Talk Session irAE Series
症例写真を用いて考える
ICIを含む婦人科癌薬物療法における皮膚障害マネジメント
近年、婦人科腫瘍でも免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による治療が増えており、例えば子宮頸癌ではペムブロリズマブと化学療法±ベバシズマブを併用するKEYNOTE-826レジメン、子宮体癌ではペムブロリズマブとチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)であるレンバチニブの併用療法などが選択できるようになりました注)。ICI治療では、従来の抗がん剤とは異なる免疫関連有害事象(immune-related Adverse Events:irAE)のマネジメントが重要になり、その1つとして皮膚障害があります1)。皮膚障害は比較的頻度が高いirAEであるものの、ときに婦人科のみでの診断や対処が難しい面があります。婦人科がとるべき対応や皮膚科へのコンサルテーションのタイミングなどについて、両診療科のエキスパートの先生方からご紹介いただきました。
注)本会開催時におけるペムブロリズマブの効能又は効果は、他の抗悪性腫瘍剤との併用において「進行又は再発の子宮頸癌」ならびにレンバチニブメシル酸塩との併用において「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の子宮体癌」でした。ペムブロリズマブは、2024年11月にシスプラチンを用いた同時化学放射線療法との併用において「局所進行子宮頸癌」に対する効能又は効果が、2024年12月に他の抗悪性腫瘍剤との併用において「進行・再発の子宮体癌」に対する効能又は効果が追加承認されました。

【ご出席者】
右)竹原 和宏先生(国立病院機構 四国がんセンター 婦人科 手術部長)
左)藤山 幹子先生(国立病院機構 四国がんセンター 皮膚科 副院長)
【開催日】2024年10月10日(木)
【開催場所】ホテルマイステイズ松山
主催 MSD株式会社 オンコロジーメディカルアフェアーズ
▶ Index
- 皮膚irAEの種類と発生メカニズム
- 症例写真1:ICI単剤投与中に下肢に生じた乾燥と落屑を伴う紅斑
- 症例写真2:ICI単剤投与中に生じた体幹部の丘疹と口唇の腫脹
- 症例写真3:全身性の皮疹と紅斑を伴う症例
- 症例写真4:手指に生じたびらん、浮腫性紅斑の症例
- 皮膚科へすぐにコンサルテーションができない場合の対処と注意点
- おわりに
「警告・禁忌を含む注意事項等情報」等は電子添文をご参照ください。
皮膚irAEの種類と発生メカニズム
竹原 がん免疫療法の臓器横断的なガイドラインであるがん免疫療法ガイドライン第3版1)ではICIによる副作用の管理が紹介されていますが、具体的な副作用として一番目に紹介されているのが皮膚障害です。ガイドラインでは皮膚障害のirAE(皮膚irAE)の特徴として、①頻度が高い、②発現が早い、③程度が軽いと記載されています1)。
皮膚irAEの診断は皮膚所見に頼る部分が多く、また我々婦人科医にとって視覚的な面で強いインパクトを与える症例も見受けられます。一般的に皮膚irAEの程度は軽いといわれるものの、Stevens-Johnson症候群(Stevens-Johnson syndrome:SJS)や中毒性表皮壊死症(toxic epidermal necrolysis:TEN)など重篤化する例も報告されており1)、日頃から皮膚科専門医と連携したマネジメントが必要だと考えています。
藤山 先生にご紹介いただいた通り、皮膚irAEは程度が軽いものの、多彩な臨床像を示します。欧州の検討によると、頻度が高い皮膚irAEとしてそう痒、斑状丘疹状皮疹(maculopapular rash)、乾癬様皮疹、扁平苔癬様皮疹、白斑、水疱性類天疱瘡などが挙げられています2)。
