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薬物動態:血中濃度

薬物動態:血中濃度

血中濃度

1. 単回投与1)

日本人健康成人男性(各用量8例)にカンサイダス®20、40、70、100、150、210mgを約60分間かけて単回静脈内投与した時、血漿中カスポファンギン濃度は投与終了時にピークに達した。また、投与終了後から多相性の消失を示し、β相の消失半減期(t1/2β)は用量にかかわらず9.62~10.37時間、γ相の消失半減期(t1/2γ)(150及び210mgのみ算出した)は41.64~41.93時間であった。投与後1時間の血漿中濃度(C1hr)、投与後24時間の血漿中濃度(C24hr)及び無限大時間までの血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC0-∞)は、用量に比例して増加した。血漿クリアランス(CLp)は8.72~9.24mL/minであり、用量にかかわらずほぼ一定であった。

2. 反復投与

①日本人健康成人2)

日本人健康成人男性(各用量6例)にカンサイダス®50mg及び100mgを1日1回14日間又は投与初日に70mg、第2日~第14日に50mg(以下、70/50mg)を1日1回反復静脈内投与した。第1日及び第14日の血漿中カスポファンギン濃度は多相性の消失を示し、第14日のt1/2βはそれぞれ13.90、16.01、13.77時間であった。第1日に対する第14日の投与後24時間までの血漿中濃度−時間曲線下面積(AUC0-24hr)、C1hr、C24hrの幾何平均比は、50mg投与ではそれぞれ1.69、1.33及び2.17、100mg投与では1.90、1.35及び2.72であり、これらの用量間で曝露増加の程度に顕著な違いはみられなかった。また、70/50mg投与後、第14日のAUC0-24hr、C1hr、C24hrは、50mg反復投与後と顕著な違いはみられなかった。

■ 健康成人におけるカンサイダス®反復投与時の平均血漿中濃度の推移

併用注意(併用に注意すること)

■ 健康成人におけるカンサイダス®反復投与時の薬物動態パラメータ

健康成人におけるカンサイダス®反復投与時の薬物動態パラメータ

†t1/2βは調和平均
‡t1/2βはジャックナイフ標準偏差
§ 第1日:70mg、第2日~第14日:50mg/日
‖被験者数

②日本人健康成人3)

日本人健康成人男性(各用量12例)にカンサイダス®を投与初日に70mg、第2日~第14日に40mg(以下、70/40mg)又は50mg(以下、70/50mg)を1日1回反復静脈内投与した。第14日のAUC0-24hr、C1hr及びC24hrは70/40mgに比べ、70/50mgの方が28%~36%高く、第14日のt1/2βは、70/40mgで11.57時間、70/50mgで10.85時間であった。なお、70/50mg投与では第2日までに定常状態に達した。

③日本人及び外国人小児患者4)、5)、6)

日本人及び外国人小児患者にカンサイダス®を投与初日に70mg/m2(体表面積注) )、投与2日目以降50mg/m2(ただし1日用量として70mgを超えない)、1日1回約60分間かけて反復静脈内投与した時の薬物動態パラメータは下表のとおりであった。なお、3ヵ月未満の小児患者のカンサイダス®の投与量は1日1回25mg/m2で、アムホテリシンB製剤と併用投与した。

■ 日本人及び外国人小児患者におけるカンサイダス®反復投与時の薬物動態パラメータ(外国人データ含む)

日本人及び外国人小児患者におけるカンサイダス®反復投与時の薬物動態パラメータ(外国人データ含む)

†侵襲性カンジダ症と診断された又は強く疑われた3ヵ月未満の小児患者に対してカンサイダス®25mg/m2を約1時間かけて1日1回投与した。
全ての小児患者でアムホテリシンB製剤が併用投与された。
‡投与4日に得られた投与開始後1時間又は24時間の血漿中濃度
§ 投与4~14日に得られた投与開始後1時間又は24時間の血漿中濃度の幾何平均
‖投与3~14日に得られた投与開始後1時間又は24時間の血漿中濃度の幾何平均
―:データなし

