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開発の経緯

開発の経緯

Human immunodeficiency virus type 1 (HIV-1) 感染症は効果的な抗レトロウイルス療法(Antiretroviral therapy: ART)を受けることができる患者にとって管理可能な慢性疾患であり、多くの患者は長年にわたりARTを継続しています。
国内外のHIV感染症治療ガイドライン1-3)では、ウイルス学的抑制が得られている患者の治療について、併存疾患及び長期的な健康・QOLの向上に重点を置いており、毎日服薬する経口投与レジメンとして、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(Nucleoside/nucleotide reverse transcriptase inhibitor: NRTI)2剤とキードラッグ1剤[インテグラーゼ阻害剤(Integrase strand transfer inhibitor: INSTI)、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(Non-nucleoside reverse transcriptase inhibitor: NNRTI)又はプロテアーゼ阻害剤(Protease Inhibitor: PI)]の3剤レジメン、若しくは2剤レジメンが推奨されています。
既存のARTに対する耐性、長期毒性の発現、加齢に伴う併存疾患の有病率や薬物相互作用の増加等、高齢化社会の生涯にわたる治療の課題は変化し続けています。ARTの選択肢として、有効性、安全性、忍容性、簡便性(例:1日1回1錠の経口投与レジメン)、食事の影響を考慮せずに服用可能、薬物相互作用を受けない等のメディカルニーズが依然としてあります1-3)。更に、耐性発現に対するバリアが高く、併存疾患の発現や悪化の一因となるリスクの低いARTの選択肢も必要です1-3)。現在広く使用されているARTへの耐性が増加するにつれ、新しい効果的な治療法が必要となります4)
イドビンソ®配合錠(以下、本剤)は、新規作用機序のヌクレオシド系逆転写酵素トランスロケーション阻害剤(Nucleoside reverse transcriptase translocation inhibitor: NRTTI)であるイスラトラビル0.25mgと、NNRTIであるドラビリン 100mgを有効成分とするSingle Tablet Regimen(STR)であり、HIV-1感染症に対する治療薬としてMerck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA( 以下、米国本社)が開発しました。
イスラトラビルは、逆転写酵素の転移(トランスロケーション)阻害、遅延型のDNA鎖伸長停止を含む作用機序によりHIV-1の複製を阻害します。イスラトラビルは、2012年に全世界の開発権利がヤマサ醤油株式会社から米国本社に供与されました。ドラビリンはHIV-1感染症の治療薬として国内外で承認されています。イスラトラビル及びドラビリンは相補的な耐性プロファイルを有しました。
国際共同第Ⅲ相臨床試験では、ビクテグラビル/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミド(BIC/FTC/TAF)によりウイルス学的抑制(HIV-1 RNA量50 copies/mL未満)が得られているHIV-1感染症患者を対象にした二重盲検試験(052試験)と、ARTによりウイルス学的抑制が得られているHIV-1感染症患者を対象にした非盲検試験(051試験)を実施し、本剤1日1回に切り替えた際の有効性及び安全性を評価しました。本邦では、これらの臨床試験の成績等に基づき製造販売承認申請を行い、2026年3月に「HIV-1感染症」を効能又は効果として承認されました。
なお、本剤の有効成分であるイスラトラビル水和物及びドラビリンは、「HIV-1感染症」を予定される効能又は効果として希少疾病用医薬品に指定されています[イスラトラビル水和物:2021年10月1日、指定番号:(R3薬)第525号、ドラビリン:2018年3月20日、指定番号:(30薬)第411号]。

1)Guidelines for the Use of Antiretroviral Agents in Adults and Adolescents with HIV.A Working Group of the NIH Office of AIDS Research Advisory Council (OARAC).
2)EACS Guidelines Version 12.0 October 2023 [Internet].EACS (European AIDS Clinical Society).
3)抗HIV治療ガイドライン 2025年3月版.HIV感染症および血友病におけるチーム医療の構築と医療水準の向上を目指した研究班.
4)承認時評価資料:諸言

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