発現メカニズムはいくつか考えられていますが、高頻度に認められるのは炎症性反応の増強によるものです3,4)。何か元になる潜在性あるいは軽度の炎症があり、そこにICIが投与されることで炎症性サイトカインの産生が増加し5)、発症あるいは炎症の悪化を引き起こす機序を想定しています(図1)6)。他にも、自己抗体の産生増加によるもの(水疱性類天疱瘡)や、腫瘍細胞と健常細胞に共通して存在する抗原に対するT細胞活動性の上昇によるもの(白斑)が考えられます3,4)。
図1 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による炎症の増強
Pach J et al. Crit Rev Immunol 2022;42(4):1-20より作図
藤山幹子先生ご監修
竹原 どの疾患に該当するか、婦人科医にとって初見で判断するのは難しいですね。
藤山 日常的に元となる皮膚疾患を診察、把握していないと難しいと思います。例えば斑状丘疹状皮疹は本来、皮膚科では播種状紅斑丘疹といわれてきたもので、麻疹や風疹に似た皮膚症状を示し、体幹や四肢に播種性かつ左右対称性の紅色丘疹が出現する病態を呈するのですが7)、皮膚科以外の医師が判断した場合、発赤を伴う皮疹がみられたら斑状丘疹状皮疹と判断していることが多いと考えています。
竹原 この原因として、斑状丘疹状皮疹が有害事象共通用語規準(CTCAE v5.0)において皮膚障害の用語になっていることが影響していると、以前、藤山先生から伺いました。臨床試験や実臨床では、主治医のみで有害事象を判別することもあるからです。
藤山 そうですね。皮膚irAEとしての斑状丘疹状皮疹に関する報告をみると、治療開始後3~6週頃に発現しやすく、そう痒を伴い、組織学的には表皮のspongiosis(海綿状変化)や真皮上層の血管周囲のCD4陽性リンパ球を優勢としたリンパ球と好酸球の浸潤が認められるなどの特徴があります2,8,9)。実は、これらはいわゆる湿疹に該当する特徴です。湿疹の中でも乾燥に伴って出現する皮脂欠乏性皮膚炎が一番多く含まれていると考えています。実際に皮膚科医がICI(抗PD-1抗体+抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体)投与中に生じた皮膚irAEについて臨床的分類を調べた検討では、最も頻度が高いのは皮脂欠乏性湿疹であり、110例中21例でした10)。皮膚障害全般において、上述のようにICIの投与により潜在性あるいは軽症の皮膚炎が増強するケースはしばしば経験します6)。
ただ、婦人科腫瘍、例えば子宮頸癌では罹患数のピークが40代と11)若年の方も多いので、高齢者に多くみられる乾燥を伴う皮脂欠乏症12)の悪化よりも他の湿疹の悪化が多いと思われます。例えば、手のひらや足裏に小さな水疱ができるタイプの湿疹、汗疱様皮疹が挙げられると思います。
竹原 皮膚irAEの鑑別が難しいことがよく分かりました。続いては、症例写真をみながら、その症例に皮膚irAEが疑われる場合の婦人科医がとるべき対処や皮膚科へのコンサルテーションのタイミングなどについて議論したいと思います。
■症例写真1:ICI単剤投与中に下肢に生じた乾燥と落屑を伴う紅斑
竹原 症例写真1の所見は、下腿皮膚に乾燥と落屑を伴う紅斑が出現しています。下肢に紅斑が広がり、体表面積の10~30%を占めている場合にはGrade 2(CTCAE Grade、がん免疫療法ガイドライン・免疫関連皮膚障害の管理1))に該当すると考えられます。
ICI単剤投与時にこのようなGrade 2の紅斑が四肢のみに出現した場合、各ICIの適正使用ガイドに基づき、まずステロイド外用薬を検討すると思います。一方、四肢ではなく体幹に出現した場合や水疱が認められる場合は重症皮膚障害の可能性も考慮し、ステロイド外用薬に加えて経口抗ヒスタミン薬の投与を検討するとともに、皮膚科へのコンサルテーションを考慮すると思います。
症例写真1 ICI単剤投与中に下肢に生じた乾燥と落屑を伴う紅斑
藤山幹子先生ご提供
