CDI Topics
はじめに
CDIは、抗菌薬使用後の下痢の発現や患者背景など総合的判断により疑われ、GDH・トキシン検査を実施することで初めてCDIと診断されます。
特に抗菌薬使用歴については、抗菌薬の種類によりCDI発症リスクが異なることが知られています。最近のCDI対策として、抗菌薬適正使用支援(AS)活動により発症リスクの高い抗菌薬の使用を制限し、その発症予防に取り組むことが推奨されています。
CDIのリスク因子
CDI診療ガイドラインでは、CDI発症の重要なリスク因子として、高齢 抗菌薬の使用が挙げられています。
特に抗菌薬の使用は、正常な腸内フローラを乱すためCDIの発症と深くかかわっています。
わが国では外来で抗菌薬が処方されるケースが多いことから、抗菌薬使用歴のある下痢患者を外来で診た場合はCDI検査を考慮します。
CDIのリスク因子(CDI診療ガイドライン)

抗菌薬別のCDI発症リスク
各種抗菌薬によるCDI発症リスクを検討したメタ解析では、抗菌薬の種類によってリスクが4段階に分類され、それぞれの市中関連CDI発症リスクのオッズ比が示されました。
その結果、抗菌薬の種類によってリスクが異なることが示されています。
抗菌薬のリスク分類(4段階)と市中関連CDI発症リスク

抗菌薬適正使用支援(AS)とCDI発症予防
感染症を専門とする多職種連携の抗菌薬適正使用支援(AS)活動は、CDIの対策としても期待されています。
日本化学療法学会/日本感染症学会や米国感染症学会(IDSA)/米国医療疫学学会(SHEA)のCDIガイドラインでは、AS活動の実施を推奨しています。特にIDSAガイドラインでは、CDI発症リスクの高い抗菌薬として、フルオロキノロン系薬、クリンダマイシン、セファロスポリン系薬の制限を考慮すべきとしています。
CDI発症率を管理するためのASの役割は何か?(IDSA/SHEA: CDI ガイドライン2017)

AS活動によるCDI発症割合の低下
CDIに対するAS活動として、英国の病院における介入事例では、抗菌薬の使用制限を実施しました。その結果、介入6ヵ月後のCDI高リスク抗菌薬の使用率は、内科病棟で33%低下、外科病棟で32%低下し、12ヵ月後のCDI発症率は、外科病棟では目立った変化は認められなかったものの、内科病棟で24%低下(7.0例/1,000入院)しました。
AS活動前後の内科・外科病棟におけるCDI発症(海外データ)

