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「出口」を見据えた不眠症治療とは

上昇する睡眠薬の処方率

不眠症治療に欠かせない睡眠薬の処方率が上昇する中、一部の薬剤でリスク・ベネフィット比が不良であることがメタ解析で明らかにされた一方、長期使用による依存や乱用が社会問題化していました。そこで日本睡眠学会は2013年に『睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン』1)を発行。副題に「出口を見据えた不眠医療マニュアル」と記されたことが、話題となりました。

出口を見据えた不眠症治療

では、不眠症治療の「出口」とは、どういうことでしょうか。
不眠症治療では薬物療法と非薬物療法の両輪が重要とされていますが、このガイドラインでは薬物療法における「減薬・休薬」を含めた、不眠症治療の流れをアルゴリズムで示したのです。不眠症状が改善した段階で、十分な観察を継続して、症状の安定が一定期間、確認された場合には減薬・休薬を開始します。このガイドラインは医療者だけでなく患者さんも対象にして書かれていますが、睡眠薬の服用に対して患者さんが抱くさまざまな不安感を取り除くためにも治療の「出口」を提示し、適正かつ安全な治療のロードマップが理解できるよう工夫がなされたのです。

このガイドラインの発行(2013年)以降に不眠症治療において新たな薬物も登場し、治療の選択の幅が広がったと言われています。

  1. 「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」(厚生労働科学研究班・日本睡眠学会ワーキンググループ、2013年10月)
イラスト