1分で読める睡眠豆知識 ~お腹の赤ちゃんが蹴るワケ~

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胎動は体の部位と機能を確認するため!?

胎児が母胎内で手足を伸ばしたり(キッキング)、体を回転させたり(ローリング)することで妊婦が感じる胎動。妊婦が胎動に気付くのは、早ければ妊娠4カ月ごろ、遅くとも7カ月ごろと言われていますが、胎児は妊娠8週ごろから四肢を動かし始めているようです。ちなみに、胎動にまつわる迷信として、“胎動が激しいと男の子が生まれる”と言われますが、医学的には全く根拠がないそうです。

では、胎動にはどのような意味があるのでしょうか。新生児は胎児と同様の運動パターンを示すことから、英・University College LondonのKimberley Whitehead氏らは、新生児がレム睡眠中に四肢を動かす際の脳波を測定しました1)。その結果、右手を動かした直後に右手の感覚を処理する左脳部分の脳波が誘発されることなどが分かり、四肢の動きが脳の感覚領域の成長と関連していることが示唆されました。同氏らは、胎動は胎児が自身の体の各部位がどのような機能を有しているかを確認する「マッピング」である可能性が高い、と考察しています。

新生児の睡眠を妨げないで

Whitehead氏らは、さらに新生児の睡眠にも言及しています。今回観察された新生児の動作はレム睡眠中に発生していたことから、新生児の睡眠を妨げるような行為は極力控える必要がある、との見解を示しました。

ところで、新生児を対象としたWhitehead氏らの研究にはもう1つ、しゃっくり(吃逆)について検討したものがあります。吃逆は胎動の種類の1つで、妊娠後期の胎児や新生児にも見られます。同氏らが新生児のしゃっくり発生時の脳波を測定した結果、横隔膜の収縮に伴い脳波が活性化することが分かりました2)。これにより、新生児の脳が呼吸筋を監視する方法を習得している可能性があり、結果的に横隔膜の収縮運動による意識的な呼吸制御を可能にしているのではないか、と考察しました。

胎動は、妊婦にとって胎児の成長を体感できる貴重なもの。実はそれぞれの動きに、きちんと意味があることが解明され始めているようです。

  1. Kimberley Whitehead, et al. Sci Rep 2018; 8: 17516.
  2. Kimberley Whitehead, et al. Clin Neurophysiol 2019; 130: 2216-2221.