藤山 本症例は先ほどご紹介した特徴をもっており、皮脂欠乏性皮膚炎が疑われます。皮脂欠乏性皮膚炎は皮脂分泌が少ない部位に好発し、特に下腿が多く、腰部や上肢などにも症状が現れます12,13)。患者が体幹の症状を訴えたとしても、下肢にも症状や所見がないか確認すると、皮脂欠乏性皮膚炎の判断がしやすいと思います。通常は乾燥を伴う丘疹や紅斑なのですが、重症化すると滲出液を伴うようになったり、皮疹が下腿以外の広範囲に拡大することもあります12,14)。
竹原 皮脂欠乏性湿疹では発熱はみられないでしょうか。
藤山 発熱がある場合は他に原因がある、または別の皮膚疾患の可能性が高いと考えます。
竹原 発熱は注目すべき点ですね。そう痒感についてはいかがでしょうか。
藤山 多くがかゆみを伴い12)、なかには眠れないほど強い場合もあります。
皮脂欠乏性湿疹は生活指導が重要で、入浴時に過剰な洗浄をすることで悪化させていることがあります。ステロイドや保湿剤の使い方なども含め皮膚科での指導が可能ですので、軽症でもご相談いただけたらと思います。
■症例写真2:ICI単剤投与中に生じた体幹部の丘疹と口唇の腫脹
竹原 症例写真2の所見は、体幹部に1cm以上の丘疹、口唇の腫脹が認められます。背中にみられる斑状の皮疹からは、多形紅斑を疑うと思います。口唇の腫脹もあることや、これに加えて発熱や上気道感染症症状がみられた場合、危険な兆候と考えてすぐに皮膚科に相談するような症例だと考えます。
症例写真2 ICI単剤投与中に生じた体幹部の丘疹と口唇の腫脹
藤山幹子先生ご提供
藤山 多形紅斑は、はじまりは赤い丘疹ですが、次第に拡がって皮疹の中心と周囲で色が異なり、二重丸から三重丸の標的状となる点が特徴です7)。多形紅斑の場合、ICI以外に投与されている薬剤の影響を疑うことも大切です。薬疹がICIで増強されている可能性があります15)。
竹原 被疑薬はどのように検討すればよいでしょうか。
藤山 以前から服用していた薬剤がICI投与をきっかけにアレルギーを起こすということは考えにくいので、最近投与を始めた薬剤から疑うとよいでしょう。原因が特定されて回復がみられれば、ICIの治療継続も考慮できると思います。
竹原 被疑薬を特定するにあたり、生検などを行うことはありますか。
藤山 生検でSJSやTENなどの重症例に進行する病理的な変化を捉えることはできますが、原因薬剤を特定する決め手にはなりにくいです。
被疑薬の特定に関しては、薬剤によって症状が出やすい時期があります。投与開始5~14日での発症が一般的ですが16)、なかにはこれより早く出現する薬剤や投与開始から2ヵ月経過しても発現する薬剤もあるので17,18)、投与薬を確認して順に疑わしいものから中止していくようにします19)。併用レジメンの場合にはICIと同時に投与する細胞障害性の抗がん剤による皮疹のこともあります。
竹原 症例数などの条件が異なるため一概にはいえませんが、子宮内膜癌や子宮頸癌を含むMSI-High固形癌に対するペムブロリズマブ単剤療法のKEYNOTE-158試験20,21)と、がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発子宮体癌に対するペムブロリズマブ+レンバチニブ併用療法のKEYNOTE-775/309試験22,23)、進行又は再発の子宮頸癌に対するペムブロリズマブ+他の抗悪性腫瘍剤の併用療法のKEYNOTE-826試験24,25)をみると、全身や粘膜に症状があるような重症の皮膚irAEは、ICIと他の抗がん剤との併用療法時に起こりやすいと感じています。併用療法の場合、どの薬剤が影響しているのか分かりにくいため、原因の特定を含めて皮膚科との連携が必須だと思いました。
■症例写真3:全身性の皮疹と紅斑を伴う症例
竹原 症例写真3では、全身性の皮疹と紅斑が認められます。現在、婦人科領域ではICIと化学療法の組み合わせとして、進行又は再発の子宮頸癌に対するレジメンとしてペムブロリズマブ+化学療法±ベバシズマブ(KEYNOTE-826レジメン)の併用療法があります注)。3剤または4剤の併用療法はさらに原因薬剤の絞り込みが難しくなりますし、もし、発熱や倦怠感などの症状がみられたら、早々に皮膚科へのコンサルテーションを依頼すると思います。
