製品基本Q&A
製品基本Q&A
インフルエンザHAワクチン(ビケンHA、フルービックHA、フルービックHA シリンジ)
製品情報
「ビケンHA」:商標「ビケン」と有効成分であるヘムアグルチニンの略称「HA」をあわせて命名されました。
フルービックHA:ウイルス名であるインフルエンザ「Influenza」の一部と、商標「BIKEN」の語頭、有効成分であるヘムアグルチニンの略称「HA」をあわせて命名されました。
フルービックHAシリンジ:ウイルス名であるインフルエンザ「Influenza」の一部と、商標「BIKEN」の語頭、有効成分であるヘムアグルチニンの略称「HA」及びシリンジ(注射器)をあわせて命名されました。
<引用>
インタビューフォーム Ⅱ. 名称に関する項目
本剤の添付文書には以下のとおり記載されています。
4. 効能又は効果
インフルエンザの予防
<引用>
添付文書
<添付の有無>
注射針は添付されていません(*)。年齢や体型を考慮し、適切な注射針を選んでください。
<推奨するメーカー>
針について特に推奨するメーカーはありません。
<針のゲージ>
使用可能な針のゲージについて特別な規定はありません。
皮下投与用とされている針であれば使用可能と考えられます。
(*)2021年シーズン出荷分より、「コンビネーション製品の承認申請における取り扱いについて」(平成26年10月24日付、薬食審査発1024第2号、薬食機参発1024第1号、薬食安発1024第9号、薬食監麻発1024
第15号)に基づいて注射針の添付(同梱包装)がなくなりました。
<ビケンHA>
ビケンHAには、保存剤としてエチル水銀化合物であるチメロサールが8μg/mL(0.008mg/mL)含まれています。
3歳以上の接種量0.5mL中には4μg(0.004mg)、生後6カ月から3歳未満の接種量0.25mL中には2μg(0.002mg)が含まれています。
<フルービックHA>
フルービックHA、フルービックHAシリンジにはチメロサールは含まれていません。保存剤自体使用していません。
使用方法
本剤の添付文書には、以下のとおり記載されています。
6. 用法又は用量
6ヶ月以上3歳未満のものには0.25mLを皮下に、3歳以上13歳未満のものには0.5mLを皮下におよそ2〜4週間の間隔をおいて2回注射する。13歳以上のものについては、 0.5mLを皮下に、1回又はおよそ1〜4週間の間隔をおいて2回注射する。
7. 用法及び用量に関連する注意
【フルービックHAシリンジ】
7.1 本剤の使用
本剤は0.25mL接種対象者には使用しないこと。
7.2 接種間隔
2回接種を行う場合の接種間隔は、免疫効果を考慮すると4週間おくことが望ましい。
7.3 同時接種
医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができる。
【「ビケンHA」/フルービックHA】
7.1 接種間隔
2回接種を行う場合の接種間隔は、免疫効果を考慮すると4週間おくことが望ましい。
7.2 同時接種
医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができる。
<引用>
添付文書
本剤の添付文書には、以下のとおり記載されています。
9.特定の背景を有する者に関する注意
9.8 高齢者
接種に当たっては、予診等を十分に行い、被接種者の健康状態を観察すること。一般に生理機能が低下して いる。
<引用>
添付文書
本剤の添付文書には、以下のとおり記載されています。
9.特定の背景を有する者に関する注意
9.5 妊婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種すること。なお、小規模ながら、接種により先天異常の発生率は自然発生率より高くならないとする報告がある。
<引用>
添付文書
本剤の添付文書には、以下のとおり記載されています。
9.特定の背景を有する者に関する注意
9.7 小児等
低出生体重児、新生児及び6か月未満の乳児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
<引用>
添付文書
