CDI Topics
はじめに
抗菌薬投与時に下痢を発現する抗菌薬関連下痢症(AAD)について、その原因は様々ですが、C. difficileによるCDIが原因の20%を占めています。
CDIの診断時には、無症状のC. difficile 保菌者も認められるため下痢検体を用いることが必須です。ブリストル便形状スケールで5~7の検体を下痢と判断し、GDH・トキシン検査やNAAT検査を実施してCDIを診断します。
日本国内における入院患者のCDI罹患率
国内各施設におけるCDI罹患率の報告を検討した結果、入院患者のCDI罹患率は0.80~4.71/10,000患者・日でした。入院患者では外来患者よりもCDI罹患率が高いものの、海外の罹患率と比べると低く、その理由として国内におけるCDI検査頻度の低さや流行株の違いが考えられます。
日本国内におけるCDI罹患率

ブリストルスケールによる下痢の評価
CDIの診断では、症状を有する時期の「下痢検体」を用いる必要があります。便検体は客観的指標のブリストル便形状スケールで評価し、スコアが5~7の「下痢検体」を検査します。
固形便や治療効果判定を目的とした検査は推奨されません。
ブリストル便形状スケール

CDI診断のフローチャート
通常診療におけるCDI検査では、ブリストルスコアが5以上の下痢検体に対しGDH・トキシン検査を実施します。GDH陽性/トキシン陰性の場合はNAAT検査†を実施します。また、アウトブレイク時には培養検査も考慮します。
†:NAAT検査キット(2018年8月時点 保険未収載)
・Xpert C. difficile「セフィエド」
・BDマックス CDIFF
通常診療におけるC. difficile検査の考え方

【参考】重症CDIの定義(Zarスコア)
以下の基準で合計点が2点以上である場合を、重症CDIと定義します。

病棟における対応のポイント
C. difficileは腸管内に存在する嫌気性菌で、芽胞を形成することで長期間環境中に生存します。消毒薬に対する抵抗性が強く、アルコール消毒が期待できないため、手指衛生は流水下での手洗いが必須です。
下痢症状のある入院患者でCDIを疑う場合には、接触感染予防策を実施します。そのためには看護師などがベッドサイドで下痢に気づいた場合、感染対策チーム(ICT)に報告が入るシステムを整える必要があります。