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1分で読める睡眠豆知識 ~睡眠不足と運転~

居眠り運転にご注意

運転中についウトウトしてしまった…なんて経験はありますか? 運転中の睡眠について、年間当たり一般運転者の4~8%が居眠り運転をしており、居眠り事故の発生率は1%未満という報告があります1)。これに対して、年間10万km以上を走行する長距離トラックの運転士では25~36%が居眠り運転の経験を持ち、11%が居眠り事故を起こしています1)。また、自動車ではないですが、日本における海上交通事故の34%は居眠りが原因という報告もあります2)

睡眠不足で運転することの危険性

居眠りが事故の原因になることは自明ですが、睡眠不足も運転技術に影響を与える可能性が示唆されています。オーストラリアの研究では、睡眠不足がアルコールに換算するとどの程度人の能力に影響を与えるのかを検討しています3)。本研究では、まず健康な被験者に徹夜させ、注意力や反射能力テストを行いました。次に同じ被験者にアルコールを摂取させて同じテストを行い、血中アルコール濃度とテストスコアの相関を調べました。その結果、徹夜した場合、起床から17時間を超えるとオーストラリアの飲酒運転の基準である血中アルコール濃度0.05%かそれ以上の酩酊レベルまでテストスコアが低下することがわかりました。寝不足で運転することは、飲酒運転と同じくらい危険であることが示唆されたといえます。

最近は自動運転車の開発が進んでおり、完全自動運転技術の実装も現実味を帯びてきました。日本でも道路交通法や道路運送車両法の改正が行われていますが、自動運転車のドライバーに飲酒や睡眠を許すかどうかについてはいまだ議論があるようです。いつの日か、運転はAIに任せて車内でスヤスヤ眠れる日がやって来るのでしょうか。

  1. 林光緒. ClinicalNeuroscience. 2004; 22: 89-91.
  2. 堀忠雄. 「交通事故と睡眠障害」 , 高橋清久編『睡眠学―眠りの科学・医歯薬学・社会学』, じほう, 2003, 137-150.
  3. D Dawson, et al. Nature. 1997; 388(6639): 235.