PMS(使用成績調査)―最終報告―

PMS(使用成績調査)―最終報告―

【禁忌を含む使用上の注意】 等は こちら をご参照ください。

  • 本使用成績調査(PMS)は比較対照試験ではない探索的な観察研究であり、実臨床下での安全性・有効性を把握することを目的としています。
  • 特に有効性データに関しては、下記の留意点があるので、参考データとしてお取扱いください。
    • 仮説検証型の臨床試験のような有効性を厳密に検証する試験デザインではなく、比較対照群のない非ランダム化観察研究であるため、患者背景などによる影響を除外できない
    • 実臨床下のデータであり、投与開始後の併用薬の追加や変更、生活習慣の変化などの影響をうけている可能性がある
    • 2週間ごとに来院可能で治療に積極的な患者への組入れの偏りなど、2週間処方制限の影響をうけている可能性がある

調査目的
日常診療下でのベルソムラ®の安全性と有効性に関する情報の検出または確認

調査対象
ベルソムラ®を初めて投与する患者を対象とし、中央登録方式により登録。10mg錠については、2016年12月15日発売後より本調査の対象

調査方法
ベルソムラ®の用法・用量は添付文書に従い、通常、成人にはスボレキサントとして1日1回20mgを、高齢者には1日1回15mgを就寝直前に経口投与。観察期間は、ベルソムラ®投与開始後1ヵ月とし、最長6ヵ月まで。改善のため終了または中止した症例は、有害事象追跡のために30日間のフォローアップ期間を設定

調査期間
2015年7月21日~2017年8月12日

調査票回収例数
3,428例
安全性解析対象症例 3,248例
有効性解析対象症例 2,665例

調査項目
患者背景(性別、年齢、使用理由、罹病期間、既往歴、合併症、投与前のナルコレプシーの診断有無など)、安全性(有害事象)、有効性〔全般改善度、臨床症状(総睡眠時間、入眠潜時)など〕

集計解析方法
•副作用の発現状況。傾眠に影響を与える背景因子の探索(多変量ロジスティック回帰分析)
•最終全般改善度の評価に基づく改善率。全般改善度に影響を与える背景因子の探索(多変量ロジスティック回帰分析)
•臨床症状は、各判定時期に得られた入眠潜時および総睡眠時間の中央値を集計
•安全性評価および有効性評価の特別な背景を有する患者別の集計
•日常診療下における使用実態を把握するため、導入状況別の継続状況も集計

利益相反
著者および共著者はMSD社員

浅井有子 他. 睡眠医療 2018; 12(2): 209-227.

症例構成

浅井有子 他. 睡眠医療 2017; 11(2): 249-263.

安全性解析対象症例3,248例における患者背景は以下のとおりです。

患者背景

「精神科」「心療内科」を「精神科」、「~内科」を「内科」、それ以外を「その他」とする

浅井有子 他. 睡眠医療 2018; 12(2): 209-227.

副作用発現状況一覧(安全性解析対象症例)

安全性

副作用による中止の内訳は論文中に記載なし

※1 審査報告書において検討すべきとされた副作用が発現した重篤症例(激越、易刺激性、自殺念慮症例):60歳代後半男性で、ベルソムラ®処方初日の夜に内服後興奮状態で落ち着きがなくなり手足をふりまわし騒ぐため救急搬送となった。自殺行動関連は認められなかった。経過観察のため入院し数時間後には落ち着いて普通に会話も可能となった。

※2 審査報告書において検討すべきとされた副作用が発現した重篤症例(転倒および大腿骨頸部骨折症例):80歳代後半女性で認知症の合併症があった。患者は元気で夜中に暴れたりすることがあった。グループホームへ体験入所し、初日の夜にベルソムラ®を服用し翌朝起床時転倒、右大腿骨を骨折した。

※3 「硬膜下血腫」および「外傷性頭蓋内出血」を発現した症例は、本調査終了後、報告医の追加情報によりベルソムラ®との因果関係が否定された。

安全性解析対象症例3,248例中、315例(9.7%)377件に副作用(ベルソムラ®との因果関係が否定されなかった有害事象)が発現しました。主な副作用は、傾眠が117件(3.6%)、不眠症40件(1.2%)、浮動性めまい35件(1.1%)、悪夢27件(0.8%)でした。
重篤な副作用は8例(0.2%)13件で、譫妄が2件(0.06%)、激越、解離性障害、易刺激性、自殺念慮、咳嗽、呼吸困難、誤嚥性肺炎、転倒、大腿骨頸部骨折、硬膜下血腫、外傷性頭蓋内出血各1件(0.03%)でした。

浅井有子 他. 睡眠医療 2018; 12(2): 209-227.より改変

患者背景別の副作用発現症例率(安全性解析対象症例)

性別

性別

浅井有子 他. 睡眠医療 2018; 12(2): 209-227.より改変

年齢別

年齢別

65歳以上の高齢者において5件以上みられた副作用は、傾眠が41件(2.3%)、浮動性めまいが24件(1.4%)、不眠症が23件(1.3%)、悪夢が11件(0.6%)、頭痛が6件(0.3%)、悪心および異常感が各5件(0.3%)でした。

浅井有子 他. 睡眠医療 2018; 12(2): 209-227.より改変

診療科別

診療科別

「精神科」「心療内科」を「精神科」、「~内科」を「内科」、それ以外を「その他」とする

診療科別の副作用発現症例率は、精神科13.8%、内科7.5%、その他の診療科では11.6%でした。

浅井有子 他. 睡眠医療 2018; 12(2): 209-227.より改変

主な精神疾患および認知症を有する患者別

主な精神疾患および認知症を有する患者別

精神疾患(統合失調症、うつ病、躁うつ病、不安障害)を有する患者において5件以上みられた副作用は、傾眠が56件、不眠症が20件、浮動性めまいが18件、倦怠感が11件、悪夢が10件でした。