注)本会開催時(2024年10月10日)
症例写真3 全身性の皮疹と紅斑を伴う

藤山幹子先生ご提供
藤山 濃淡がみられる皮疹が接して広がっていることから、おそらく多形紅斑だと考えます。化学療法による皮膚障害は、化学療法単独投与時よりも化学療法とICI併用時の方が、重症の皮膚障害は増加します24,25)。
皮疹が全身にみられる多形紅斑では発熱を伴うことがあります。強いそう痒を伴うときにはステロイドの内服も検討されますが26)、ステロイド内服は感染症リスクが伴うため、投与期間などは慎重に考慮すべきです。
竹原 症状が軽快したら治療再開が視野に入るかと思いますが、当科ではまだ皮膚irAEからのICI再投与の経験が少ない状態です。再投与について指針はあるでしょうか。
藤山 Gradeに応じて適正使用ガイドに準じた投与再開を検討しますが、ICIと細胞障害性抗がん剤の併用療法で全身の紅斑が発現した11例に対して、症状改善後に同一レジメンでの治療を行ったという国内の報告がありますが、再投与時に皮疹が出現したのは2例で、うち1例は腎炎を発症し全身ステロイド療法が行われたため治療レジメンを変更され、残り1例を含む11例中10例が以降も投与を継続されています27)。
■症例写真4 手指に生じたびらん、浮腫性紅斑の症例
竹原 症例写真4では、手指および足底に浮腫性紅斑が認められます。手足症候群が疑われるので、例えば長時間指先を使っていないかなどを、患者に確認すると思います。
手足症候群は、これまでに婦人科領域で用いていた薬剤での経験があるため、進行・再発の子宮体癌に対するペムブロリズマブ+レンバチニブの併用療法が登場した際に、大きく対処に困ることはありませんでした。手足症候群は手足以外にも、ベルトや下着などで締め付けた部位に起こることがあるので、皮膚に強い圧力がかかることを避けるように伝えています28)。ある程度、予防が可能な手足症候群ですが、日常生活に差し障るような重症の場合など、必要に応じて皮膚科への紹介を検討しています。
症例写真4 手指および足底に生じた浮腫性紅斑
藤山幹子先生ご提供
藤山 TKIによる手足症候群は、先生がおっしゃるように圧力がかかる局所に起こるので、物理的刺激を避けることが重要です28)。ペットボトルの開け閉めや、ハサミを使うといった動作でも、引き起こすきっかけになることがあるので、患者には注意を促します。重症化すると水疱や疼痛を伴う炎症があらわれます28)。治療で炎症を抑えつつ、引き続き外力を避ける指導が必要です。それでも軽快しない場合は、TKIの減量も検討していただきます。
■皮膚科へすぐにコンサルテーションができない場合の対処と注意点
竹原 当科は、院内で藤山先生をはじめ皮膚科の先生と密に連携できる状況にありますが、皮膚科にすぐ相談することが難しくて、まずは主治医が対処せざるを得ない施設もあると思います。
がん免疫療法ガイドラインでは、免疫関連皮膚障害の管理としてGradeごとの対処方法が提示されています1)。例えば、Grade 1で顔面に皮疹がみられた場合、ミディアムクラスのステロイド外用薬治療とされていますが、顔面へのステロイド処方を婦人科で行うのは若干抵抗があります。
藤山 顔面には体幹・四肢よりもクラスが低いミディアムクラスのステロイド外用薬を処方することが多いです。全身にも症状がある場合は、さらに強いクラスを検討することもありますが、顔面へのステロイド外用薬の使用は眼圧上昇のリスクがあるため、事前に緑内障がないかを確認しています。
症状が体幹・四肢でGrade 1または2の場合、ステロイド外用薬はストロングからベリーストロングクラスを選択することが多いと思います。1~2週間治療しても症状が軽快しない場合、さらに強いクラスへの変更は行わずに皮膚科への紹介をご検討ください。なお、ステロイドの外用か内服かは、皮膚科医によって方針の違いがあると思います。私は主に外用でのコントロールを試みていますが、広範囲に皮疹が出現し、そう痒が強ければ、ステロイド内服も検討を開始すると思います26)。
