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1分で読める睡眠豆知識 ~「夢」を自覚する夢、叶えます~

明晰夢はトレーニングで習得できる!?

突然ですが、昨夜はどのような夢を見ましたか? もしかしたら、夢の途中で目覚めたものの、その続きを見たくてもう一度、夢の世界に戻ったなんて器用な人もいるかもしれませんね。睡眠中に夢であることを自覚しながら見る夢を明晰夢(めいせきむ:lucid dream)と呼びますが、なんとトレーニングにより習得可能だという報告があるのです。

オーストラリア・University of AdelaideのDenholm J. Aspy氏らが行った研究により、ある方法の組み合わせで明晰夢を見る回数が増えたことが明らかになりました1)。①現実検討(1日数回、被験者自身が夢の中にいるか否かを確認する。簡単な訓練を繰り返すことにより、夢の中でも夢か現実かを確認できるようにする)、②WBTB(wake back to bed:5時間睡眠後に起床し、数時間後に再び就寝)、③MILD(mnemonic induction of lucid dreams:5時間睡眠後に起床し、再度就寝する前に「次に夢を見るときは、夢で見ていることを記憶する」と繰り返し唱え、見ていた夢を思い出す意識を高めつつ、明晰夢を見ている自分をイメージ)―の3通りの明晰夢誘引方法の効果について検討しました。

明晰夢を見る確率が46%の人も

さて、その結果はどうなったでしょうか。①のみ、①と②の組み合わせを行ったグループに比べ、3通り全ての方法を組み合わせて行ったグループでは、わずか1週間で明晰夢を見る確率が17%となり、何も実践していなかったベースライン時を大きく上回りました。しかも、このグループの中で、MILDを十分に実践して5分以内に入眠できた人ではその確率は約46%に上りました。

MILDは展望的記憶と呼ばれ、将来行うことを記憶する能力に対して作用するそうです。「次に夢を見るときは、夢で見ていることを記憶する」というフレーズを繰り返すことで、夢を記憶しようという意識が芽生え、それが定着する、とAspy氏らは考察しています。この研究で重要な点の1つとして、MILDを行って明晰夢を見ることができた人の翌日の睡眠時間は減少しなかったことが挙げられます。つまり明晰夢を見ることによって睡眠の質は悪化しなかったことが確認されたのです。今夜あたり、試してみてはいかがでしょう?

  1. Denholm J. Aspy, et al. Dreaming 2017; 27: 206-231.