浅井有子 他. 睡眠医療 2018; 12(2): 209-227.より改変

傾眠に影響を与える背景因子(安全性解析対象症例)

傾眠に影響を与える背景因子としては、多変量ロジスティック回帰分析の結果、併用薬の有無および罹病期間が検出されました。併用薬ありの患者では、併用薬なしの患者と比較して傾眠のリスクが高いことが示されました。
(オッズ比 3.007,95% CI:1.307-6.918,p=0.010)
一方、罹病期間10年以上の患者では、罹病期間1年未満の患者と比較して傾眠のリスクが低いことが示されました。
(オッズ比 0.308,95% CI:0.112-0.845,p=0.022)

傾眠に影響を与える背景因子

浅井有子 他. 睡眠医療 2018; 12(2): 209-227.より改変

本データは、有効性を厳密に検証したものではなく、実臨床下での有効性を観察したものです。

最終全般改善度※1,※2[医師の評価](有効性解析対象症例)

※1 有効性解析対象症例(2,665例)のうち、最終全般改善度のデータを取得できた2,439例が対象
※2 観察期間終了時点の担当医師による判定

全体

担当医師が「良くなった」と判定した患者の割合(改善率)は74.0%でした。

全般改善度 全体

年齢別

いずれの年齢区分においても、改善率は70%以上でした。

年齢別

浅井有子 他. 睡眠医療 2018; 12(2): 209-227.より作図

診療科別※3

精神科、内科のいずれにおいても、改善率は70%以上でした。

診療科別

※3 「精神科」「心療内科」を「精神科」、「~内科」を「内科」、それ以外を「その他」とする

浅井有子 他. 睡眠医療 2018; 12(2): 209-227.より作図

精神疾患および認知症を有する患者別

主な精神疾患および認知症を有する患者の改善率は、以下の通りでした。

精神疾患および認知症を有する患者別

浅井有子 他. 睡眠医療 2018; 12(2): 209-227.より作図

ベルソムラ®使用理由別(マルチカウント)

いずれの使用理由においても、改善率は70%以上でした。

使用理由別:マルチカウント

浅井有子 他. 睡眠医療 2018; 12(2): 209-227.より作図

入眠潜時および総睡眠時間の推移※4(有効性解析対象症例)

・入眠潜時(中央値)は、投与開始前の60分から投与開始1週間後に50分、1ヵ月後に30分となり、その後投与開始6ヵ月後まで短縮を維持しました。

・総睡眠時間(中央値)は、投与開始前の300分から投与開始1週間後に360分となり、その後投与開始6ヵ月後まで360分以上を維持しました。

入眠潜時および総睡眠時間の推移

* 投与中止時:投与を中止した時点の値を示す。

※4 担当医師の問診または睡眠日誌によって得られた情報による

浅井有子 他. 睡眠医療 2018; 12(2): 209-227.より改変

全体(安全性解析対象症例)

48.6%の患者でベルソムラ®が継続されました。「改善のため終了」した割合は17.1%でした。
なお、改善のため終了した症例におけるベルソムラ®平均投与日数は61.7日でした。

全体(安全性解析対象症例)

来院なしのための脱落や転院などその他の理由で終了

浅井有子 他. 睡眠医療 2018; 12(2): 209-227.より作図

終了・中止状況(安全性解析対象症例)

終了・中止した1,671例のうち「改善のため終了」した割合は33.2%でした。

終了・中止状況

来院なしのための脱落や転院などその他の理由で終了

浅井有子 他. 睡眠医療 2018; 12(2): 209-227.より作図

導入状況別継続状況(安全性解析対象症例)

導入状況にかかわらず45%以上でベルソムラ®が継続されました。
ナイーブおよびアドオンでは、「改善のため終了」した割合がそれぞれ22.3%、10.8%でした。

導入状況別継続状況(安全性解析対象症例)

来院なしのための脱落や転院などその他の理由で終了

導入状況がナイーブ、スイッチ、アドオンのいずれにも該当しなかった患者および併用薬不明の63例を除外した

浅井有子 他. 睡眠医療 2018; 12(2): 209-227.より改変

他の不眠症治療薬の使用状況による分類と導入状況

他の不眠症治療薬の使用状況による分類と導入状況

浅井有子 他. 睡眠医療 2018; 12(2): 209-227.より改変

  • ベルソムラ®の使用成績調査について最終結果の報告を行いました。
    (対象期間:2015年7月21日~2017年8月12日、対象症例:3,428例)
  • 安全性解析対象症例3,248例における副作用発現症例率は9.7%(315例)でした。
    主な副作用は、傾眠117件(3.6%)、不眠症40件(1.2%)、浮動性めまい35件(1.1%)、悪夢27件(0.8%)でした。重篤な副作用は8例(0.2%)13件で、複数に認められたものは譫妄が2件(0.06%)でした。
  • 有効性解析対象症例2,665例のうち最終全般改善度が得られた2,439例における改善率は74.0%でした。
  • 臨床症状については、投与開始1週間後より入眠潜時(中央値)の短縮および総睡眠時間(中央値)の延長が認められ(投与開始前と比較し、それぞれ60分から50分への短縮、300分より360分への延長)、投与開始6ヵ月後まで維持しました。
  • 本調査は比較対照試験でない探索的な観察研究であり、患者背景や他剤など様々なバイアスの影響を受ける可能性があることから、結果の解釈には考慮すべき点があるものの、日常診療下において、ベルソムラ®は有用な薬剤と考えられました。

浅井有子 他. 睡眠医療 2018; 12(2): 209-227.

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