竹原 ステロイド外用薬を投与して1~2週間経過しても改善がみられない、あるいは悪化した場合は皮膚科に相談すると思いますが、皮疹は改善しているがそう痒感が続いている場合や、症状は軽快しているが皮疹の範囲は拡大している場合などは、相談するかどうか迷うことがあります。
藤山幹子先生ご監修
藤山 思うように改善が得られない場合、塗布量が足りなかったケースをしばしば経験します。ステロイド外用薬を使用する目安として、1FTU(1フィンガー・チップ・ユニット:成人の人差し指の先端から第一関節までチューブから絞り出した量、約0.5g)があり、これは成人の手のひら2枚分(体表面積の約2%)に相当します(図2)。そのため、皮疹の範囲によってはかなりの本数が必要です。また、塗布量に加えて、投与するステロイドのクラスが低い可能性も考えられます。患者には、「目に見えるところなので症状が悪化したら、次の通院を待たずに連絡を」と伝えていただき、皮膚科へご相談いただくことをお勧めします。
■おわりに
竹原 婦人科領域において、従来の抗がん剤を中心とした薬物療法の中でも、皮膚障害は比較的身近な有害事象です。しかし、皮膚irAEは鑑別や対処に迷うことが多く、皮膚科との連携が欠かせないと考えています。
また、原因の特定と早期の対処で症状の軽快が得られれば、再治療の可能性があるという点は患者にとって望ましい状況です。有効な治療である以上、いかにして継続できるかを検討することが重要だと考えます。
藤山 ICIを投与している患者さんが増えている中、ICIに関連する皮膚障害の症例経験を積むことは皮膚科医にとっても非常に重要です。患者には個体差があるため、投与継続や再投与の判断がすべてに当てはまるわけではないことを常に念頭に置いて注意を払っています。その上で、患者と医療従事者の共通の想いを後押しできるよう、連携して取り組んでいけたらと思います。
参考文献
1)日本臨床腫瘍学会 編. がん免疫療法ガイドライン 第3版. 金原出版,2023: 43-48
2)Apalla Z et al. J Eur Acad Dermatol Venereol 2022;36(3):332-350
3)Postow MA et al. N Engl J Med 2018;378(2):158-168
4)峯村信嘉.免疫関連有害事象irAEマネジメント 膠原病科医の視点から.金芳堂,2021:88-132
5)Lacouture ME et al. Clin Cancer Res 2024;30(13):2822-2834
6)Pach J et al. Crit Rev Immunol 2022;42(4):1-20
7)宇原久 編.がん患者の皮膚障害アトラス.医学書院,2024:41-98
8)Ellis SR et al. J Am Acad Dermatol 2020;83(4):1130-1143
9)Geisler AN et al. J Am Acad Dermatol 2020;83(5):1255-1268
10)入江絹子 他.日皮会誌 2023;133(12):2825-2836
11)国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録).子宮頸部 2020年
12)佐伯秀久 他.日皮会誌 2021;131(10):2255-2270
13)Piérard GE et al. Dermatology 2007;215(1):3-4
14)青山裕美.日本医事新報 2024;5206:41
15)Nishizawa A et al. JEADV Clin Pract 2023;2(2):330–337
16)Ernst M et al. Dermatopathology (Basel) 2022;9(2):111-121
17)Stern RS et al. N Engl J Med 2012;366(26):2492-2501
