ガニレストの開発の経緯

 生殖補助医療のための調節卵巣刺激において、早発黄体形成ホルモン(LH)サージを防止するため、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストが現在まで繁用されてきた。GnRHアゴニストは、投与初期には下垂体のゴナドトロピン分泌を刺激するが、更に繰り返し投与することにより、GnRH受容体の結合能及び細胞内シグナル伝達の効率を低下させ、GnRHの受容体を減少させる(ダウンレギュレーション)。このダウンレギュレーションにより、LH及び卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌は減少し、性腺機能は低下する。しかし、GnRHアゴニスト使用時には、投与開始時に下垂体−性腺系の刺激作用が認められ(フレアアップ現象)、 ダウンレギュレーションに至るまで長期間の投与が必要であった。

 GnRHアンタゴニストは、内因性GnRHと競合してヒト下垂体のGnRH受容体に直接結合し、下垂体からのゴナドトロピン分泌を抑制する。このため、投与初期のフレアアップ現象がなく、迅速なゴナドトロピン分泌抑制作用が期待できる。

 初期に開発されたGnRHアンタゴニストは、肥満細胞からの数々の伝達物質、特にヒスタミンの遊離を引き起こし、過敏症反応を引き起こすことが知られていたが、この点を克服し、投与初期のフレアアップ現象がなく、迅速なゴナドトロピン分泌抑制作用を有し、ヒスタミン遊離作用が弱いGnRHアンタゴニストとして、ガニレスト®が開発された。

 海外では、1999年に米国で初めて承認された後、2000年に欧州医薬品庁からも承認を受け、世界70ヵ国以上(2008年現在)で承認されている。

 本邦では海外での臨床データを検討した結果、ガニレスト®が調節卵巣刺激を受ける女性において早発LHサージを予防する上で優れていると判断し、2001年にブリッジング試験に基づく臨床開発を開始した。これらの結果を基に、本剤の有効性及び安全性を評価し、2008年7月に「調節卵巣刺激下における早発排卵の防止」の適応で製造販売承認を取得した。

 2011年10月、在宅自己注射が認められた。

領域別情報はこちら

MSD製品に関するお問い合わせはこちら