex with men(男性と性交渉を行う男性)

●海外第Ⅲ相臨床試験(020試験)におけるガーダシル®の予防効果
(主要評価項目ほか)

承認時評価資料

主要評価項目においては、HPV6/11/16/18型に関連した性器周辺部病変※1の発生率に対するガーダシル®の予防効果は90.6%(95%信頼区間:70.1、98.2)であり、性器周辺部病変に対する予防効果が検証されました*(検証的解析結果、表1)。性器周辺部病変の内訳は、尖圭コンジローマに対する予防効果は89.3%でした(表1)。
また副次評価項目においては、 HPV6/11/16/18型に関連した持続感染※2の発生率に対する予防効果は、85.5% (95%信頼区間:77.0、91.3)であり、持続感染に対する予防効果が検証されました** (検証的解析結果、表2) 。
MSMサブスタディ※3におけるHPV6/11/16/18型に関連した肛門疾患の発生率に対する予防効果は、77.5%でした(表3)。

※1 性器周辺病変は、1つの生検検体または切除した組織において次の両方の条件に該当する場合にイベントと定義した。1) 病理審査委員会の合意により、尖圭コンジローマ、PINまたは陰茎、肛門周囲もしくは会陰のがんと診断された。および2) 同じ組織片の隣接切片において、HPV 6/11/16/18型の少なくとも1つが検出された。
※2 規定した来院間隔は6ヵ月であるが、各来院の許容範囲を±1ヵ月設けた。そのため検体採取の間隔は少なくとも4ヵ月以上となるが、6ヵ月以上の持続感染として取り扱った。
※3 men who have sex with men(男性と性交渉を行う男性)
* 統計学的な成功基準は95%信頼区間の下限値が20%より大きいこととする。
** 統計学的な成功基準は多重性を調整した95%信頼区間の下限値が20%より大きいこととし、主要評価項目が成立した場合にのみ検証した。

表1:海外第Ⅲ相臨床試験(020試験)におけるガーダシル®の予防効果 有効性【主要評価項目(検証的解析結果)】

表1:海外第Ⅲ相臨床試験(020試験)におけるガーダシル®の予防効果 有効性【主要評価項目(検証的解析結果)】

表2:海外第Ⅲ相臨床試験(020試験)におけるガーダシル®の予防効果 有効性【副次評価項目(検証的な解析結果)】

表2:海外第Ⅲ相臨床試験(020試験)におけるガーダシル®の予防効果 有効性【副次評価項目(検証的な解析結果)】

表3:海外第Ⅲ相臨床試験(020試験)におけるガーダシル®の予防効果 有効性【MSMサブスタディにおける評価項目】

表3:海外第Ⅲ相臨床試験(020試験)におけるガーダシル®の予防効果 有効性【MSMサブスタディにおける評価項目】

●海外第Ⅲ相臨床試験(020試験)における有害事象

承認時評価資料

接種後5日間の注射部位の有害事象はガーダシル®群で1,945例中1,166例(59.9%)、プラセボ群で1,950例中1,046例(53.6%)に認められました。主な副反応はガーダシル®群で疼痛1,113例(57.2%)、紅斑304例(15.6%)、腫脹219例(11.3%)、そう痒感22例(1.1%)、プラセボ群で疼痛991例(50.8%)、紅斑275例(14.1%)、腫脹187例(9.6%)、そう痒感23例(1.2%)でした。
接種後15日間の全身性の副反応はガーダシル®群で1,945例中274例(14.1%)に、プラセボ群で1,950例中284例(14.6%)に認められました。主なものはガーダシル®群で発熱93例(4.8%)および頭痛107例(5.5%)、プラセボ群で発熱98例(5.0%)および頭痛119例(6.1%)でした。
薬剤との関連性が否定されない死亡例はいずれの群においても認められませんでした。
接種後15日間の重篤な有害事象はガーダシル®群で5例6件(虫垂炎、非心臓性胸痛、蜂巣炎、過敏症、痙攣、水痘)、プラセボ群で1例(挫傷)に認められましたが、いずれも治験担当医師により、治験薬との因果関係が否定されました。
中止に至った副反応はガーダシル®群で2例6件(頭痛、倦怠感、筋肉痛、発熱、嘔吐、悪心)、プラセボ群で3例8件(浮動性めまい、呼吸困難、頭痛、疼痛、発熱、蕁麻疹、ウイルス感染、全身性そう痒症)に認められました。

※:治験担当医師により治験薬との因果関係が否定できないと判断された有害事象

4.効能又は効果
ヒトパピローマウイルス6、11、16及び18型の感染に起因する以下の疾患の予防
○子宮頸癌(扁平上皮癌及び腺癌)及びその前駆病変(子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)1、2及び3並びに上皮内腺癌(AIS))
○外陰上皮内腫瘍(VIN)1、2及び3並びに腟上皮内腫瘍(VaIN)1、2及び3
○肛門癌(扁平上皮癌)及びその前駆病変(肛門上皮内腫瘍(AIN)1、2及び3)
○尖圭コンジローマ

5.効能又は効果に関連する注意(一部抜粋)
5.1 HPV6、11、16及び18型以外のHPV感染に起因する子宮頸癌(扁平上皮癌及び腺癌)、肛門癌(扁平上皮癌)又はそれらの前駆病変等の予防効果は確認されていない。

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