[フルービックHAシリンジ 添付文書記載]
[用法及び用量に関連する注意:本剤は0.25mL接種対象者には使用しないこと。]
フルービックHAシリンジは0.5mL接種専用の使いきり製剤のため、0.25mL接種はできません。
0.5mLの用量線はありますが、0.25mLの用量線はありません。0.25mL接種は過量投与の可能性があるため、適正使用の観点からも0.5mLのみの接種としています。
3歳未満に0.25mL接種する場合には、バイアル製剤をご使用ください。
<引用>
添付文書
添付文書上、3歳以上13歳未満の方には0.5mLを2回、13歳以上の方については0.5mLを1回又は2回接種すると規定されています。
厚労省のインフルエンザQ&Aには以下の記載があります(1)。
「1回目の接種時に12歳で2回目の接種時に13歳になっていた場合でも、12歳として考えて2回目の接種を行っていただいて差支えありません。
(注)13歳以上の基礎疾患(慢性疾患)のある方で著しく免疫が抑制されている状態にあると考えられる方等は、医師の判断で2回接種となる場合があります。」
<引用>
(1)厚生労働省 インフルエンザQ&A(Q20)
<卵でアナフィラキシーショックを起こした既往歴がある場合>
鶏卵摂取でアナフィラキシーショックを起こした既往歴がある方は、インフルエンザワクチンの接種不適当者に該当します(1)。
<卵アレルギーのみの場合>
本剤の成分又は鶏卵、鶏肉、その他鶏由来のものに対して、アレルギーを呈するおそれのある者は接種要注意者に該当します。
<その他のアレルギー等の場合>
日本小児アレルギー学会の見解(令和2年12月)によると、「気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、じんましん、アレルギー体質などだけでは、接種不適当者にはならないが、気管支喘息がコントロール不良である場合はリスクが高くなり、喘息も含めて、これらの疾患がコントロール不良である場合はワクチン副反応との鑑別が困難になる。したがって、接種前に良好なコントロールを得ることが重要である(2)。」とされています。
<引用>
(1)インタビューフォーム Ⅷ. 安全性(使用上の注意等)に関する項目 2.禁忌内容とその理由<解説>2.3
(2)予防接種ガイドライン 2022年度版. 発行:公益財団法人予防接種リサーチセンター, 2022:132-133.
メーカーによって製造方法や保存剤の有無等若干異なる点もありますが、同じ成分を含むワクチンであれば品質的には同等のものとみなされます。そのため、1回目と2回目で別のメーカーの製品を使用しても問題ないと思われます。
申請時の接種間隔は年齢にかかわらず2回接種の場合は「およそ1~4週間の間隔」でしたが、小児用量変更における治験(BK-PEDFLU-3及びBKPEDFLU-2試験)では、6カ月~13歳未満の日本人健康小児を対象に接種間隔は21日±7日間で実施されました。
これは2009-10年シーズンに実施された小児用量変更のための医師主導治験で設定されていた接種間隔と同じです。少ない症例数で治験を実施する中で、接種間隔として1~4週という広い期間を設定した場合、層別解析等で正確な評価をすることが困難となることが考えられたためです。
その結果、審査の過程で治験成績に基づく用法・用量にすべきとの指導があり、2回接種の場合は6カ月以上13歳未満は2~4週間の間隔、13歳以上ではおよそ1~4週間の間隔をおくことになりました(1)。
なお、申請時の接種間隔が1~4週間に設定された理由は、インフルエンザワクチンに関する研究会において「高校生を対象に1週間あるいは4週間間隔での2回接種によるHI抗体価を比較検討した結果、あまり差がない」と報告されていたためです(1)。
<引用>
(1)申請資料概要 2.5臨床に関する概括評価 2.5.4.8
2回接種を行う場合の接種間隔は、免疫効果を考慮すると4週間の間隔をおくことが望ましいとされています。