18)北見周 他.日皮会誌 2011;121(12):2467-2482
19)末木博彦.アレルギー 2021;70(2):86-93
20)承認時評価資料:国際共同第Ⅱ相試験(KEYNOTE-158試験)
21)Marrabelle A et al. J Clin Oncol 2020;38(1):1-10本試験はMSD社の資金提供を受けており、著者らは同社の社員や謝金を受領したものを含む。
22)承認時評価資料:国際共同第Ⅲ相試験(KEYNOTE-775/E7080-309試験)
23)Makker V et al. N Engl J Med 2022;386(5):437-448
本試験はMSD社及びエーザイ株式会社の資金提供により行われた。Vicky MakkerはMSD社、エーザイ株式会社より顧問料などを受領している。その他の著者にMSD社、エーザイ株式会社より顧問料などを受領している者が含まれる。著者のうち、Steven Bird、Stephen Keefe、Robert J OrlowskiはMSD社の社員、Lea Dutta、Alan D Smithはエーザイ株式会社の社員である。
24)承認時評価資料:国際共同第Ⅲ相試験(KEYNOTE-826試験)
25)Colombo N et al. N Engl J Med 2021;385(20):1856-1867
本試験はMSD社の資金提供により行われた。著者のうち、Sarper Toker、Kan Li、Stephen M Keefeは同社の社員である。
26)Kechichian E et al. EClinicalMedicine 2024;77:102909
27)Yahiro C et al. J Dermatol 2023;50(3):357-363
28)厚生労働省.重篤副作用疾患別対応マニュアル 手足症候群 令和元年9月改訂
ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)の電子添文を確認する。
国際共同第Ⅲ相試験<NRG-GY018/KEYNOTE-868試験>1):試験概要
1)承認時評価資料:国際共同第Ⅲ相試験(NRG-GY018/KEYNOTE-868試験)
【目的】
化学療法歴のない(術後補助療法を除く)進行・再発の子宮体癌患者を対象に、キイトルーダ®と化学療法との併用療法及びその後のキイトルーダ®継続投与の有効性及び安全性を検討する。
【デザイン】
無作為化二重盲検プラセボ対照国際共同第Ⅲ相試験[優越性試験]
〔中間解析結果(データカットオフ日:2022年12月6日[pMMR集団]、2022年12月16日[dMMR集団])〕
【対象】
化学療法歴のない(術後補助療法を除く)進行・再発の子宮体癌患者810例(日本人7例を含む)なお、MMRステータス別*1の患者数はpMMR*2集団が588例、dMMR*3集団が222例であった。
【方法】
対象をキイトルーダ®併用群又はプラセボ併用群のいずれかに1:1の割合で無作為に割り付けた。本試験はキイトルーダ®又はプラセボと化学療法を併用する併用療法期と、その後にキイトルーダ®又はプラセボを継続投与する2つの投与期で構成される。キイトルーダ®併用群では、併用療法期としてキイトルーダ®200mg、パクリタキセル*4175mg/m2及びカルボプラチンAUC5に相当する量を、3週間間隔[Q3W]で点滴静注により6サイクル*5投与し、その後にキイトルーダ®400mgを6週間間隔[Q6W]で14サイクル継続投与した。プラセボ併用群では、キイトルーダ®の代わりにプラセボを投与した。画像診断を、最初の9ヵ月間は9週間間隔、その後は12週間間隔で実施し、疾患進行(PD)、許容できない有害事象の発現等による投与中止又は投与完了まで継続した。
【評価項目】
主要評価項目:無増悪生存期間(progression free survival: PFS)※
