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国内第Ⅰ相試験(089試験)

本剤は希少疾病用医薬品に指定され、海外臨床試験成績並びに国内臨床試験成績が評価され承認されました。そのため、一部承認外の効能又は効果が含まれるデータですが紹介します。

国内第Ⅰ相試験(089試験)

Wada H et al. J Dermatol 2012; 39: 823-828
本試験はMSD社のサポートを受けて実施された。また、著者にMSD社の社員が含まれる。
承認時評価資料:国内第Ⅰ相試験(089試験):臨床成績

本試験は2つのパート(パート1及びパート2)から構成されました。

試験方法

【目的】

主要目的
再発又は難治性の皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)患者に対してゾリンザ®400mgを1日1回経口投与した際の安全性及び忍容性(パート1のみ)を評価する。

副次目的(パート1のみ)
再発又は難治性CTCL患者に対してゾリンザ®400mgを1日1回経口投与した際の薬物動態を評価する。

探索的目的
再発又は難治性CTCL患者に対してゾリンザ®400mgを1日1回経口投与した際の抗腫瘍効果を評価する。

【試験デザイン】

非盲検、多施設共同、単一投与群試験

【対象】

少なくとも1種類以上の前治療歴を有する再発又は難治性(進行性あるいは持続性)でStage ⅡB以上§のCTCL患者

【評価症例数】

10例(パート1:6例、パート2:4例)

【投与方法】

28日間を1サイクルとしてゾリンザ®400mgを食後に1日1回経口投与した。次サイクルの開始基準を満たし、原疾患の進行(PD)又は許容できない毒性の発現等の中止基準に該当しない限り継続した。

【評価項目】

安全性

有効性
抗腫瘍効果、無増悪期間、そう痒症の緩和等

薬物動態(パート1のみ)

【解析計画】

安全性
1コース目のDLTについて、DLTの頻度、発現期間、グレード及び発現までの期間を要約した。
有害事象は器官分類及び基本語ごとに1件以上有害事象の発現した症例数(%)を要約した。

有効性
無増悪期間をKaplan-Meier法により推定した。またCTCL患者に対する効果[CCR、PR、不変(SD)及びPD]をカテゴライズした。

薬物動態
すべての薬物動態パラメータ(AUC、Cmax、Tmax、t1/2)の要約統計量を算出し、必要に応じて適切なプロットを作成した。また、ゾリンザ®の反復投与による薬物動態への影響を評価するため、Day 1のAUC0-∞に対するDay 28のAUC0-24 hrの幾何平均比及びその90%信頼区間を算出した。さらにDay 4ではゾリンザ®のトラフ値の要約統計量を算出した。

【判定基準】

安全性
CTCAE(Common Terminology Criteria for Adverse Events)ver.3.0に従う。

有効性
抗腫瘍効果:modified Severity-Weighted Assessment Tool(mSWAT)*1を用いて全般的皮膚病変の評価を行う。「奏効」は臨床的完全奏効(CCR)、及び部分奏効(PR)とした。

そう痒症の緩和:患者質問表を用いて皮膚そう痒感の程度(そう痒症スコア)*2の評価を行う。臨床的に意味のある「そう痒症の緩和」はそう痒症スコアの3点以上の減少が、抗そう痒薬の増量を必要とせずに少なくとも4週間持続すること、「そう痒症の完全緩和」は痒みなしが少なくとも4週間持続することとした。

† パート1における前治療は非経口又は経口にて投与される治験薬を含む抗悪性腫瘍薬又は生物学的療法(全身療法)、パート2の前治療は全身療法の他、紫外線療法、放射線療法とした。

‡ 持続性とは、毒性によって治療に不耐容な場合を除き、少なくとも3ヵ月間治療を行ったにもかかわらず50%以上の改善が認められないものとした。

§ パート2ではStage IB症例も登録可能としたが、実際に組み入れられた症例はStage ⅡB症例のみであった。

*1 mSWATの概要:CTCLの皮膚病変をスコア化するために開発されたSWATの変法。全身を、全体表面積に占める割合(percentage total body surface area:%TBSA)が事前に規定された12領域に分割し、紅斑、局面、腫瘤それぞれについて、領域毎の罹患面積(%TBSA)を計測する。その際、親指を内側に曲げ、それ以外の指を伸ばした片手の面積が約1%であること(あるいは手指を除く手掌の面積が0.5%であること)を用いる。その後、紅斑、局面、腫瘤それぞれの総罹患面積を算出し、更に重み付け係数(紅斑×1、局面×2、腫瘤×4)を乗じ、これらの積を合計してmSWAT皮膚評価スコアを算出する。奏効は、ベースラインからのmSWAT皮膚評価スコアの変化率に基づいて判定した。

mSWATの概要

*2 そう痒症スコア:患者自身が来院前1週間の皮膚そう痒症を0~10点のスケール(0点:痒みなし、10点:最悪の痒み)を用いて評価した。

4. 効能又は効果
皮膚T細胞性リンパ腫

患者背景

患者背景

治療成績

● 安全性及び忍容性(主要目的)
ゾリンザ®1日1回400mgが投与された10例中10例(100%)に臨床検査値の異常変動を含む副作用が認められました。主な副作用は、血小板減少症が8例(80%)、悪心が6例(60%)、倦怠感が5例(50%)、嘔吐、高クレアチニン血症、食欲不振及び味覚異常が各4例(40%)、高ビリルビン血症、高血糖、高マグネシウム血症、高トリグリセリド血症、白血球減少症、リンパ球減少症及び体重減少が各3例(30%)、下痢、頭痛、高血圧、発熱、貧血、疲労及び腎機能障害が各2例(20%)でした。用量制限毒性(DLT)が1例(10%)に認められ、その内容はGrade 4の血小板減少症でした。減量又は休薬を必要とした有害事象は合計5例(50%)に認められました。重篤な副作用は、1例(10%)で悪心及び嘔吐が認められました。本試験において有害事象又は副作用の発現により試験を中止した患者及び死亡した患者はいませんでした。

● 有効性(探索的目的)
mSWAT皮膚評価スコアによる有効性評価では、ゾリンザ®投与により奏効(PR以上)が得られたのは1例(10%)であり、無増悪期間は146日でした。なお、抗腫瘍効果の結果はPR1例、不変(SD)5例、進行(PD)4例でした。
SDは10例中6例(60%)に認められ、うち5例でmSWAT皮膚評価スコアの減少が認められ、無増悪期間は29〜510日でした。また、ベースラインのそう痒症スコアが3点以上であった6例のうち、そう痒症の緩和は1例で得られ、その1例では完全緩和も得られました(緩和持続期間は482日以上)。
* そう痒症スコアの3点以上の減少が、抗そう痒薬の増量を必要とせずに少なくとも4週間持続
† 痒みなしが少なくとも4週間持続

4. 効能又は効果
皮膚T細胞性リンパ腫
9. 特定の背景を有する患者に関する注意(抜粋)
9.8 高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。