原則的には、13歳以上では1回接種ですが、13歳未満では2~4週間隔で2回接種します。流行期を前にして早期に有効な免疫を与えるために、生後6ヵ月以上13歳未満の小児については2週間隔で接種できるようになっていますが、より免疫効果を高めるためには、3~4週間隔で接種することが最適です。これは2回のワクチン接種間隔を1週間から4週間の4群に分けて、インフルエンザ様疾患による学級閉鎖率を調べると、4週間隔の群がもっとも閉鎖率が少なかった報告などが理由の1つとされています(1)。
<引用>
(1) 添付文書
(2) 岡部 信彦 他 編. 予防接種に関するQ&A集. 発行:日本ワクチン産業協会, 2022:264. (Q5)
安全性
- 本剤は、「予防接種実施規則」及び「定期接種実施要領」に準拠して使用してください。
- 被接種者について、接種前に必ず問診、検温及び診察(視診、聴診等)によって健康状態を調べてください。
- 本剤は添加剤としてチメロサール(水銀化合物)を含有しています。チメロサール含有製剤の投与(接種)により、過敏症(発熱、発疹、蕁麻疹、紅斑、そう痒等)があらわれたとの報告があるので、問診を十分に行い、接種後は観察を十分に行ってください。【「ビケンHA」のみ該当】
- 被接種者又はその保護者に、接種当日は過激な運動は避け、接種部位を清潔に保ち、また、接種後の健康監視に留意し、局所の異常反応や体調の変化、さらに高熱、けいれん等の異常な症状を呈した場合には、速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせてください。
<引用>
添付文書
主な副作用(発現頻度5%以上)として、6か月以上3歳未満の小児では、紅斑、腫脹、硬結、熱感、そう痒感が、3歳以上13歳未満の小児では、紅斑、疼痛、腫脹、そう痒感、熱感、硬結、そして鼻漏が報告されています。
<引用>
添付文書
1990年代にワクチン中のチメロサールと自閉症等の発達障害との関連が指摘されていましたが、現在ではこれらの因果関係については否定(あるいは因果関係を示す根拠は得られていないと)されています(1)(2)。
<引用>
(1)平成21年度第3回 厚労省 医薬品等安全対策部会 資料2 インフルエンザワクチンに含有されるチメロサールの安全性に関する調査結果について
(2)藤岡雅司 著. 予防接種の現場で困らない まるわかりワクチンQ&A 第3版. 2021:127-128.「Q8 一部のワクチンに含まれるチメロサールは、身体に有害な作用はありますか。」
チメロサール含有の有無により有効性と安全性を直接比較した臨床試験データはありません。
国内のインフルエンザHAワクチンは、厚生労働省(国立感染症研究所)から分与された同一のワクチンウイルス株を用いて各メーカーで製造されます。 各メーカーでは生物学的製剤基準に従って製造され、国の国家検定に合格したものだけが出荷供給されています。 メーカーによって製造方法や保存剤の有無等若干異なる点もありますが、品質的には同等とみなされます。そのため、1回目と2回目で別のメーカーの製品を使用しても問題ないと考えられている事を考慮しますと、チメロサールの有無で効果に大きな差異は認められないと推察されます。
日本産科婦人科学会による「産婦人科診療ガイドライン-産科編2020」(1)では、チメロサール含有製剤では「その濃度は0.004~0.008mg/mLと極少量であり、胎児への影響はないとされている」、「チメロサール含有ワクチンを妊婦に投与しても差し支えない」としています。
<引用>
(1) 日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会 編集・監修; 産婦人科診療ガイドライン 産科編. 2020:54
その他
本剤の添付文書には、以下のとおり記載されています。
14. 適用上の注意
14.1 薬剤接種時の注意
14.1.1 接種時
【「ビケンHA」】
(1) 接種用器具は、ガンマ線等により滅菌されたディスポーザブル品を用い、被接種者ごとに取り換えること。
(2) 冷蔵庫から取り出し室温になってから、必ず振り混ぜ均等にして使用すること。
(3) 本剤を他のワクチンと混合して接種しないこと。
(4) 容器の栓及びその周囲をアルコールで消毒した後、注射針をさし込み、所要量を注射器内に吸引する。この操作に当たっては雑菌が迷入しないよう注意する。また、栓を取り外し、あるいは他の容器に移し使用しないこと。