注)患者の体表面積(BSA)は以下に示すMosteller式により算出した。 BSA:Body Surface Area(体表面積)

④外国人健康成人(外国人データ)7)

健康成人を対象としたカンサイダス®の反復投与試験において、投与初日に負荷用量を投与せず、50mgを1日1回14日間投与した場合、最初の2日間は目標トラフ濃度(1μg/mL)に達しないが、投与初日に負荷用量70mgを投与することにより、試験期間全体を通して目標トラフ濃度を上回ることが示された。

■ 健康成人におけるカンサイダス®50mg 1日1回60分間反復投与時の平均トラフ濃度
-投与初日のLoading Dose(70mg)の有無別-(外国人データ)

Stone JA, et al., Antimicrob Agents Chemother, 2002;46:739-745.

患者における薬物動態8)

深在性真菌症成人患者に、カンサイダス®を投与初日に70mg又は50mg、第2日以降に50mg投与した時の薬物動態パラメータは下表のとおりであった。

■ 日本人深在性真菌症患者を対象とした第Ⅲ相試験の薬物動態解析より得られた薬物動態パラメータ

日本人深在性真菌症患者を対象とした第Ⅲ相試験の薬物動態解析より得られた薬物動態パラメータ

†被験者数

6. 用法及び用量

〈成人〉
真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症
通常、カスポファンギンとして投与初日に70mgを、投与2日目以降は50mgを1日1回投与する。本剤は約1時間かけて緩徐に点滴静注する。

カンジダ属又はアスペルギルス属による下記の真菌感染症

  • 食道カンジダ症
    通常、カスポファンギンとして50mgを1日1回投与する。本剤は約1時間かけて緩徐に点滴静注する。
  • 侵襲性カンジダ症、アスペルギルス症
    通常、カスポファンギンとして投与初日に70mgを、投与2日目以降は50mgを1日1回投与する。本剤は約1時間かけて緩徐に点滴静注する。

〈小児〉
真菌感染が疑われる発熱性好中球減少症、カンジダ属又はアスペルギルス属による食道カンジダ症、侵襲性カンジダ症、アスペルギルス症
通常、カスポファンギンとして投与初日に70mg/m2(体表面積)を、投与2日目以降は50mg/m2(体表面積)を1日1回投与する。本剤は約1時間かけて緩徐に点滴静注する。なお、1日1回50mg/m2(体表面積)の投与で効果不十分の場合には、1日1回70mg/m2(体表面積)まで増量することができる。いずれの場合も1日用量として70mgを超えないこと。

7. 用法及び用量に関連する注意 −抜粋−

〈小児〉
7.3 3ヵ月未満の患者では血中濃度が高くなる可能性があるので、3ヵ月未満の患者に投与する際は減量を考慮すること。[16.1.2参照]

1)社内資料(健康成人における単回投与試験:057試験)
2)社内資料(健康成人における反復投与試験:061試験)
3)社内資料(健康成人における反復投与試験:063試験)
4)承認時評価資料(侵襲性カンジダ症及びアスペルギルス症(小児)を対象とした国内臨床試験:074試験)
5)Li CC, et al., Antimicrob Agents Chemother, 2011;55:2098-2105.
(利益相反:Li、Sun、Dong、Bi、Desai、Dockendorf、Kartsonis、Ngai、Bradshaw、StoneはMSD社研究所員。)
6)社内資料(0~2ヵ月小児患者を対象とした海外薬物動態試験:058試験)
7)Stone JA, et al., Antimicrob Agents Chemother, 2002;46:739-745.
(利益相反:Stone、Holland、Wickersham、Sterrett、Schwartz、Bonfiglio、Hesney、Winchell、DeutschはMSD社研究所員。)
8)承認時評価資料(深在性真菌症を対象とした国内臨床試験:062試験)

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