副次評価項目:全生存期間(overall survival: OS)、奏効率(overall response rate: ORR)、奏効期間(duration of response: DOR)、安全性など
※検証的解析項目
【判定基準】
PFSは治験担当医師がRECISTガイドライン1.1版に基づき評価した。ORR、DORは中央画像判定機関又は治験担当医師がRECISTガイドライン1.1版に基づき評価した。
【解析計画】
解析対象集団:有効性はITT集団*6、ORR、DORはITT集団のうち、組み入れ時に測定可能病変を有する集団、安全性はAPaT集団*7を解析対象とした。
有効性評価の統計手法:PFSはKaplan-Meier法を用いて生存曲線を推定した。PFSの群間比較は層別ログランク検定を用いて評価し、投与群を共変量とした層別Cox比例ハザードモデルを用いて、ハザード比及びその95%信頼区間(CI)を算出した。層別ログランク検定及び層別Cox比例ハザードモデルの層別因子には術後補助化学療法の前治療歴(あり、なし)を用いた。OSは、中間解析時点では多重性を調整した正式な検定は計画していなかった。ORRの群間比較には層別Miettinen and Nurminen法を用いた。DORはKaplan-Meier法を用いて生存曲線を推定した。PFS、OS、ORR、DORの解析はMMRステータスに基づき、pMMR又はdMMRの集団別に評価した。
多重性の調整:本試験では有効性の1回の中間解析を事前に計画し、試験全体の第一種の過誤の確率を有意水準片側2.5%となるように厳密に制御した。PFSの解析では、各MMR集団に対してLan-DeMetsによるO’Brien-Fleming型の消費関数による境界値を用いた。中間解析は両MMR集団の登録が完了し、各MMR集団でPFSの目標イベント数の50%以上の情報量が観察された時点で実施することとした。本試験では2つの仮説(H1:pMMR集団のPFS、H2:dMMR集団のPFS)を設定し、多重性の調整は、Maurer and Bretzのgraphical approachを用いた。最初にH1、H2にそれぞれ有意水準片側1.25%を割り当て、一方のMMR集団の帰無仮説が棄却された場合もう一方のMMR集団に再配分できることとした。両方の仮説を同時に検定する場合、H2を最初に検定し、H2が統計学的に有意であった場合、有意水準片側1.25%をH1に再配分する。それ以外の場合では、PFSの目標イベント数の50%以上の情報量が先に観察されたMMR集団から先に検定を実施することとした。
*1 中央検査機関又は治験実施医療機関のMMRに対する免疫組織化学(IHC)検査結果に基づき患者を割り付けた。ただし、無作為割り付けされた患者のMMRステータスについて、中央検査機関の確認を必須とした
*2 pMMR(mismatch repair proficient):ミスマッチ修復機構を有する
*3 dMMR(mismatch repair deficient):ミスマッチ修復機構欠損を有する
*4 過敏症反応のためパクリタキセルの継続ができない患者に対しては、ドセタキセル(日本では60-70mg/m2)の投与が可能とされた。プロトコールではアルブミン懸濁型パクリタキセルへの変更も可能であったが、アルブミン懸濁型パクリタキセルの子宮体癌への投与は国内未承認である
※アルブミン懸濁型パクリタキセルの効能又は効果は以下のとおりである
4.効能又は効果
○乳癌 ○胃癌 ○非小細胞肺癌 ○治癒切除不能な膵癌
*5 安定(SD)又は部分奏効(PR)が認められ、サイクル6終了時点で測定可能病変が残存していた患者は併用療法期の投与を最大サイクル10まで継続できるものとした(治験担当医師が必要と判断した場合)。サイクル7-10を継続した患者は、サイクル1-6と同様にすべての評価を継続した
*6 ITT(intention to treat)集団:無作為化されたすべての患者
*7 APaT(all participants as treated)集団:無作為化され治験薬を1回以上投与されたすべての患者