(5) 注射針の先端が血管内に入っていないことを確かめること。
(6) 一度針をさしたものは、遮光して、10℃以下に凍結を避けて保存し、24時間以内に使用すること。
【フルービックHA】
(1) 接種用器具は、ガンマ線等により滅菌されたディスポーザブル品を用い、被接種者ごとに取り換えること。
(2) 冷蔵庫から取り出し室温になってから、必ず振り混ぜ均等にして使用すること。
(3) 本剤を他のワクチンと混合して接種しないこと。
(4) 容器の栓及びその周囲をアルコールで消毒した後、注射針をさし込み、所要量を注射器内に吸引する。この操作に当たっては雑菌が迷入しないよう注意する。また、栓を取り外し、あるいは他の容器に移し使用しないこと。
(5) 注射針の先端が血管内に入っていないことを確かめること。
(6) 本剤は添加剤としてチメロサール(保存剤)を含有していないので、1度注射針をさし込むと容器内の無菌性が保持できなくなる。所要量を吸引後、残液がある場合でも速やかに残液は処分すること。
【フルービックHAシリンジ】
(1) 【フルービックHAシリンジの使用方法】に従い接種準備を行うこと。
(2) 注射針は、ガンマ線等により滅菌されたディスポーザブル品を用いること。
(3) 冷蔵庫から取り出し室温になってから、シリンジ(注射器)内の液剤を泡立てないように2~3回反転し、均等にして使用すること。
(4) 本剤を他のワクチンと混合して接種しないこと。
(5) 本剤は添加剤としてチメロサール(保存剤)を含有していないので、チップキャップを取り外した後は速やかに使用すること。
(6) 本剤の使用に際しては、雑菌が迷入しないよう注意する。また、他の容器に移し使用しないこと。
(7) 注射針の先端が血管内に入っていないことを確かめること。
(8) 本剤は一回限りの使用とすること。
14.1.2 接種部位
接種部位は、通常、上腕伸側とし、アルコールで消毒する。なお、同一接種部位に反復して接種しないこと。
<引用>
添付文書
本剤の添付文書には、以下のとおり記載されています。
貯法:凍結を避け、10℃以下で保存
20. 取扱い上の注意
外箱開封後は遮光して保存すること。
<引用>
添付文書
不活化ワクチンであるインフルエンザHAワクチンは、「凍結を避け、10℃以下で保存」と添付文書に規定されており、保管温度を逸脱したワクチンの使用はおすすめできません(1)。
インフルエンザHAワクチンの有効成分は、HA(ヘマグルチニン)タンパク質であり、熱や凍結により高次構造が変性し抗原性が失われます。
<引用>
(1)添付文書
貯法に従って保存した場合、24時間以内の使用が可能です。
本剤の添付文書には、以下のとおり記載されています。
14. 適用上の注意
14.1 薬剤接種時の注意
14.1.1 接種時
(6) 一度針をさしたものは、遮光して、10℃以下に凍結を避けて保存し、24時間以内に使用すること。
<引用>
添付文書
シリンジ製剤のフルービックHAシリンジは、 添加物としてチメロサール(保存剤)を含有していません。チップキャップを取り外した後は速やかに使用することとなっておりますので、出来るだけ早くご使用いただくことをおすすめいたします。具体的な時間は特に規定されていません。 また、シリンジのチップキャップを取り外した後の安定性について検討したデータはありません。
バイアル製剤のビケンHAは、添加物としてチメロサール(保存剤)を含有しています。一度針をさしたものは、遮光して、10℃以下に凍結を避けて保存し、24時間以内に使用してください。冷所⇒室温⇒冷所で保存した場合の安定性データはありません。
バイアル製剤のフルービックHAは、添加物としてチメロサール(保存剤)を含有していません。一度注射針をさし込むと容器内の無菌性が保持できなくなります。 所要量を吸引後は、残液がある場合でも速やかに残液を処分していただき、反復使用(2度の針刺し)はなさらないようにお願いいたします。処分までの具体的な時間は特に規定されておりません。
<引用>
添付文書
具体的な時間については特に決まっていません。