CDI Topics

はじめに

北米を中心に流行している重症型C. difficile 感染症は、幸い我が国で拡がっていない。しかし近年の報告から、日本においてもC. difficile 感染症が、予後や医療経済に大きな影響を与えていることが明らかになってきた。比較的高齢者に多いこと、再発が多いことが原因と考えられる。院内感染対策や抗菌薬適正使用に加え、再発対策が今後の焦点となる。

日本国内におけるCDIの発生状況および治療実態の調査

2013年4月15日~同年5月31日の調査期間で全国2,537施設に対して質問票形式で行った調査で321施設から回答を得られた。(回答率12.7%)
年間のCDI患者数は1~5例/年の施設が17.8%と最も多く、65歳以上の患者が81~100%と回答した施設が44.5%と最も割合が多かった。
CDIの治療として、経口バンコマイシン、経口メトロニダゾールを投与するタイミングについては「リスク因子をもっており、下痢が出現したら、速やかにトキシン検査等の簡易検査を実施し、陽性の場合」と回答した施設の割合が73.2%と最も多かった。
また、CDI患者の個室管理については「行っている」と回答した施設が47.7%と最も多く、「まれに行う」と回答した施設は25.6%となっており、73.3%の施設が個室管理は必要と考えているという結果が得られた。

病院全体での年間のCDI患者数(n=321)
病院全体での年間のCDI患者数(n=321)
CDI患者のうち65歳以上の割合(n=321)
CDI患者のうち65歳以上の割合(n=321)
リスク因子をもっている患者への経口バンコマイシン、経口メトロニダゾールを投与するタイミング(n=321)
リスク因子をもっている患者への経口バンコマイシン、経口メトロニダゾールを投与するタイミング(n=321)
CDI患者の個室管理について(n=321)
CDI患者の個室管理について(n=321)

CDI治療に掛かる医療コスト(日本人データ)

日本国内における消化管外科手術後のCDAD発症と医療コスト

消化器外科手術後にC. difficile 関連疾患(CDAD)を発症した患者の医療コストについて、DPCデータベース解析が行われ、その結果が報告されている。
消化管外科手術を受け、2007~2010年(各年7~12月)に退院した患者は計143,652人であり、これらの患者を調査対象とした。これらの患者の内訳は、術後にCDADを発症した患者は409人、CDAD発症がなかった患者は143,243人であった。
両群での患者数は大きく異なるが、術前および術後の在院日数や総医療コストを比較した場合、いずれもCDAD発症がなかった患者群に比べて、CDADを発症した患者群で有意に高い結果であった(いずれもp<0.001)。
また、入院中の死亡率でもCDAD発症がなかった患者群(1.6%)に比べて、CDADを発症した患者群(3.4%)では有意に高いことがわかった(p=0.008)。

日本国内における消化管外科手術後のCDAD発症と医療コスト

CDAD発症患者における医療コストの増加

術後の在院日数および総医療コストを同じ患者数で比較するため、患者数を409 人に合わせた傾向スコア(propensity score)による1:1のマッチングを行った。調整後の結果では、術後の在院日数および総医療コストは、CDAD 発症がなかった患者群ではそれぞれ19日および25,652USドル、CDADを発症した患者群ではそれぞれ28日および32,376USドルであった。両群の差は術後の在院日数が9日、総医療コストが6,724USドルとなり、CDADを発症した患者群では有意な在院日数の延長および総医療コストの増加がみられた(いずれもp<0.001)。

CDADによる入院日数、総費用の増加

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