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睡眠とアルコール

アルコールは睡眠の質を低下させる

寝る前にお酒を飲むと「よく眠れる」と考える人は少なくありません。
しかし、アルコールは入眠を促す一方で、睡眠の質を低下させることが知られています。また、不眠症患者においてアルコール摂取量が増加することなども知られています1)
アルコールは鎮静作用によって入眠までの時間を短縮させますが、代謝されるにつれてその鎮静作用は消えていきます1)。そのため、深夜から早朝にかけて中途覚醒の頻度が上昇すると考えられています1)

イラスト

このアルコールによる睡眠への影響に性差がある可能性が指摘されているのをご存知ですか?
ミシガン大学のArnedt氏らは、睡眠ポリグラフ検査や眠気スコアを評価した結果、男性と比べて女性の方がアルコールによる影響を受けやすいことが明らかになったと報告しました2)

本試験は、健康成人93例(うち女性59例)を対象に行われた二重盲検ランダム化試験です。対象にアルコールまたはプラセボを摂取させた後、23時から7時まで睡眠ポリグラフで睡眠状態をモニタリングしました。また、就寝時および起床時に、スタンフォード眠気尺度(Stanford Sleeping Scale:SSS)やカロリンスカ眠気尺度(Karolinska Sleepiness Scale:KSS)などによって眠気を評価しました。

その結果、総睡眠時間、睡眠効率、夜間覚醒、および睡眠開始後の覚醒において、男性よりも女性の方がアルコールによる影響を受けやすいことがわかりました。また、眠気スコアは、特にアルコール摂取後の就寝時の女性において高い値をとりました。

  1. Inkelis SM, et al., Alcohol Res. 2020; 40(2): 13.
  2. Arnedt JT, et al., Alcohol Clin Exp Res. 2011; 35(5): 870-8.