フォリスチムの開発の経緯

不妊症に対する治療薬として本邦でこれまで使用されてきた下垂体性性腺刺激ホルモン製剤は、全て閉経後女性の尿から分離・精製された尿由来製剤であり、尿を原材料とすることから、材料尿の品質や供給が一定しないなどの問題がある。

 フォリスチムは、一定の基準を満たす、ロット間のバラつきが少ない、高純度・高品質のFSH製剤を安定供給することを目的に研究開発した遺伝子組換えヒトFSH(recombinant human follicle-stimulating hormone:recFSH)製剤である。

 本剤は、ヒトのFSHをコードする遺伝子をチャイニーズハムスター卵巣細胞に形質導入することによりFSHを産生させ、その培養液から分離・精製することによって製造されるため、高い純度(99%以上)を有し、特異的なFSH活性を示す。

 海外では1991年より臨床開発が開始され、1995年にニュージーランドで初めて承認された。

 本邦では、1999年より生殖補助医療(ART)における調節卵巣刺激に関する開発に着手した。この時点でフォリスチムは欧米をはじめ世界80カ国以上で承認を得ており、海外で臨床データが多く存在したことから、これらの試験を参考とし、2000年より国内第Ⅲ相試験を開始した。この結果をもとに、本剤の複数卵胞発育のための調節卵巣刺激における有効性および安全性を評価し、2002年4月に生殖補助医療(ART)における「複数卵胞発育のための調節卵巣刺激」の適応で輸入承認申請を行い、本邦で初めてその適応症を有する薬剤として2005年4月に製造販売承認を取得した(フォリスチム® 注75・150)。

 さらに、クロミフェンクエン酸塩治療による排卵誘発が無効な患者を対象に2001年から国内第Ⅲ相試験を開始し、有効性、安全性および排卵誘発プロトコールの検討を行ったところ、より少ない投与量での有用性が確認され、2005年6月に「視床下部-下垂体機能障害に伴う無排卵及び希発排卵における排卵誘発」の適応で承認申請を行い、2007年1月に適応取得が承認された(フォリスチム® 注50・75)。

 また、2008年1月に既承認の効能に際して、カートリッジ製剤の剤形追加が承認された(フォリスチム®注300IU・600IU・900IUカートリッジ)。これは、既存のバイアル製剤と用法・用量に変更はないが濃度が異なる注射製剤である。製剤投与時には専用のペン型注入器及び針を用い、1カートリッジで複数回の投与が可能なこと、濃度が高いため注射液量が少ないことなどから、自己注射を比較的容易に行うことが可能であると考えられる。

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