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不眠症オンライン診療の注意点

オンライン診療の普及

近年の情報通信機器の発達に伴い、オンライン診療が普及し始めています。その背景には、離島やへき地などに在住する物理的に通院が難しい患者さんにも医療が提供できることの他、患者さんが個々に抱える通院負担の軽減や医師の働き方改革なども関係しているようです。

もともとオンライン診療は、患者さんにとっては通院時間や交通費、待ち時間を気にすることなく、自宅などでリラックスして診療が受けられるのが最大のメリットです。アンメット・メディカル・ニーズの解消にも一役買っています。一方で、検査や処置ができないなどのデメリットもあります。

では、診療する医療者にとってのメリット、デメリットは何でしょうか。
患者さんの治療継続率の向上が期待でき、事前問診により治療方針が立てやすく、遠方に住む患者さんのフォローアップもできるなど多くのメリットがあります。反対に、触診や検査、処置ができない点は、やはりデメリットでしょう。

これからのオンライン診療

さて、不眠症治療におけるオンライン診療はまだ始まったばかりですが、他の診療科や疾患と同じく、厚生労働省が作成した「オンライン診療の適切な実施に関する指針」1)を参考に行います。特に注意すべき点は、向精神薬や睡眠薬などの転売や不適正使用が疑われる場合、オンライン診療のみで処方することは不適切処方と位置付けられていることです。

オンライン診療は、患者さんの都合や要望により行われるべきものであり、初診は従来の対面診療が原則とされています。これを機にオンライン診療に関する十分なエビデンスが蓄積されれば、外来、入院、在宅(訪問)に加わる新たな選択肢として定着するでしょう。従来の診療同様、患者さんとの信頼関係をしっかりと築くことで、双方にとって多くのメリットを感じられるオンライン診療の明るい未来が期待できるのかもしれません。

  1. 「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(厚生労働省、2018年3月)
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